日本循環器管理研究協議会雑誌
Print ISSN : 0914-7284
33 巻, 3 号
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  • 中居 賢司, 大平 篤志, 田代 敦, 那須 雅孝, 蒔田 真司, 房崎 哲也, 荻野 美和子, 伊藤 正博, 鈴木 智之, 小山 田恵, ...
    1998 年33 巻3 号 p. 179-185
    発行日: 1998/11/10
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    [目的] 虚血性心疾患のなかでも急性心筋梗塞症は, わが国および欧米諸国では心臓死の原因疾患として第1位である。急性心筋梗塞症による死亡の半数は, 救命の困難な発症直後の院外での急死である。致死的事態の前段階である虚血性心疾患例の検診による検出と治療および予防が必要である。そのためには効率の良い虚血性心疾患スクリーニング法の開発が必要である。しかし従来の検診の虚血性心疾患検出能は十分ではない。頚部血管エコー図法による血管病変の検出, 新たに開発された高分解能ドプラ冠動脈エコー図法を用いる冠動脈内血流の直接抽出, 超高速CT法による冠動脈石灰化の検出などを導入する効率の良い虚血性心疾患の新しい検診システムを提案する。さらに新システム検討の対象とする一定地域でコホート研究を試み, 虚血性心疾患発症に関わる新しい遺伝的素因を解析した。 [対象] 岩手県下の一定地域の住民, 人間ドック受診者472例 (59±9歳) および岩手医科大学第二内科に入院した心筋梗塞症254例 (57±9歳) を対象とした。 [方法] (1) 基本健康診査受診者および人間ドック受診者で, 心エコー図検査, ドプラ冠動脈エコー図検査, 血管エコー図検査 (頚部と腹部) を行った。 (2) PCR法によりアンジオテンシンI変換酵素 (ACE) とApoEなどの遺伝子型を解析し, 虚血性心疾患発症に関わる新しい遺伝的背景の意義を検討した。 [結果] (1) 血管エコー図検査での頚動脈硬化性病変 (有り) は, 虚血性心疾患発症に関連する独立した因子であった。 (2) ドプラ冠動脈エコー図法では, 安静時の経胸壁アプローチにより冠動脈近位部狭窄の高速血流の検出が可能であった。 (3) ロジステック解析で, ACE遺伝子・欠失型 (DD型) とアポE遺伝子型ε4 alleleは, 虚血性心疾患群に関連する独立した因子であった。
    [考案] 「段階的検索による虚血性心疾患の新スクリーニング法」を検診システムに採用することにより, 虚血性心疾患の早期検出が期待できる。また新たな冠危険因子となる遺伝的素因を有する例では, 早期に予防対策を講ずることになる。
  • 由田 克士
    1998 年33 巻3 号 p. 186-198
    発行日: 1998/11/10
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    1995年4月より1996年3月までの問, 循環器健診を受診した40歳から59歳の中年男性362名を対象に, 飲酒に伴う食品群別摂取量, 栄養素等摂取量, 栄養素摂取密度並びに循環器健診成績の関係について検討を行い次のような結果を得た。
    1. アルコール摂取量が1日469を超えた群は非アルコール摂取群に比べ魚介類の摂取量において高値を示し, 穀類, 果実類, 乳類の摂取量において低値を示した。
    2. アルコール摂取量が1日469を超えた群は非アルコール摂取群に比べ総エネルギー, ナイアシンおよびマグネシウムの摂取量において高値を示し, ビタミンCと総食物繊維の摂取量において低値を示した。
    3. アルコール摂取量が1日239を超えて469以下の群は非アルコール摂取群に比べたんぱく質, 脂質, 糖質, カルシウム, 鉄, カリウム, ビタミンC, 亜鉛, 銅および総食物繊維の各摂取密度 (エネルギー1000kcal当たりの摂取量) は低値を示していた。しかし, アルコール摂取量が1日239以下の群と非アルコール摂取群との差は糖質のみに認められた。
    4. アルコール摂取量が1日469を超えた群は非アルコール摂取群に比べ, γ-GTPと中性脂肪で高値を示していた。しかし, アルコール摂取量が1日239以下の群と非アルコール摂取群との間に健診成績の差は認められなかった。
  • 水嶋 春朔, 堀井 昌子, 長岡 正, 小林 利彰, 大森 治郎, 宝田 正志, 松崎 稔, 梅村 敏, 栃久保 修, 曽田 研二
    1998 年33 巻3 号 p. 199-209
    発行日: 1998/11/10
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    1990 (平成2) 年の都道府県別年齢調整死亡率 : 人口動態統計特殊報告 (厚生省大臣官房統計情報部) によると, 神奈川県の同年の急性心筋梗塞年齢調整死亡率 (人口10万対) は男42.8, 女20.8で, 県単位では47都道府県中, 男女とも全国第1位であった。12大都市別では, 川崎市が男60.2, 女23.3で男女とも第1位, 横浜市は男45.6, 女22.3で男女とも第2位で, 第3位の東京区部の男36.9, 女19.2より高く, この傾向は20年以上続いていた。
    本研究では, 神奈川県の各保健所年報, 横須賀市保健所の所内資料などを利用し, 神奈川県における地域 (3保健所政令市, 12県保健所管轄区域) 別の虚血性心疾患, 急性心筋梗塞, 心不全の各年齢調整死亡率を算出し, 県内の地域差を検討した。また地域差の説明要因の一つである医療整備状況について地域特性の検討を行った。
    虚血性心疾患と急性心筋梗塞年齢調整死亡率は, 川崎市, 三崎保健所管内 (三浦市), 横浜市, 横須賀市の順に神奈川県東部で高かった。二次医療圏別に検討した医療整備状況については, 救急医療機関数や循環器科標傍施設の地域差が明らかとなり, 急性心筋梗塞年齢調整死亡率と人口10万対循環器科標傍施設数との間には, 単回帰分析で負の関連が見られた。
  • 長期的な循環器疾患予防対策を実施している地域での検討
    大平 哲也, 磯 博康, 山海 知子, 谷川 武, 横田 紀美子, 今野 弘規, 佐藤 眞一, 北村 明彦, 木山 昌彦, 中川 裕子, 岡 ...
    1998 年33 巻3 号 p. 210-220
    発行日: 1998/11/10
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    15年以上にわたって循環器疾患予防対策を行っている地域住民で, 前期 (1983年~1986年) に循環器検診を受診した35~75歳男女4,046人, 及び後期 (1994年~1997年) に受診した35~75歳男女2,789人を対象として, 地域における循環器疾患予防対策に伴う血圧値の推移を分析し, 血圧管理に問題のある職業の存在について検討することを目的とした。受診者を職業に応じて 1) 中小企業経営者・自営業, 2) 会社員, 3) 農業, 4) 無職の4つに分類し, 前期, 後期それぞれの時期で職業別に最大血圧, 最小血圧, Body Mass Index, 一日あたりの飲酒量, 及び尿中食塩排泄量の平均値を年齢調整して比較検討した。また, 前期から後期にかけて, 職業別に上記の変数の推移, 及び良好な血圧のコントロールが得られている服薬者の割合の推移を分析した。前期においては, 男性では職業間に血圧の平均値に差を認めなかったが, 女性では中小企業経営者・自営業従事者はその他の職業と比べて最小血圧値が有意に高かった。後期においては, 男性では中小企業経営者・自営業従事者は無職と比べて最大血圧値が有意に高かった。女性では前期と同様の結果であったが, 職業間の血圧値の差はやや小さくなった。血圧値の推移をみると, 男性では全般的に前期から後期にかけて最大血圧値の低下がみられる中で, 中小企業経営者・自営業従事者のみは低下が認められなかった。また, 最小血圧値については, いずれの職業においても明らかな変化はみられなかった。女性では, すべての職業で有意に最大血圧値が低下し, 最小血圧値については会社員を除いて有意に低下した。男性の中小企業経営者・自営業従事者は前期においてBody Mass Index, 及び飲酒量の平均値が他の職業に比べて高く, 前期から後期にかけてさらに上昇傾向を示した。また, 良好な血圧のコントロールが得られている服薬者の割合は男性の中小企業経営者・自営業従事者では他の職業に比べて低く, かつ前期から後期にかけての上昇も少なかった。一方, 女性の中小企業経営者・自営業従事者は他の職業に比べて Body Mass Index, 及び尿中食塩排泄量の平均値が高かったが, 前期から後期にかけて有意に低下し, 他の職業との差は小さくなった。以上より, 循環器疾患の予防対策を長期間実施している地域において, 男性では職業間で最大血圧値の低下に差がみられた。すなわち, 男性の中小企業経営者・自営業従事者では他の職業と異なり, 最大血圧の平均値の低下は明らかではなく, その背景には, 肥満, 飲酒量, 及び高血圧の薬物療法に対するコンプライアンスが関与していると考えられた。
  • 児玉 和紀, 笠置 文善
    1998 年33 巻3 号 p. 221-229
    発行日: 1998/11/10
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    放射線影響研究所にて長期間追跡されている集団において、心筋梗塞ならびに突然死発生率の経年推移を求めるとともに、特に高齢者に焦点をあてて危険因子ならびにそのレベルの経年推移を観察し、更にNI-HON-SAN Studyの対象者で日本・ハワイ問で比較をおこなった。心筋梗塞ならびに突然死発生率には加齢とともに二次曲線的に増加する傾向がみられたが、近年発生率が増加しているとの証拠は得られなかった。心筋梗塞危険因子としては、性 (男) 、年齢、高血圧、喫煙、高コレステロール、糖尿病などが有意であった。高齢者では高血圧による心筋梗塞過剰発生の86.5%が軽症高血圧から発生しており、高齢者の心筋梗塞一次予防における軽症高血圧の重要性が再確認された。高齢者の収縮期血圧レベルは男女とも低下傾向にあったが、血清総コレステロールレベルは各年齢とも1958年から74年にかけて著しく上昇し、以後もゆるやかな上昇を続けている。
  • 川上 憲人, 清水 弘之
    1998 年33 巻3 号 p. 230-236
    発行日: 1998/11/10
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
  • 今井 潤
    1998 年33 巻3 号 p. 237-244
    発行日: 1998/11/10
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    近年家庭血圧 (HBP), 自由行動下血圧 (ABP) の基準に基づいた高血圧の診断, 治療が注目されている。血圧には持続的 (tonic) 負荷と脈動的 (pulsatile) 負荷があり, 降圧薬療法ではこの両者を制御する必要がある。また原則として全ての高血圧で昼夜を通した均等な降圧が求められる。Extreme-dipperにおいてさえ, 夜間血圧は高く, これに対する降圧薬療法は, 脳心血管疾患の発症と死亡の危険を軽減させよう。更に, HBP, ABPは, 降圧薬効果や降圧持続時間, 白衣性高血圧の同定に不可欠である。現時点で, 24時間自由行動下血圧, 朝の家庭血圧の高血圧域は135/80mm Hg以上, 正常域は125/75mm Hg未満と設定される。
  • 寺本 民生
    1998 年33 巻3 号 p. 245-250
    発行日: 1998/11/10
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    高脂血症が臨床上問題になるのは高コレステロール血症による動脈硬化性疾患である。しかし, 冠動脈硬化において必ずしも高脂血症を認めないことがあるとともに, 高脂血症はあっても必ずしもコレステロールの値に依存しない動脈硬化性疾患があることが指摘されていた。
    1973年Goldstein らは冠動脈硬化疾患と高脂血症を検討して行く中で, きわめて密接に動脈硬化性疾患と関連する一群の高脂血症があることを見いだし, 家族歴の検討からその高脂血症が遺伝的に単一の遺伝子で司られている可能性を上げ, 一つの疾患単位として家族性複合型高脂血症と命名した1) 。本疾患は冠動脈硬化疾患の中ではもっとも高頻度に認められる高脂血症であることより, 早期の診断治療が肝要である。本稿ではこの家族性複合型高脂血症の診断とその治療に焦点を当てて述べる。
  • 西 信雄, 福田 英輝, 村上 茂樹, 多田羅 浩三
    1998 年33 巻3 号 p. 251-256
    発行日: 1998/11/10
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    目的:基本健康診査における生活習慣に関する問診の実態を調査すること。
    方法 : 全国241市町村の基本健康診査の問診票をもとに, 栄養, 運動, 休養に関する問診 (喫煙, 飲酒を除く) を選び出し, 項目別, 回答方法別に分類した。複数の項目で1問が構成される場合, 各小問を項目別に分類した。
    結果 : 栄養, 運動, 休養に関する問診は, それぞれ147 (61.0%), 85 (35.3%), 55 (22.8%) 市町村でみられた。合計質問数は, 栄養が962.8, 運動が118.8, 休養が85.3であった (小問の分類により小数が発生) 。頻度の高い (合計質問数が20以上) 項目の一覧を作成したところ, 選択された項目数は栄養17 (食習慣5, 摂取食品12), 運動1, 休養3の計21であった。
    結論 : 基本健康診査における生活習慣に関する問診は, 市町村により質, 量ともに大きなばらつきがみられた。基本健康診査ならびに生活習慣改善指導の効率的な実施のため, 標準的な問診票の作成が必要である。
  • 国際疾病分類第10回修正の影響
    斉藤 功, 青野 裕士, 池辺 淑子, 小澤 秀樹, 山下 剛
    1998 年33 巻3 号 p. 257-265
    発行日: 1998/11/10
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    わが国において, 1995年に国際疾病分類第10回修正 (International Classification ofDiseases : ICD-10) に基づいた死亡診断書の改正が行われた。その結果, 大きく変化した心疾患死亡統計について, 都道府県別の変化を検討した。
    1993年から1995年までの人口動態統計を用いて, 都道府県別, 性, 年齢階級別, 簡単分類別死亡数より, 25歳から74歳の心疾患死亡を抽出し, 直接法による都道府県別の年齢調整死亡率を算出した。心疾患はICD-9およびICD-10より, 慢性リウマチ性心疾患, 虚血性心疾患, 肺循環疾患およびその他の型の心疾患を原死因とするものと定義した。
    全心疾患の年齢調整死亡率は, 男女とも全都道府県において1993年から1995年にかけて減少した。男では47都道府県中, 31道府県, 女では39都道府県において, 1993年と比べて1995年には20~39%の範囲内で減少した。さらに, 今回の改正で最も影響を受けた心不全と虚血性心疾患の年齢調整死亡率の変化率を都道府県別にみると, 心不全はほぼ一様に男女とも60~79%の減少がみられた。また, 虚血性心疾患は全ての都道府県において死亡率の増加を認めたが, その変化率は都道府県別に広い分布を示していた。また, 全心疾患と心不全の年齢調整死亡率の変化率について関連をみたところ, 相関係数が男で0.596, 女で0.443と有意な正の相関を認めた。
    全ての都道府県において全心疾患の年齢調整死亡率は減少しており, その減少は心不全の大幅な減少によりもたらされていると考えられた。我々が実施してきた大分市心疾患死亡調査の成績と照らし合わせた場合に, この死亡率の減少は, およそ同程度のものであった。一方, 虚血性心疾患に関しては, 全都道府県において増加を示した。そして, 改正前後の変化率は各都道府県の変化率に大きな違いがあったが, 全国合計でみた場合は大分市心疾患死亡調査の推計値と近似していた。
  • 要約統計量の計算方法
    浜島 信之
    1998 年33 巻3 号 p. 266-271
    発行日: 1998/11/10
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
  • 工藤 一彦
    1998 年33 巻3 号 p. 272
    発行日: 1998/11/10
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
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