教科教育学コンソーシアムジャーナル
Online ISSN : 2758-6995
最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
巻頭言
特集論文
  • 笹野 恵理子
    原稿種別: 特集論文
    2023 年 1 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/04/28
    ジャーナル フリー
    本稿は,教育課程の基準(学習指導要領)を教科教育学としていかに分析・評価するか,という主題について,音楽科教育を事例に,「カリキュラム経験」研究の視角を提案するものである。「カリキュラム 経験」研究は,カリキュラムを「生きた姿」で,「生きられた」カリキュ ラムを把握しようとする。それゆえ学校成員が「経験」を編み上げる教育過程の動態に注目する。本稿では,「カリキュラム経験」研究の立場から,当事者の視点と関係性の文脈をカリキュラム研究に位置付ける必要性を主張するとともに,「カリキュラム経験」研究から示唆 されるカリキュラム評価の視点として,「目標準拠型」と「目標自由型」を併用する必要性を論じた。同時に長期的スパンに立った「生涯の学びの履歴」から学校卒業後の「カリキュラムの効果」を分析する評価視点の意義と可能性を示した。
  • 西村 圭一
    原稿種別: 特集論文
    2023 年 1 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/28
    ジャーナル フリー
    本稿では,算数・数学科を例にとり,教科のカリキュラムを教育をめぐるエコシステムの中で捉え,分析し,評価することの必要性について検討した。算数・数学科において,意図されたカリキュラムと実施されたカリキュラムの間には,ステークホルダーによって期待されているカリキュラムや教師によって協議されているカリキュラム等があり,相互に影響している様相を概観した。教育をめぐるエコシステムの更新や成長が早まってきており,教科教育学は,教科がそのシステムの中でどう機能しているかを評価するとともに,教科教育学の強みを活かし,学びの当事者である子どもの声も取り込みつつ,一人ひとりの学びの質を向上させるために,システムへいかに関与していくかを考えることが求められている。
  • 柳沼 良太
    原稿種別: 特集論文
    2023 年 1 巻 1 号 p. 23-33
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/28
    ジャーナル フリー
    本稿では,教育課程の基準となる学習指導要領を,教科教育学の中でも道徳科教育学の観点から捉え直し,その内容面や機能性について具体的に検討する。「特別の教科 道徳」は平成27年に教科化されたことで,学習指導要領における道徳科の目標や指導法,評価が大幅に改善・充実したことは確かである。その一方で,今次の学習指導要領(平成29年告示)では道徳科だけ,各教科と同様の「主体的・対話的で深い学び」や「育成すべき資質・能力の三つの柱」を導入しておらず,教科としての目標設定や「指導と評価の一体化」も整備できていない。そのため,道徳科においては学習指導要領が教育課程の基準として十分機能しているか検証することが難しい。今後,道徳科の学習指導要領を教育課程の基準として機能させるためには,教科教育学の見地を取り入れ,道徳科の目標,指導内容,指導法,そして評価法を相互に関連づけて再構成し,その教育課程や授業実践においてPDCAサイクルを回してその有効性を分析・評価する必要があるこ とを示した。
feedback
Top