今回我々は当院における上咽頭の細菌検査の結果の推移について検討した.対象は2012年1月1日から2016年12月31日に耳鼻咽喉科,小児科を受診した15歳未満の症例から採取された上咽頭の細菌検査結果である.菌の検索はシードスワブを用いて経鼻的に上咽頭より採取し,株式会社BMLで検査を行った.薬剤耐性については希釈法を用いて評価している.検出菌の総株数は各年1270株,1672株,1991株,2245株,2316株であった.検出菌の多くは常在菌で,病原菌として年ごとにその順位の変動はあるものの概ね肺炎球菌,インフルエンザ菌,黄色ブドウ球菌,モラクセラ・カタラーリス,及び溶連菌が上位を占めていた.さらに肺炎球菌のPISP株,PRSP株の割合,インフルエンザ菌のBLNAR, BLPAR, BLPACRの割合について検討した.PRSP, PISPについては減少傾向が認められた.BLNARはそれぞれの年で増加傾向を認めた.BLPACRに関して増加傾向は認めなかった.
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