The Journal of Nursing Investigation
Online ISSN : 2434-2238
Print ISSN : 1348-3722
16 巻, 1-2 号
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16-1, 2
  • 多田 美由貴, 岩本 里織, 岡久 玲子, 松下 恭子
    原稿種別: 総説
    2019 年 16 巻 1-2 号 p. 1-9
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/04/19
    ジャーナル フリー

    抄 録 目的:近年,健康や医療に関する情報を入手,理解,評価,活用して健康に結びつく意思決定ができる力であるヘルスリテラシーが健康を決める力として注目されている.本研究では,母親の育児に関するヘルスリテラシーを把握できる尺度の必要性を検討するため,国内外で母親のヘルスリテラシーを測定している尺度について,その特徴と関連する要因について明らかにすることにした.方法:2018年10月にPubMed,医学中央雑誌の2データベースを使用し,MeSH Termsを用いて1990年から2018年の母親のヘルスリテラシーに焦点をあてた文献を検索した.結果:16件の英語文献が抽出された.米国における研究が14件で最も多く,日本人を対象とした研究はなかった.多く用いられていた測定尺度は,母親を対象に開発された尺度ではなく,広く成人を対象に用いられている尺度であり,基本的な識字能力をみる機能的リテラシーを測定する尺度であった.母親のヘルスリテラシーの関連要因として,母親の年齢や教育,社会経済的状態など先行研究と同様の結果と子どもへの薬の投薬方法,子どもの睡眠状況や疾患の症状,重症度など子どもの健康に関連する特徴的な結果が得られた.考察:本研究の結果,母親のヘルスリテラシーを高めることの必要性が示唆された.しかし,母親のヘルスリテラシーを測定していた尺度は,元々それを測定するために開発されたものではなく,どのような対象でも汎用性がある尺度であった.そこで,一定の社会保障が確保され,識字率が高い日本の母親を対象とした信頼性と妥当性のあるヘルスリテラシー測定尺度の開発が必要である.また,今後は健康や医療に関する情報はもちろん,子どもとのつながりを重視した育児に焦点をあてた母親の育児に関するヘルスリテラシーを適切に把握できる尺度の開発が必要であると考える.

  • 中野 沙織, 岩佐 幸恵
    原稿種別: 研究報告
    2019 年 16 巻 1-2 号 p. 10-22
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/04/19
    ジャーナル フリー

    要 旨 目的:本研究は,日本における中堅看護師を対象にした先行文献から,中堅看護師の離職と職業継続に影響を与える要因を明らかにし,職業継続支援への示唆を得ることを目的とする.

    方法:文献は,「医学中央雑誌Web(ver.5)」,「メディカルオンライン」,「CiNii」を使用し,「看護師and離職」,「中堅看護師and離職」,「中堅看護師and職業継続」,「中堅看護師and職務継続」というキーワードで検索をした.検索の範囲は,2005年から2017年までとした.対象文献は,「辞めたいと思った理由」と「働き続ける理由」について記載がある21文献で,「辞めたいと思った理由」と「働き続ける理由」を類似性に基づいて帰納的に分類し,カテゴリー化を行った.

    結果:中堅看護師が「辞めたいと思った理由」として,【キャリアプランとの不一致】【やりがい不足】【人間関係によるストレス】【労働環境が悪い】【看護実践能力についての不安】【自己効力感の形成阻害】【特に働き続ける理由がない】のコアカテゴリーが抽出された.また,中堅看護師が「働き続ける理由」として,【キャリアプランとの一致】【やりがいがある】【良好な人間関係】【労働環境が良い】【看護実践能力についての自信】【自己効力感を高める体験】【特に辞める理由がない】【ストレス・マネージメント】のコアカテゴリーが抽出された.

    考察:看護師が離職を考える要因には,キャリアプランや,仕事のやりがい,職場の人間関係,職場の労働環境,自身の看護実践能力と自己効力感が大きく関わっており,それらは共通して職務継続の要素にもなっていた.しかし,ストレス・マネージメントは,職業継続にだけみられる要因であり,効果的なストレス・マネージメントは,離職を思い留まらせることが示唆された.中堅看護師の職業継続には,ストレス・マネージメントに着目した支援が重要である.

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