本稿は,日本において今後増加すると考えられる実子を養育する里親に焦点を当て,実子と委託児童を共に養育した経験のある里親が,子どもを養育する中でどのような葛藤を持ち対処しているか,どのような支援を求めているかを明らかにすることを目的とする.
実子と委託児童を養育した経験のある里親9名へのインタビュー調査を行い,質的データ分析法により分析を行った.その結果,里親は〈実子がいるからこその養育の困難〉を抱え,他の里親や専門職からの〈偏見や孤独感の中の養育〉や〈理想とは違う里親制度〉の中,〈里親養育を安定させるための対応〉や〈他者の力を借りる行動〉によって,〈実子がいる強みを生かす養育〉を行っていた.
今後展開される里親養育支援において,地域における格差をなくし,それぞれの里親や子どもに合わせた支援の必要性が求められることを示した.
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