日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
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最新号
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一般演題(ポスターワークショップ)
  • 石崎 淳, 齋藤 和義, 名和田 雅夫, 岩田 慈, 澤向 範文, 水野 泰志, 平田 信太郎, 山岡 邦宏, 田中 良哉
    セッションID: PW-67
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    67歳男性。1997年発症のWGでステロイドと免疫抑制薬(CY,Az)併用で長期加療されたが消長を反復した。2010年3月より、発熱、呼吸困難が出現、増悪し4月8日当科緊急入院。喀血とともに、急速進行性の低酸素血症、PR3-ANCA高値、胸部CTで両肺の網状スリガラス影の拡大を認め、ICUでの人工呼吸器管理を要した。WG増悪による肺胞出血と診断し、ステロイドパルス療法を含む加療を行ったが、FiO2 1.0を脱せず致死的となった。末梢血フローサイトメーターにて、CD40/CD80を高発現したメモリーB細胞 (CD19+IgD-CD27+)の増加と、ICOSを高発現したCD4+メモリーT細胞の増加を確認したことから、IC取得後、倫理委員会承認のプロトコール(抗CD20抗体リツキシマブ375mg/m2 を1週間隔で2回投与)で加療した。2日後には速やかに解熱し、速やかに呼吸機能、画像上も肺病変の改善を認め5月13日退院となった。臨床経過と平行し、末梢血よりナイーブB細胞 (CD19+IgD+CD27-)及びメモリーB細胞 (CD19+IgD-CD27+)は速やかに除去され、同時にCD40/CD80の発現も低下、一方でCD4+T細胞上のICOSの発現も速やかに低下した。肺胞出血による既存治療抵抗性で致死的な呼吸不全に対しリツキシマブが著効し、その効果発現の機序として、活性化メモリーB細胞の除去とともに、共刺激分子を介したB-T細胞間相互作用の制御が示唆された。
  • 渡邉 玲光, 岳野 光洋, 長堀 正和, 黒沢 美智子, 上原 里程, 永井 正規, 石ヶ坪 良明
    セッションID: PW-68
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    【目的】腸管ベーチェット病はステロイドや免疫抑制剤治療に抵抗性であることが少なくないが、近年、infliximab (IFX)の有効性を示す報告が本邦を中心に蓄積されている。本研究ではその実態を把握するために、全国調査を施行した。 【対象および方法】厚生労働省ベーチェットに関する調査研究班で施行した6,700診療科に対する特殊病疫学一次調査にて腸管型に対してIFX治療経験ありと回答した施設、炎症性腸疾患の専門施設、過去に文献・学会で関連報告のある施設を対象に二次調査を行い、38施設より回答のあった計96例のIFX治療歴のある腸管ベーチェット患者について臨床成績を解析した。 【結果】対象患者の眼症状は26%にとどまり、腹痛、下痢、下血を主症状とし、病変は回盲部に多発していた。ステロイド含む諸治療抵抗例が多く、47%は腸管切除などの手術を施行していた。IFX治療により58.3%の症例で臨床所見・内視鏡所見ともに改善が認められた。治療反応因子としては眼病変、関節病変の存在、前治療にステロイド投与歴がないことがあげられた。寛解到達中止は5例、副作用、無効による中止が19例であった。 【結論】抗TNF抗体は現時点では保険認可されていないが、難治性腸管ベーチェット病では有望な治療手段である可能性がある高い。
  • 中野 弘雅, 小川 仁史, 伊東 宏, 高桑 由希子, 御影 秀徳, 清川 智史, 水島 万智子, 三冨 博文, 殿岡 久美子, 前田 聡彦 ...
    セッションID: PW-69
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    背景 再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis:RP)は、軟骨組織の広範で進行性の炎症と破壊を特徴とするまれな疾患である。臨床所見は、耳介軟骨炎、鼻軟骨炎、気道軟骨炎、さらに関節病変等が認められる。特に気管軟骨炎は患者の予後を左右する重要な病態である。治療はステロイドを中心に行われるが、再発を繰り返す治療抵抗性の症例もあり様々な免疫抑制療法が試みられている。 目的 ステロイド等の既存の治療に抵抗性のRP患者に対して、抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体infliximab(IFX)を用いて治療し、その有用性を臨床的に検討する。 方法 対象はMcAdamまたはDamianiの診断基準を満たす治療抵抗性のRP患者とした。対象患者(および保護者)にはIFXの使用に関して十分なインフォームドコンセントを行い、学内の倫理委員会の承認を得て使用した。IFXの用法・用量は関節リウマチに準じて使用した。 結果 IFXは気管軟骨炎を有するRP患者2例(16才女性と16才男性)に使用された。前者は、約7年間 IFXにより疾患の活動性をコントロールすることができた。しかし、後者はIFX無効であった。 考察 治療抵抗性のRPにはIFXが有効な選択肢の1つであると考えられた。今後の症例の蓄積が期待される。
  • 高田 英俊, Mohamed Eljaafari Fairuz, 田中 珠美, 土居 岳彦, 大賀 正一, 原 寿郎
    セッションID: PW-70
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    NK細胞はIFN-gamma産生能を介してウイルス感染症において重要な役割を果たしていることが知られている。NK細胞は感染部位においてaccessory cellとの相互作用によりIFN-gammaなど種々のサイトカインを産生する。実際にNK細胞欠損症では小児期にウイルス感染症が重症化することが報告されている。新生児は種々のウイルス感染症に対して易感染性を示すが、新生児のNK細胞機能が成人と比較してどのような特徴を有しているのかは明らかになっていない。我々は以前、臍帯血NK細胞がIL-18に対して成人NK細胞よりも強いIFN-gamma産生能を有していることを明らかにした。今回我々は、臍帯血NK細胞は成人末梢血NK細胞と比較して、単球、IL-2、IFN-alphaの存在下にTLR-8刺激によってより強いIFN-gamma産生能を有することを明らかにした。単球のTLR-8刺激による反応性を検討した結果、臍帯血単球は成人末梢血単球と比較してより強いIL-12産生能を有していた。抗IL-12抗体を加えるとTLR-8刺激によるNK細胞からのIFN-gamma産生能は著しく低下した。新生児の自然免疫の一部は成人と比較して強い反応性を有しているものがあり、新生児の弱い獲得免疫を補っている可能性があると考えられた。
  • 大西 敦之, 三宅 康広, 松本 和幸, 高木 章乃夫, 山本 和秀
    セッションID: PW-71
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    【目的】 急性膵炎や重症熱傷では血清中可溶性接着分子レベルが疾患の重症度を反映することが報告されている。今回、急性肝不全例の血清中可溶性接着分子レベルと病態の関連について検討。 【方法】 急性肝不全39例(劇症肝炎29例と急性肝炎10例)及び健常人34例において、血清中sPECAM-1、sICAM-3、sE-selectin、sICAM-1、sP-selectin、sVCAM-1レベルを測定。 【結果】 健常人に比較し、劇症肝炎例において血清中sPECAM-1、sICAM-3、sE-selectin、sICAM-1レベルが高値であり、急性肝炎例においても血清中sPECAM-1、sE-selectin、sICAM-1レベルが上昇していた。急性肝不全39例では、予後不良23例(肝移植施行15例または死亡8例)において血清中sPECAM-1レベルが高値であり(877 ± 451 ng/ml vs. 552 ± 186: P = 0.012)、sICAM-1レベルが低値であった(1480 ± 686 ng/ml vs. 1943 ± 456: P = 0.037)。予後不良因子の検討では、単変量解析にて血小板数、直接ビリルビン/総ビリルビン比、プロトロンビン活性に加えて血清中sPECAM-1及びsICAM-1 レベルが予後と関連していた。Stepwise法による多変量解析では、血清中sPECAM-1 レベル(per 100 ng/ml; odds ratio 2.19, 95% CI 1.20-4.00) と血清中sICAM-1レベル(per 100 ng/ml; odds ratio 0.77, 95% CI 0.61-0.98)が予後と関連していた。 【結論】 血清中sPECAM-1及びsICAM-1について、急性肝不全の病態への関与と予後因子としの有用性が示唆された。
  • 山村 和彦, 加藤 しおり, 加藤 隆弘, 溝口 義人, 門司 晃, 竹内 聡, 古江 増隆
    セッションID: PW-72
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    慢性蕁麻疹は6週間以上継続する蕁麻疹を指し、その病態には、自己免疫性メカニズムを介した肥満細胞の脱顆粒に伴う、ヒスタミンを中心としたケミカルメディエーター放出が深く関わっている。通常、抗ヒスタミン薬の内服治療を行うが、治療抵抗性症例も少なくない。我々は、こうした治療抵抗性の慢性蕁麻疹に対して、認知症に伴う精神症状や不眠症などで用いられる抑肝散の内服が奏功した症例を報告してきた。抑肝散はソウジュツ、ブクリョウ、センキュウ、チョウトウコウ、トウキ、サイコ、カンゾウの7種類の生薬からなる漢方薬で、近年、外傷性脳損傷後の精神症状の緩和やアルツハイマー病の痴呆による行動異常や精神症状の改善といった、中枢神経に対する新たな効能も報告されている。今回、我々は肥満細胞モデルとして良く使われるラット好塩基球白血病細胞(RBL-2H3細胞)を用いて、抑肝散の治療抵抗性蕁麻疹に対する抑制メカニズムを検討した。その結果、カルシウム蛍光指示薬Fura-2を用いた測定系で、抑肝散がIgE感作後の抗原刺激によるRBL-2H3細胞の急激な細胞内カルシウム濃度上昇(脱顆粒を反映)を著明に抑制することを見出した。この抑制効果は代表的な抗ヒスタミン薬であるクロルフェニラミンでは認められず、治療抵抗性蕁麻疹への抑肝散の薬効を反映するものと考えられた。
  • 長谷川 稔, 田中 千洋, 藤本 学, 竹原 和彦, 岩月 啓氏, 山本 剛伸, 山田 佳世, 河 敬世, 和田 泰三, 谷内江 昭宏
    セッションID: PW-73
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    Hydroa vacciniforme (HV) is a chronic photosensitivity disorder. Here, we report the case of a three-year-old Japanese girl with HV-like lymphoproliferative disorders. After sun exposure, she presented with low-grade fever and typical HV-like eruption. High numbers of EBV genomes were found within peripheral blood cells. In situ hybridization (ISH) on skin biopsy samples demonstrated that 25% of the lymphocytes infiltrating the skin contained EBV-encoded small nuclear RNA (EBER-1), while ISH of peripheral blood cells demonstrated that 21% of lymphocytes expressed EBER-1. Most γδ T cells were EBER-1+ and activated, whereas almost no CD4+ T, CD8+ T, or NK cells were positive for EBER-1. Although we could not identify the skin infiltrating EBER-1+ T cells as γδ T cells by immunohistochemistry, the CD3+CD4-CD8- cells identified in the skin were assumed to be of a similar subset as the peripheral blood EBER-1+ clonal γδ T cells. We diagnosed the patient as having HV-like eruptions associated with γδ T cell-CAEBV. She was treated by chemotherapy and allogeneic cord blood transplantation. Since transplantation the patient has not relapsed the skin eruption and EBV genome has not been detected to date. Our case indicates that chronic EBV infection of γδ T cells can induce typical HV eruption.
  • 杉田 和成, 椛島 健治, 藤山 幹子, 渡辺 秀晃, 飯島 正文, 橋本 公二, 宮地 良樹, 中村 元信, 戸倉 新樹
    セッションID: PW-74
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    薬剤性過敏症症候群は通常の薬疹と異なり、原因薬剤の中止後も症状が遷延する重症薬疹である。その大きな特徴は、発症後2週間から4週間の間にヒトヘルペスウイルス6 (HHV-6)が再活性化し、多臓器障害を伴うことにある。しかしながら、薬剤性過敏症症候群におけるHHV-6の再活性化の機序は明らかになっていない。そこで、我々はウイルスに対する感染防御応答において重要な役割を果たしている形質細胞様樹状細胞に着目した。臨床経過に伴うこの細胞の血中および皮膚における局在を薬剤性過敏症症候群の患者8名について検討した。薬剤性過敏症症候群患者において、フローサイトメトリで解析した血中の形質細胞様樹状細胞数ならびに割合は正常コントロールと比較し有意に低下していた。興味深いことに、形質細胞様樹状細胞の低下は、HHV-6の再活性化を認めた発症後3週間から4週間の間で顕著であった。さらに、患者皮膚における、形質細胞様樹状細胞を免疫染色で検討したところ正常コントロールと比較し有意に増加していた。これらの知見は、薬剤性過敏症症候群における形質細胞様樹状細胞の血中から皮膚への遊走をはじめて明らかにしたものであり、抗ウイルス活性の減弱、それに引き続くHHV-6の再活性化への形質細胞様樹状細胞の関与が示唆された。
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