日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
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一般演題(ポスターワークショップ)
  • 浅野 善英, 玉城 善史郎, 久保 正英, 尹 浩信, 佐藤 伸一
    セッションID: PW-17
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    全身性強皮症は皮膚および内臓諸臓器の線維化と血管障害を特徴とする全身性の自己免疫疾患である。その原因はいまだ不明であるが、恒常的に活性化された線維芽細胞によって細胞外基質が過剰に産生され、かつ分解が抑制されることにより、線維化が生じると考えられている。rapamycinはcalcineulin inhibitorの一つであるが、ブレオマイシンによる強皮症モデルマウスにおいて強力な抗線維化作用を示し、また全身性強皮症患者の皮膚硬化を改善させる作用がある可能性も報告されている。今回われわれは、正常および強皮症皮膚線維芽細胞においてalpha2(I) collagen (COL1A2)遺伝子とmatrix metalloproteinase 1 (MMP1)遺伝子に注目し、rapamycinが抗線維化作用を示す機序について検討を行った。rapamycinは、強皮症皮膚線維芽細胞においてCOL1A2遺伝子のmRNAの発現を著明に抑制し、一方でMMP1遺伝子の発現を著明に亢進させた。rapamycinはCOL1A2遺伝子のmRNAの発現を転写後レベルで抑制し、一方でMMP1遺伝子のmRNAの発現を転写レベルでc-Jun/JNK pathway依存性に亢進させた。また、rapamycinは正常皮膚線維芽細胞と比較して、強皮症皮膚線維芽細胞においてより強力にこれらの作用を示した。以上の結果から、rapamycinはI型コラーゲンの産生を抑制すると同時に分解を亢進させることにより、強力な抗線維化作用を示すことが明らかとなった。
  • 澤向 範文, 湯川 宗之助, 久保 智史, 山岡 邦弘, 斎藤 和義, 田中 良哉
    セッションID: PW-18
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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     強皮症の難治性皮膚硬化に対する治療法は確立されていない。我々は、強皮症皮膚病変部にはマスト細胞が多数存在し、病態形成へ関与することを報告してきた。今回、マスト細胞の生存・分化に重要なc-kit阻害作用を有するイマチニブの難治性強皮症に対する効果を検証するパイロット研究を本学倫理委員会の承認を得て行った。患者選択基準は、生検にて皮膚硬化病変が確認され本試験に同意の上文書でICを取得し得た全身性強皮症で、主要評価項目を投与開始24週後のmTSSとした。年齢は46, 53, 60歳で全て女性。罹病期間1-3年で、間質性肺炎や肺高血圧症を合併しない症例であった。イマチニブは100mgより開始し、漸次300mgまで増量した。全症例に有害事象として下腿を中心とした浮腫を認め、一例は投与2カ月後300mgにて患者希望で中止、2例は減量にて投与満了したが、浮腫は減量・中止にて全例回復した。皮膚硬化は1例でmTSS 15→7と著明な改善を認め、1例は21→26と不応、中止例は24→26であった。強皮症皮膚病変にはマスト細胞が多数存在したが、著効症例ではマスト細胞数が著明に減少すると共に、脱顆粒するマスト細胞は消失するとの組織所見が得られ、イマチニブがマスト細胞の量的減少のみならず、機能にも影響を及ぼしている可能性が示唆された。
     以上、強皮症にイマチニブ少量療法を行った3例中1例にて皮膚硬化が著効し、有害事象は許容できる範囲であった。また、皮膚硬化改善機序として、病的に増加したマスト細胞が量的・質的に制御された可能性が示唆された。
  • 増井 友里, 浅野 善英, 柴田 彩, 野田 真史, 青笹 尚彦, 赤股 要, 山田 大資, 玉城 善史郎, 多田 弥生, 菅谷 誠, 門野 ...
    セッションID: PW-19
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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     全身性強皮症は皮膚および内臓諸臓器の線維化と血管障害を特徴とする全身性の自己免疫疾患である。その発症機序はいまだ不明であるが、炎症・自己免疫・血管障害など様々な要因により線維芽細胞が恒常的に活性化され、結果的に細胞外基質の過剰な沈着が生じると考えられている。その過程にはTGF-bをはじめとし、多くの炎症性サイトカインや成長因子が関与していることが明らかにされている。  アディポネクチンは主に脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの一つで、抗炎症作用、抗線維化作用及び血管新生作用などの多彩な作用を持つ。各種炎症性疾患を中心にその発現異常が報告されてきたが、最近アディポネクチン欠損マウスでは過剰な肝線維化が生じることが報告され、アディポネクチンが線維性疾患の病態においても重要な役割を果たしている可能性が明らかとなった。  今回我々は全身性強皮症患者において血清アディポネクチン濃度を測定し、臨床症状や検査データとの関連について検討を行った。さらにヒト線維芽細胞を用いてアディポネクチンの抗線維化作用の分子メカニズムについても検討し、全身性強皮症の線維化の病態におけるアディポネクチンの役割について考察した。
  • 渡邉 幹夫, 井上 直哉, 森田 麻美, 巽 圭太, 日高 洋, 赤水 尚史, 岩谷 良則
    セッションID: PW-20
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    【背景と目的】自己免疫疾患である橋本病(HD)の重症度やバセドウ病(GD)の難治性には患者によって大きな個体差がある。我々はこれまでに、IFN-γ、IL-4, TGF-β、IL-1β、TNF-αなどの遺伝的産生能やFoxP3の遺伝的発現能がHDの重症度やGDの難治性に影響することを見出し、自己免疫疾患の予後が遺伝的な個体差を用いて予測できる可能性を示した。本研究ではTh2サイトカインであるIL-5, IL-6, IL-13をコードする遺伝子における多型がHDやGDの病態予後に関連する可能性を検討した。
    【対象と方法】HD患者の重症例(50歳未満で甲状腺機能を発症した患者)52名、軽症例(50歳を超えても甲状腺機能が正常な患者)56名、GD患者の難治例(5年以上の抗甲状腺剤治療でも寛解導入でない患者)57名、寛解例(抗甲状腺剤治療により5年以内に寛解導入した患者)52名、健常人91名のゲノムDNAを対象とし、目的とする遺伝子に存在するIL5-746C/T、IL6 -572C/G、IL13 -1112C/Tの3か所の機能的な一塩基多型をRFLP法でタイピングした。
    【結果】(1) IL-13の高産生能に関連する-1112TalleleはGD寛解例において難治例より高頻度にみられた
    (2) IL-5の産生能が低いと予測される -746TalleleはGD寛解例で健常人より高頻度にみられた
    (3) IL-6の高産生能に関連する-572Gallele 保有者(CGおよびGGgenotype)は、特にGD寛解例とHD重症例で高頻度にみられた
    【結論】Th2細胞から産生されるIL-5, IL-6, IL-13の機能的多型はGDやHDの発症や病態予後に関係していた。
  • 寺尾 知可史, 大村 浩一郎, 高地 雄太, 猪狩 勝則, 丸屋 悦子, 片山 昌紀, 島田 浩太, 村澤 章, 本荘 茂, 高杉 潔, 松 ...
    セッションID: PW-21
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    背景) 抗CCP抗体陰性関節リウマチ(以下CCP陰性RA)はCCP陽性RAと同程度の遺伝因子の寄与が推定されている一方で、RAで最も強い疾患感受性遺伝因子であるHLA-DRB1の寄与でさえも欧米人での検討では明確な疾患関連アレルの同定に至っていない。我々は日本人検体を用い、HLA-DR8のCCP陰性RAとの関連を昨年見出した。
    目的)より多くのCCP陰性RAを用いて、新たな疾患関連HLA-DRB1アレルおよびディプロタイプを同定する。
    方法)第一セットとしてCCP陰性RA368例と健常人1508例のHLA-DRB1の関連解析を行った。次に第二セットとして独立したCCP陰性RA501症例と健常人500例を用い解析を行った。両セットを統合して解析を行った。
    結果)HLA-DRB1*12:01が強く疾患感受性に関わっていた(p=8.8x10-5)。*14:03および*04:05も有意な関連を認めた(p=0.0043,0.0063)。*15:02および*13:02は抑制的に関わっていた(p=0.00010, 0.00059)。*12:01および*09:01のヘテロ接合体が強く感受性を示した(p=0.00013)。DR8はホモ接合体が感受性を示した(p=0.0070)。
    結論)日本人CCP陰性RAにおける複数の疾患関連HLA-DRB1アレルおよびディプロタイプを同定した。
  • 末松 栄一, 宮村 知也, 石田 素子, 大石 果林, 高濱 宗一郎, 南 留美, 喜安 純一, 山本 政弘
    セッションID: PW-22
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    巨細胞性動脈炎(GCA)は高安動脈炎と共に大血管炎に分類されるが,本邦での頻度は比較的少ない.今回当科で経験したGCAの臨床的検討を行った.GCAの診断はアメリカリウマチ学会分類基準(ACR1990)に従った.症例は男性1名,女性11名.平均年齢67.7歳(59~78歳).初診時平均CRP7.07mg/dl.側頭動脈の腫脹・圧痛を認めた症例は6例で,生検を行った4例に多核巨細胞を含む血管炎の所見を認めた.抗リン脂質抗体が6例(抗カルジオリピン抗体IgG6例,抗カルジオリピンβ2GPI抗体6例,ループスアンチコアグラント0例)に陽性であった.リウマチ性多発筋痛症の合併は2例であった.治療に関してはステロイド大量療法が行われ,いずれも反応は良好であった.今回の検討では抗リン脂質抗体陽性例が多かった.しかしながら血栓症状との因果関係は明らかでなく,また治療により抗体価の低下がみられ,炎症による2次的なものが推察された.
  • 岡崎 俊一郎, 名越 智, 舘田 健児, 片田 竜一, 水尾 圭祐, 渡邊 智, 山下 敏彦, 松本 博志
    セッションID: PW-23
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】特発性大腿骨頭壊死症の発生には、ステロイドの関与が報告されている。SLE患者ではステロイド性大腿骨頭壊死症が多く報告されているが、その発生機序は明らかとなっていない。機序解明には動物モデルが不可欠であるが、ステロイド単独投与では大腿骨頭壊死症が発生しないことが知られている。本研究ではラットモデルを作成し、その発生における自然免疫シグナリングの役割について検討を行った。 【方法】Wistar系雄ラットを用いtoll-like receptors(TLR)のligandを投与したのち、さらにmethylpredonisoloneの投与を行った。採血および両大腿骨を採取した。生化学的検査および炎症性サイトカイン濃度を測定した。骨は組織染色を行った。 【結果】いずれのligand投与によっても、大腿骨頭壊死症の発生を認め、その発生率は30~60_%_であった。軽度の肝機能障害および脂質代謝異常を伴っていた。また、血中炎症性サイトカインの発現異常を認めた。 【考察】SLEの病態は多臓器障害と免疫異常を特徴とした全身性炎症性疾患であり、その病態にはTLRsの関与が報告されている。本研究においても、TLRsのligand投与後にステロイドを投与することによって、大腿骨頭壊死症の発生を認めたことから、その発生にTLRs以下のsignaling pathwayが重要な役割を果たすことが示唆された。
  • 庄田 宏文, 藤尾 圭志, 山本 一彦
    セッションID: PW-24
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    【背景】HLA-DR4と結合する自己抗原由来epitopeであるBiP336-355を同定した。このepitopeを認識する自己反応性TCRを持つCD4+T細胞の表現型について検討した 【方法】HLA-DR4陽性健常人・RA患者・SLE患者末梢血および関節滑膜のBiP336-355-HLA-DR4-Tetramer陽性CD4+T細胞の表現型・サイトカイン発現をRT-PCRおよびFACSにより解析した。またPBMCsをBiP336-355で刺激し、増殖反応を3H-Thymidine取り込みにより測定した。 【結果】RA患者ではSLE患者・健常人と比較してBiP336-355-HLA-DR4-Tetramer陽性率は低かった。陽性細胞は存在したが、CD25, CD45RAによる表面マーカー解析ではnaïve T細胞, memory T細胞が主で、制御性T細胞はほとんど存在しなかった。健常人ではIFN-gamma分泌がみられたが、RA患者でのみIL-17分泌が強く誘導されていた。健常人由来のPBMCsはRA患者由来と比較してBiP336-355刺激による増殖が弱かった。RA患者滑膜CD4陽性T細胞のBiP336-355-HLA-DR4-Tetramer陽性率は末梢血の約10倍で、主にIL-17を産生する細胞であった。 【考察】BiP336-355-HLA-DR4-Tetramer陽性細胞は健常人にも出現しているが、RA患者においては滑膜に浸潤し、何らかの刺激によりIL-17分泌が誘導されることでPathogenicな細胞集団となる可能性が示された。
  • 井上 明日香, 松本 功, 梅田 直人, 田中 勇希, 玉暉 智美, 住田 孝之
    セッションID: PW-25
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 TIARPは関節炎マウス脾臓および関節に強発現している。本研究では、TIARP欠損マウスを作製し、関節炎発症における機能を明らかにすることを目的とした。 【方法】1) C57BL/6 系統のTIARP 欠損マウスを作製し、コラーゲン誘導関節炎(CIA)の発症率、重症度を比較した。2) 免疫後のマウス鼠径リンパ節細胞を抗原(CII)存在下で培養し、産生されたサイトカインを比較検討した。3) 免疫後60日目の血清および関節中のIL-6、TNFα発現を検討した。4) 抗IL-6R抗体投与を投与し、関節炎の重症度を比較した。 【結果】1) TIARP欠損マウスにおいてCIA発症率・重症度ともに有意に低下した。2) in vitroでのCII再刺激によるCD4+T細胞からのIFNγ、IL-17産生は野生型と同等だった。3) 血清中IL-6濃度および関節のIL-6, TNFα mRNA発現は野生型と比較してTIARP欠損マウスで有意に高値を示した。4) 抗IL-6R抗体投与によりTIARP欠損マウス関節炎の重症度は有意に抑制された。 【考察】TIARPは獲得免疫を介さず、IL-6を含む炎症性サイトカイン産生を抑制することにより関節炎を制御している可能性が示唆された。
  • 村上 憲, 河野 正孝, 角谷 昌俊, 藤岡 数記, 藤井 渉, 中村 薫, 妹尾 高宏, 山本 相浩, 川人 豊
    セッションID: PW-26
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    スフィンゴシン1リン酸(S1P)はS1Pレセプターに結合することで細胞外メディエーターとして細胞の基本的なプロセスに影響を与えることが示されている。 今回我々はS1P3レセプターノックアウト(KO)マウスを用いブレオマイシン誘導肺線維症モデルを作成することで、炎症性疾患におけるS1P3レセプターシグナルの役割について検討を行った。結果は急性期においてKOマウスでは野生型(WT)マウスに比し体重減少は軽度で、炎症細胞浸潤も軽度であった。また気管支肺胞洗浄液(BALF)中の総細胞数はKOマウスで減少を認めた。慢性期においては肺の線維化がKOマウスではWTマウスに比し軽度であることが示された。BALF中のサイトカイン・ケモカイン濃度をELISA法で測定したところ、TGF-β1、MCP-1に関してはWTマウスとKOマウスで明らかな差を認めなかったが、CTGFに関してはKOマウスの方がWTマウスに比較して有意に低下していた。CTGFを介したS1P3レセプターシグナルが肺の線維化に重要な役割を果たしていることが示唆された。これらの結果はS1P3レセプターシグナルはブレオマイシン誘導肺線維症モデルにおける炎症惹起および肺の線維化形成において重要な役割をはたし、S1P3レセプターが炎症性疾患の治療ターゲットとなる可能性を示唆するものと考える。
  • 野田 真史, 浅野 善英, 多田 弥生, 菅谷 誠, 門野 岳史, 佐藤 伸一
    セッションID: PW-27
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    血管炎では免疫複合体が血管壁に沈着して補体や好中球が活性化されることが病態の中心と考えられてきた。近年、免疫複合体の沈着による炎症反応では、他のケモカインや接着分子の関与が指摘されてきている。そこで、白血球を炎症局所へ誘導することで多様な疾患の病態形成に関わっているとされているCXCR3とそのリガンドであるCXCL10の関与に注目した。血管炎においてこのCXCL10/CXCR3の機能はこれまで検討されていない。今回の実験では、CXCL10、CXCR3それぞれのノックアウトマウスと野生型マウス、計3系統のマウスを用いて逆アルサス反応における炎症反応の程度を比較した。まず、ニワトリ卵白アルブミンをマウスの尾静脈から注射し、その直後に抗ニワトリ卵白アルブミンIgG抗体を皮下注射することで、人工的に免疫複合体を沈着させ、皮膚血管炎を引き起こした。そして、皮下における浮腫(4時間後)の程度を評価した。また、抗体を注射した部位を皮膚生検して免疫染色を行い、quantitative RT-PCR法で炎症性サイトカインやケモカインの皮膚組織中におけるmRNA発現量を解析した。野生型マウスと比較して、CXCR3ノックアウトマウスでは炎症反応の有意な減弱はみられなかったが、CXCL10ノックアウトマウスでは浮腫、好中球浸潤、炎症性サイトカイン産生いずれの程度も有意に減弱していることが明らかとなった。よって、免疫複合体の沈着による炎症反応では、CXCL10が重要な役割を担っていることが示された。
  • 渡邉 隆司
    セッションID: PW-28
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】高脂血症・高血糖症改善作用を有するバナジウム水のS-180担癌マウスとHeLa S3培養細胞に対する作用効果の有無に関する検討。 【検討事項】1)バナジウム水(VW)の抗腫瘍作用:ICR系5週齢雄マウス鼠頸部皮下に肉腫 細胞(106コ)移植後、VW水(18.4μl/0.2ml)を35日間連日1回経口投与。肥大肉腫面積と摘出肉腫重量測定。2)免疫機能賦活化能:抗酸化作用の計測とリンパ球・多形核白血球測定(LP比)。3)HeLa S-3細胞増殖抑制・傷害作用:培養細胞数の経時的推移と細胞形態観察。4)VW水の個体及び細胞レベルでの毒性試験: 【結果】1)抗腫瘍作用:S-180細胞皮下移植後、5週目の肥大肉腫面積及び肉腫重量は著しく抑制された(p<0.05)。2)免疫賦活化作用:VW水の抗酸化作用とL/P活性化の対照群と実験群間での有意差はみられなかった。3)HeLa S3培養細胞増殖抑制作用・障害作用:対照群に比べ実験群での細胞増殖は顕著に抑制され、細胞の形態変化も顕著であった(p<0.05)。4)毒性作用:急性・亜急性毒性は皆無であった。 【結論】以上の結果から、VW水の肉腫形成抑制作用は免疫系機能の賦活化によるものではなく、移植時肉腫細胞あるいは培養癌細胞の細胞膜変異(水分浸透圧、酸・塩基平衡維持・Na/Kポンプなど)に伴う細胞の自己崩壊による直接的作用に起因することが示唆された。
  • 福與 俊介, 山岡 邦宏, 尾下 浩一, 園本 格士朗, 田中 良哉
    セッションID: PW-29
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    【背景・目的】強皮症や皮膚筋炎の皮下異所性石灰化は、アポトーシスに伴うカルシウム沈着と考えられてきたが、最近では骨芽細胞様の石灰化機序が考えられている。そこで、皮下脂肪組織中の多能性幹細胞(ADSC)が、炎症性サイトカインによって骨芽細胞様に分化誘導される可能性を検討した。 【方法】骨芽細胞分化誘導培地でADSCを培養し、IL-6/IL-6R、TNFα、IL-1βの添加または末梢血単核球細胞(PBMCs)と共培養を行い、石灰化につき検討した。 【結果】ADSCとPBMCsの共培養では、8日目に著明な石灰化と骨芽細胞分化マーカーの発現を認めた。IL-6/IL-6R、TNFα、IL-1βをADSCに添加したところ、培養8日目には何れのサイトカインも濃度依存性に石灰化増強作用骨芽細胞分化マーカーの発現を認めたが、IL-6/IL-6Rで最も強い石灰化増強作用を認めた。なお、IL-6単独では作用がなかった。PBMCsとの共培養上清中には高濃度のIL-6を認め、抗IL-6受容体抗体添加による石灰化抑制作用を認めた。さらに培養1日目にTNFα、IL-1βではWNT5A、IL-6ではROR2の発現増強を認めたが、βカテニンは著変なく、non-cannonical pathwayの、石灰化増強作用への関与が考えられた。 【考察】皮下組織などの間葉系組織の炎症を伴う自己免疫疾患では、炎症性サイトカインがADSCに作用し、骨芽細胞分化に重要なWntシグナル経路を介した異所性石灰化の機序が考えられた。
  • Zhang Xiangmei, Yamaoka Kunihiro, Sonomoto Koshiro, Satake Makoto, Oka ...
    セッションID: PW-30
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    Objective: Although treatment of rheumatoid arthritis (RA) has developed, it is still a challenge to aim bone repair. Recently, we have demonstrated that mesenchymal stem cells (MSCs) suppress osteoclastogenesis and enhance osteobalstogenesis in vitro. In order to enhance the function of MSCs We herein evaluate the effect of MSCs on collagen induced arthritis (CIA) rats. Methods: MSCs seeded on poly-lactic-co-glycollic acid (PLGA) sheet were cultured on plastic plate under osteoblastic stimulation or implanted into ankle joints of CIA rats. Osteoblastic markers, mineralization, arthritis score and joint X-ray were evaluated. Results: MSCs seeded on PLGA sheet showed early mineralization starting at day 7, whereas it took more than 10 days for MSCs seeded on plastic plates. Addition of IL-1 enhanced mineralization and osteoblastic markers suggesting ability of MSCs to differentiate into osteoblasts even under inflammatory circumstance. When sheet with MSCs are implanted into CIA rats, they delayed the onset of arthritis one to three days. The arthritis score in rats with human MSCs were 50% compared to control CIA rats. Bone damages detected by X-rays were suppressed in ankle joints with MSCs. Conclusion: MSCs combined with PLGA sheet improved arthritis and suppressed bone destruction. These data show the possibility of transplantation of MSCs into joints of RA.
  • 矢部 寛樹, 塚原 智英, 川口 哲, 和田 卓郎, 鳥越 俊彦, 佐藤 昇志, 黒岩 卓, 寺井 千尋, 青木 正哉, 廣瀬 茂道, 森岡 ...
    セッションID: PW-31
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    Ewing肉腫は主に青少年期に発症する高悪性の骨軟部腫瘍である。肺転移例,体幹発生例など広範切除不能例では特に予後が悪く、近年、腫瘍抗原を標的とした免疫療法が注目されている。HLA class Iは細胞膜上で腫瘍抗原由来のペプチドを提示し,CD8+T細胞(キラーT細胞)により認識され,抗腫瘍性免疫応答に重要な役割をもつ.今回, ESFT 28症例を対象とし,生検組織における抗HLA class Iモノクローナル抗体(EMR8-5)を用いたHLA class I発現,またCD4,CD8リンパ球浸潤を調べ,累積生存率ほか臨床病理学的因子との関連を検討した.HLA class Iは18例(64%)で発現しており,無発現群(10例)は有発現群と比し有意に予後不良となる結果が示された(P=0.037).またCD8+Tリンパ球浸潤はHLA class I の発現強度と強く相関し(P=0.014),両者の存在は腫瘍の大きさ、新たな転移巣出現の有無、全生存率と関連していた.以上の結果から,ESFTにおいてHLA class IはCD8+Tリンパ球を介する免疫応答において重要な役割をもつと考えられ,HLA class I発現とCD8+Tリンパ球浸潤の共存がESFTの予後に影響を及ぼすことを本検討で初めて示した.
  • 吉川 聡明, 高原 将司, 富山 舞, 黒田 あゆみ, 白川 博文, 信岡 大輔, 澤田 雄, 酒村 智子, 贄田 美江, 前川 隆司, 中 ...
    セッションID: PW-32
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]がん患者に対する抗原特異的細胞傷害性T細胞(CTL)移入療法の臨床応用を目指し、ペプチド特異的なCTLを効率良く大量に誘導する培養方法を確立すること、及びその治療効果を免疫不全マウスを用いて実証することを目的とした。
    [方法]Glypican-3(GPC3)ペプチドワクチン投与前後の進行肝細胞癌患者末梢血単核球(PBMC)を使用した。新規CTL培養法としてPBMCにゾレドロン酸とGPC3ペプチドを共感作し、GPC3ペプチド特異的CTLを大量に誘導した。培養後の総細胞数、GPC3ペプチド特異的CTLの割合、γδT細胞の割合等をフローサイトメーターにて評価した。また、GPC3強制発現肝癌細胞株を使用し、細胞傷害性試験、及びNOD/Scidマウスに移植したモデルでの腫瘍増殖抑制効果を評価した。
    [結果]少量のPBMC(2×106個)からGPC3ペプチド特異的CTLが大量誘導可能である(1.8×105個~6.1×107個, 増加率:490倍~170,000倍)ことが確認され、そのCTLはGPC3特異的な細胞傷害活性等の機能を有していた。in vivo 試験において、NOD/Scidマウスの系で抗腫瘍効果を評価した結果、GPC3特異的CTLとγδT細胞、それぞれに起因する抗腫瘍効果が確認された。
    [結論]新規CTL誘導法によりGPC3ペプチド特異的CTLを大量に誘導することが可能であった。
  • 今村 充, 赤平 理紗, 川畑 仁人, 神崎 健仁, 道下 和也, 江里 俊樹, 土肥 眞, 山本 一彦
    セッションID: PW-33
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    <背景>T細胞の中枢性免疫寛容機序としては、細胞除去、TCR改変による自己反応性の回避のほか、自己反応性TCRを有する細胞として末梢に出現する経路としては、Foxp3+制御性T細胞(Treg)への分化経路以外知られていない。本研究では、自己反応性T細胞の新たな制御・分化経路を明らかにするために、以下の遺伝子改変マウスを作成し解析した。 <方法>Rag2-/-×DO11.10マウスでは、全てのT細胞がニワトリ卵白アルブミン(OVA)に反応する単一TCRを発現している。また全身性核抗原としてOVAを発現しているトランスジェニックマウス(Ldn-OVA)と、Rag2-/-×DO11.10マウスを交配して作成したRag2-/-×DO11.10×Ldn-OVAマウス(RagDBL)では、全身性自己抗原反応性T細胞が胸腺で分化し、その多くがTregである。そこで本研究では、機能性Foxp3を欠損するScurfyマウスをRagDBLマウスに交配して、RagDBLsfマウスを作製し、Tregへの分化以外の経路の有無やその機能を解析した。 <結果>RagDBLsfマウスでは、加齢と共に皮膚炎が自然発症するが、皮膚以外の臓器障害は認めなかった。胸腺および末梢リンパ組織では、自己反応性T細胞受容体を有し、CD44high CD45RBlow CD62Llowの抗原認識後のT細胞が出現した。これらのT細胞はCD25、GITRなど従来のTregマーカーを発現せず、Tregとは異なる新たな自己反応性T細胞の分化経路が存在すると考えられた。更にこのT細胞は特徴的な表面マーカーを発現し、生体内ではanergicな状態と考えられた。このT細胞の機能、生体内での意義、野生型マウスでの存在について現在検討中である。
  • 日高 利彦, 橋場 弥生, 黒田 宏
    セッションID: PW-34
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    【目的】関節リウマチ(RA)に対する白血球除去療法(LCAP)の制御性T細胞(Treg)機能に及ぼす効果を調べた。【方法】薬剤抵抗性RA患者13例を対象としたセルソーバによるLCAPを行なった。治療効果の判定は治療終了8週後のDAS28-CRPで行った。Tregの機能は、抗CD3/CD28抗体刺激によるエフェクターT細胞の細胞増殖に対するTregとの共培養による抑制能で評価した。【結果】RA患者の13例中11例がmoderate response以上の効果を示した(good/moderate/no = 2/7/4)。Tregの細胞増殖抑制活性は、健常人に比し、RA患者で有意に低下していた(68.6 % vs. 6.6%)。No response群では 治療8週後のTregの細胞増殖抑制活性の改善を認めなかったが(-9.7%)、moderate response達成群では若干改善(12.7%)、Good response達成群では顕著に改善していた(58.1%)。【考察】RAに対するLCAPの治療効果としてTregの機能回復が示唆された。
  • 中澤 裕美子, 河合 利尚, 澤 新一郎, 稲木 誠, 渡辺 信之, 横山 みどり, 小崎 里華, 清谷 知賀子, 小野寺 雅史
    セッションID: PW-35
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    <目的> 共通ガンマ鎖(γc)異常により発症するX連鎖重症複合免疫不全(X-SCID)はT細胞、NK細胞の欠失とB細胞の機能不全を特徴とし、造血幹細胞移植後のドナーB細胞の生着率(キメリズム)評価は患者follow upにとって重要となる。今回変異型γcを発現する2組のX-SCID4症例に関し、移植後の臨床経過と免疫学的回復を検討した。
    <方法> 対象は2組のX-SCIDの兄弟例で、その遺伝子変異はQ322XとQ61Pである。全例でFlu+L-PAMの前処置によるHLA6座一致臍帯血移植を行った。
    <結果> 現在、移植中の1例を除く3例で、移植後にリンパ球数、免疫グロブリン値、T細胞幼弱化反応、NK細胞活性は正常化した。ただ、ドナー由来B細胞の割合が35%、10%未満と低値であり、特にキメリズムが10%未満であった1例では、血清γグロブリン値が正常域にあるのも関わらず移植後も重篤な感染症を繰り返している。
    <考察> 血清γグロブリン値が正常範囲であってもB細胞のキメリズムによっては特異抗体が作られず、頻回なる感染症に罹患する危険性が示唆された。γcを発現する症例では、積極的にshort tandem repeat (STR)-PCR法等によりB細胞のキメリズムを評価する必要がある。
  • 泉川 美晴, 洲崎 賢太郎, 壇上 淳一, 中島 崇作, 島田 裕美, 竹内 洋平, 高野 耕志郎, 亀田 智広, 土橋 浩章, 松永 卓也
    セッションID: PW-36
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    近年、自己抗体や自己反応性のT細胞を認めず、臨床的には周期性の発熱を認める疾患群としてautoinflammatory syndrome自己炎症症候群(AIS)という概念が提唱されている。これらの疾患の原因遺伝子の発見により、自然免疫における細胞質NLR(NOD-like receptor)ファミリー受容体の病態が明らかにされつつある。今回、当施設で経験した2症例について、NLRの異常が関与している可能性について、文献的考察などをふまえて検討したので報告する。  【症例1】28歳女性。出生時から、冬季になると顔や四肢に発疹が出現していた。その後も寒冷暴露時に発熱・発疹が出現し、16歳頃からは関節炎が加わるようになり、精査を受けたが確定診断には至らず、ステロイド内服で治療を受けている。その後も寒冷発作のエピソードを繰り返しており、AISの一疾患であるfamilial cold autoinflammatory syndrome家族性寒冷蕁麻疹(FCAS)を疑い、遺伝子解析などについて検討した。  【症例2】23歳女性。元来健康であったが、妊娠中のインフルエンザ感染を契機に血球貪食症候群を呈した。骨髄穿刺および末梢血にて、体細胞型染色体異常46, XX, t(3;17) (q21;p13)を認めた。ステロイドパルス2クール施行にてHPSは改善し、妊娠40週で正常分娩にて女児を出産した。しかし、その後も再発する発熱を認めている。本症例で染色体異常が認められた17p13は、発熱に関連した遺伝子としてはNLR1をコードしている。HPSを発症し、その後周期性発熱を認める本症例の病態に、染色体異常が関連している可能性やNLRの関与の有無について考察した。
  • 角田 慎一郎, 西岡 亜紀, 森本 麻衣, 藤田 計行, 日野 拓耶, 岡崎 亮太, 関口 昌弘, 東 直人, 北野 将康, 神田 ちえり, ...
    セッションID: PW-37
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    症例は50代,女性.主訴:浮腫,紫斑.現病歴:2年半前より関節リウマチで外来通院中.半年前より下肢の紫斑,腹痛,腎機能低下を認め,腎生検で紫斑病性腎炎と診断.パルス療法を含めたPSL治療を行いPSL10mg/dayで維持していたが,IgGは治療開始前1400mg/dlであったが,治療開始2ヶ月後より常時500mg/dl以下に減少し,定期的にガンマグロブリンの補充を開始.今回,下肢浮腫と紫斑,尿蛋白(2+),尿潜血(2+)で紫斑病性腎炎の再燃を疑い入院.入院時血液検査:Cr0.98mg/dl,CRP10.6mg/dl,IgG316mg/dl,IgM66mg/dl,IgA53mg/dl,C3 135mg/dl,C4 <1mg/dl,CH50 10,クリオグロブリン(+),FactorXIII 106%,HCV(-).入院後,腎機能低下は認めなかったが,紫斑が全身に広がり,パルス療法を含めPSL40mg/dayで治療したが,改善せず.末梢血リンパ球はCD4 24.7%,CD8 47.6%,CD19 0.6%であり,T細胞受容体Vβレパトア解析ではCD4+Vβ5.1+T 細胞24.7%,CD8+Vβ14+T細胞10.4%と特定のクローンの増殖を認め抗原特異的な強い反応と考えた.エンドキサンパルス療法を併用し,病状は安定した.C4欠損症では,様々な免疫異常を起こすことが知られており,本症例の重症化にも影響したと考えられる.
  • 水野 由美, 田中 珠美, 原 寿郎
    セッションID: PW-38
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    目的:インフルエンザA(H1N1)2009では基礎疾患として気管支喘息を持つ小児での重症化が報告された。小児インフルエンザA(H1N1)2009感染症の呼吸器合併症の病態を解析するために血清中IgEおよび血清中サイトカインと臨床症状の関連について検討した。 方法:当科に入院しPCRで診断したインフルエンザA(H1N1)2009患者で血清IgEを測定した207人。合併症は呼吸器合併症(肺炎、喘息発作・気管支炎)111人、神経合併症(熱性けいれん、異常行動・異常言動)43人、合併症なしが53人だった。91人の患者の血清IFN-γ, TNF-α, IL-1β, IL-2, IL-4, IL-6, IL-8, IL-10 およびIL-12p70 を CBA(cytokine beads assay)、血清IL-13,IL-17,IL-23をELISA kitを用いて測定した。 結果:血清IgEは呼吸器合併症群では神経合併症および合併症がない群に比較して有意に高値で、呼吸器合併症では低酸素血症がある群でない群より有意に高値だった。低酸素血症がある群では、喘息等のアレルギー性基礎疾患がない群でもIgEが有意に高値だった。IL-6は呼吸器合併例で低酸素血症がある群ではない群より有意に高値だった。IL-13は低酸素血症がある群ではない群に比較して高い傾向が、IL-17およびIL-23低い傾向があったが有意差はなかった。 結語:血清IgEとIL-6は小児インフルエンザA(H1N1)2009患者で低酸素血症を伴う患者では伴わない患者に比較して有意に高値で、呼吸器合併症の重症化の指標の1つになるものと考えた。呼吸器合併症患者で低酸素血症をともなう群では、アレルギー性基礎疾患がない患者でもIgEが有意に高値だったが、機序についてはさらに検討が必要である。
  • Song SNJ, Nishikawa T, Isobe T, Ito H, Tanikawa M, Yoshizaki K
    セッションID: PW-39
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    Increase of acute-phase proteins in serum comprises a major pathophysiologic phenomenon during inflammatory states. Clinical studies revealed that serum level of SAA and CRP were normalized by ant-IL-6R Ab treatment, but not by anti-TNFα Ab in RA patients. By analyzing transcriptional mechanism in vitro, we found that IL-6-STAT3 signaling is essential for CRP/SAA induction and augmentation in the presence of TNFα. In addition, hepatic iron-regulated peptide hepcidin is an acute-phase reactant and its overexpression is response for anemia of inflammation (AI), and IL-6 is indicated as major inducer of hepcidin expression. We further found that anti-IL-6R Ab treatment resulted in reduction of serum hepcidin which accompanied by progressive normalization of iron-related parameters in MCD or RA patients in the present study. Although TNFα blockade also resulted in decrease of serum hepcidin in RA, it decreased by a smaller margin. In in vitro experiments, IL-6, but not TNFα induced hepcidin mRNA expression in hepatocytes was completely inhibited by anti-IL-6R Ab, and partially by EPO, but not by TNFa inhibitors. Our results suggest that IL-6-induced hepcidin plays a key role in the development of AI, TNFα may contribute to AI by hepcidin-independent mechanism.
  • 渡部 香織, 小池 竜司, 酒井 良子, 田中 みち, 山崎 隼人, 駒野 有希子, 南木 敏宏, 宮坂 信之, 針谷 正祥
    セッションID: PW-40
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】ニューモシスチス肺炎(PCP)は、TNF阻害薬使用関節リウマチ(RA)患者において、最も注目すべき日和見感染症の一つである。これまで、インフリキシマブ、エタネルセプト投与下に発症したPCPについて、発症危険因子を同定した。今回は、アダリムマブ(ADA)使用RA患者におけるPCPについて、臨床的特徴、発症危険因子を解析した。【対象・方法】ADAの市販後調査開始後より2010年4月までにPCPを発症した17例および、PCP非発症ADA投与患者89例を集積し、後ろ向きケースコントロール研究を行った。【結果】PCP発症例の平均年齢は66.5歳、男女比3対7、平均罹病期間12年、既存の肺病変合併は8例であった。PCP発症時、13例でPSLを併用しており、平均投与量は5.9mg/日、MTXは全例で併用しており、平均投与量は7.5mg/週であった。また、PCP発症例は関節破壊の進行した例が多かった。これらの症例とPCP非発症患者を比較したところ、PCP発症危険因子として、単変量解析の結果では高齢、SteinbrockerのstageIII以上が同定された。既存の肺病変の合併はリスクが高い傾向にあった。本研究はADA投与下のPCP研究会会員との共同研究である。
  • 白石 暁, 土居 岳彦, 大賀 正一, 石村 匡崇, 瀧本 智仁, 高田 英俊, 宮本 敏浩, 安部 康信, 原 寿郎
    セッションID: PW-41
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    【緒言】EBウイルス関連血球貪食症候群(EBV-HLH)は、造血幹細胞移植(SCT)が必要な重症例から自然軽快例まで様々である。今回、当院におけるEBV-HLH 症例の臨床像と治療経過から治療選択性において有用な予測因子について検討した。
    【対象と方法】1999年以降当院に入院したEBV-HLH患者の特徴、治療と反応性を後方視的に解析した。免疫調節療法、多剤化学療法およびSCTと段階的に治療した。
    【結果】症例22例(男9、女13)の年齢中央値は5歳(範囲9ヶ月~41歳)であった。EBウイルスの初感染が19例で再活性化が3例であった。2例が経過観察で軽快し、免疫調節療法を20例に施行し12例が軽快した。残り8例に化学療法を施行し5例が軽快し再活性化例の1例が死亡した。EBウイルス再活性化例であり化学療法で病勢を沈静化できなかった2例にSCTを施行し1例が死亡した。化学療法を必要した群(n=7)と未施行群(n=15)を比較し治療反応性を検討した。未施行群では発症時から治療開始までの期間が有意に短く(p=0.006)、可溶性IL-2受容体の値が低値であった(p=0.042)。
    【考察】EBV 再活性化例や治療開始までが長い例は、重篤な経過をたどる傾向にあることが示された。早期に診断し免疫調節療法を開始し、再活性化例には化学療法を導入してSCTに備える体制の確立が予後改善に必要と考えられる。
  • 呉 艶玲, 柯 峰, 陳 磊, 高 見, 張 厳峻, 張 文
    セッションID: PW-42
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    Objective: To investigate the relationship between CD4+CD25+Treg cell and its surface-expressed molecule CTLA-4 in the peripheral blood monocyte (PBMC) and disease progression with HIV/AIDS patents. Methods: 50 HIV/AIDS-positive samples are confirmed by both ZheJiang Provincial and Xihu municipal Center for Disease Prevention and Control. 10 samples of healthy volunteers were randomLy selected as negative control. Using QIAGEN RNA Blood Mini Kit the RNA was obtained; the HIV viral load was obtianed by nucleic acid amplification test (NASBA); the immune cell count was detected with flow cytometry(FACS); and finally the CTLA-4 mRNA was detected and analyzed using RT-PCR method. Results: CD4+CD25+Treg Cell in PBMC of HIV/AIDS patiennts is notablely higher than that in negtive reference group(p = 0.04), and CTLA-4 mRNA is more highly expressed in CD4+CD25+Treg subpopulation (p = 0.002) than that in healthy group and also in the AIDS group treated with HAART. Conclusion: CTLA-4 as CD4+CD25+Treg cells specific activation marker may play an important regulaton role in the pathogenesis of HIV/AIDS progression.
  • 粟屋 昭
    セッションID: PW-43
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    [背景]全身性血管炎を惹起する川崎病は乳幼児特異的な急性発熱性疾患であり、1962年の学会報告後、今だ原因不明の疾患とされているが、2003年に粟屋&佐橋は、KDは花粉飛散・被曝と関連していることを1970年代からの両者の動態を比較して示した。 [方法]本報告では、1991~2002年の神奈川県KD発症数5,917名(自治医大公衆衛生学教室ご恵与data)と国立相模原病院観測・ご恵与dataの花粉飛散数との相関性を月別に回帰分析し相関マトリックスを作製した。 [結果]3月のすべての花粉合計数と各月のKD患者数との相関係数(c.c.)は、8月(0.88)、11月(0.72)、5月(0.68)、4月(0.66)であり、4月の全花粉合計数と8月のKD患者数とのc.c.は0.72、2月の全花粉合計数と7月のKD患者数とのc.c.は0.62であった。3月花粉数と各月の患者数の平均c.c.は、3月で0.60、10月で0.47、 7月で0.45、4月で0.35、2月で 0.31 であった。2月、3月、4月の花粉数は、年間花粉合計数のそれぞれ4.7%, 40.6%, 38.8%であり、スギ花粉の割合はそれぞれ93.8%, 84.3%, 10.9%であった。[結論]3月の花粉数、特にスギ花粉数と、遅延的に1~8ヶ月後の月の患者数との間に、有意な相関関係があることが示された。[推論]川崎病発症の際に起こるBCG接種跡腫脹は花粉再感作による遅延型過敏反応の全身的な亢進によるものと考える。
  • 安井 耕三, 近藤 陽一, 山下 信子, 長岡 義晴, 齊藤 有希惠, 八代 将登, 津下 充, 森島 恒雄
    セッションID: PW-44
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    生物学的製剤の治療導入により、リウマチ疾患群の治療予後は劇的に改善した。一方それに伴う副作用が問題となっている。なかでもinfliximab投与による結核発症の増加が関心を集めている。単球は種々のサイトカイン刺激によりマクロファージ・樹状細胞・破骨細胞・多核球に分化する。なかでもTNF-αはマクロファージ活性化や肉芽腫・多核巨細胞(Langhans-type)形成といった結核菌に対する単球の免疫防御発現にとって不可欠なサイトカインとされている。 [目的]肉芽腫病変における多核巨細胞(MNGC; Langhans-type)への分化誘導のメカニズムの検討を行うことにより、生物学的製剤による結核発症のメカニズムの検討を行った。 [方法]末梢血から単球を90%以上の純度で単離。GM-CSF(20ng/mL)・TNF-α(20ng/mL)・IL-4存在下に21日間培養。細胞分析プログラムを用いて多核細胞について形態および機能解析を行った。 [結果]GM-CSF+IL-4は樹状細胞にさらにTNF-α刺激が単球を有効に集簇させ多核巨細胞へと分化させた。巨細胞はFAK・Rhoキナーゼの阻害により、細胞癒合が阻止された。また巨細胞形成は、抗TNF-α中和抗体により強力に抑制されたが、TNF-αRIIに対する抗体では影響が無かった。 [結論]Langhans巨細胞形成とその維持は細胞内寄生菌である結核菌の免疫防御に重要であり、この機能低下が結核発症(潜在性感染の顕性化)に関与すると推察された。Etanercept/Tocilizmabでは細胞分化への影響は乏しく、結核発症率には影響が少ないと考えられた。各生物学的製剤使用中の結核発症症例数と併せ報告する。
  • 日野 亮介, 濱 佳世, 笛木 はるな, 大森 俊, 澤田 雄宇, 中村 元信
    セッションID: PW-45
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    乾癬に対してTNF阻害薬が使用されるようになり,1年が経過した。多くの患者にはめざましい効果を示したが,その一方で効果不十分な症例があることが判明した。また,TNF阻害薬の投与によって膿疱性乾癬のような皮疹を形成することもあり,paradoxical side effectと呼ばれているが,その詳細なメカニズムは判明していない。当科で乾癬に対してインフリキシマブを使用した16例につき,臨床パラメータとともに末梢血単核球を採取し,フローサイトメーターにてplasmacytoid dendritic cell(pDC), myeloid DC (mDC), Th1, 2, 17細胞の治療前後での変動を調べた。投与後6週でPASIの改善率が50%に満たなかったnon-responderは2例あり,そのうち1例は全身が膿疱化するparadoxical side effectを認めた例であった。Non-responderにおいては,末梢血のpDCの割合が治療前に高く,pDCの遊走をもたらす因子であるchemerinを血清において測定したところ,non-responderにおいて高かった。Responderにおいては,PASIの低下とともにTh17細胞の割合が減少したが,non-responderでは治療前後でのTh17細胞は皮疹の悪化に伴いむしろ増加した。また,non-responderの臨床的特徴は,infusion reactionがあり,抗核抗体陽性,IgG高値であった。皮疹については明確に比較できる特徴はなかった。これらの結果をもとに,non-responderを治療開始前に予測し,より効果的な治療に早く誘導できる可能性,すなわち,乾癬に対するテーラーメイド治療ができる可能性があると考えている。
  • 棗田 将光, 山下 美鈴, 高杉 幸司, 藤原 宗一郎, 江澤 香代, 江澤 和彦, 那須 義久, 山本 渉, 西田 圭一郎
    セッションID: PW-46
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】アダリムマブ(ADA)は体重に関わらず40mg/2Wか80mg/2Wであるが体重別のADA血中濃度を検討した報告はなく、ADA血中濃度と臨床的有効性を検討した報告は本邦では無い。今回我々は体重とADA血中濃度の相関、さらにADA血中濃度と臨床的有効性の関連を検討した。【方法】ADA40mg/2W投与中のRA患者56例のADA血中濃度と抗アダリムマブ抗体(AAA)を測定し(Sanquin Diagnostics社)、投与開始前後の?DAS・?CDAI・DASresponse・ACR達成率にて評価した。【結果】40mg/2W投与56例のうち、AAA陰性例41例の体重と血中濃度の間には弱い負の相関が見られた。ADA血中濃度と?DAS・?CDAIの間には相関はなかったが、改善が見られなかった症例は全てADA血中濃度17μg/ml以下であった。ADA血中濃度5μg/ml以下と5μg/ml以上の群間比較では、5μg/ml以上の群が?DAS・DASresponse( moderate以上)で有意な改善をみた。ACR達成率は、20・50・70いずれも5μg/ml以上の群が有意差は無いが良好な改善傾向であった。【まとめ】?DAS・?CDAI・DASresponse と評価方法で違いはあるものの、臨床的有効性を得るためには血中濃度の維持が必要であるといえる。
  • 棗田 将光, 山下 美鈴, 高杉 幸司, 藤原 宗一郎, 江澤 香代, 江澤 和彦, 那須 義久, 山本 渉, 西田 圭一郎
    セッションID: PW-47
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】抗TNF製剤使用歴の有(スイッチ群)無(ナイーブ群)に群別し、臨床的有効性をADA血中濃度とAAA発現頻度とともに比較検討した。【方法】ADA投与中のRA患者56例のADA血中濃度とAAAを測定し(Sanquin Diagnostics社)、投与開始前後の?DAS・?CDAI・DASresponse・ACR達成率にて評価した。【結果】?DASはナイーブ群の改善率が有意に高く、?CDAI・DASresponse(moderate以上)・ACR達成率は有意差はないがナイーブ群が良好な改善傾向であった。なかでもETN・IFX両剤使用歴群は?DAS・DASresponse評価で有意差は無いが最も低い改善率であった。ADA血中濃度はナイーブ群がスイッチ群に比べ有意に高かった。スイッチ群のなかでもIFX使用歴群はナイーブ群と比べ有意にADA血中濃度が低かった。AAA発現率はスイッチ群がナイーブ群より有意に高く、なかでもIFX使用歴群とIFX・ETN両剤使用歴群が有意に高かった。ETN単独使用歴群ではナイーブ群とその発現率に有意差を認めなかった。【まとめ】ADAの臨床的有効性はスイッチ群が低く、その理由としてADA血中濃度の低いこと、さらにその理由としてIFX使用歴群とIFX・ETN両剤使用歴群にAAA発現率が高いことが一つの要因と考えられた。
  • 山下 美鈴, 棗田 将光, 高杉 幸司, 藤原 宗一郎, 江澤 香代, 江澤 和彦, 那須 義久, 山本 渉, 西田 圭一郎
    セッションID: PW-48
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】関節リウマチ(RA)に対するアダリムマブ(ADA)の有効性とADA血中濃度・抗アダリムマブ抗体(AAA)の関連を併用薬間で比較検討する。【方法】ADA投与中のRA患者でMTX併用21例、TAC併用23例、併用なし12例において、DAS28、CDAI、ACR改善率を評価し、4週以降でADA血中濃度とAAAを測定した(Sanquin Diagnostics社)。更にMTX群では用量別(2mg・4mg群と6mg・8mg群)に検討し、TAC群ではTACトラフ値との関連についても検討した。【結果】MTX群とTAC群では平均のDAS28とCDAIは4週以降有意に低下し、DAS28中等度以上の改善およびACR20達成率も単独群より良好であった。AAA発現はMTX群23.8%、TAC群26.1%、単独群33.3%であり、3群間でADA血中濃度に有意差は認められなかった。TAC群においては、ΔDAS28やDAS28中等度以上の改善はTACトラフ値が高いほど良い傾向にあり、TACトラフ値とADA血中濃度には相関が認められ、AAA発現はTACトラフ値が低いほど有意に多かった。MTX用量別では有効性、ADA血中濃度、AAA発現に有意差は認められなかった。【考察】MTX使用困難な症例にはTAC併用が有用であり、AAA発現抑制とADA血中濃度の維持にはTACトラフ値も重要であると考えられた。
  • 山下 美鈴, 棗田 将光, 高杉 幸司, 藤原 宗一郎, 江澤 香代, 江澤 和彦, 那須 義久, 山本 渉, 西田 圭一郎
    セッションID: PW-49
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    【目的】アダリムマブ(ADA)投与中のRA患者において、抗アダリムマブ抗体(AAA)発現の有無と背景因子や有効性との関連について検討する。【方法】AAA陽性群15例、陰性群41例に分け、背景因子や臨床的有効性(DAS28、CDAI、ACR改善率、継続率)を比較検討した。【結果】患者背景では、陽性群は陰性群に比し年齢が有意に低く、TNF製剤治療歴ありが多く、γグロブリン値が高値であったが、性別、罹病期間、体重、併用薬、ステロイド量、RF、MMP-3、抗CCP抗体、IgG・A・Mにおいて有意差は認められなかった。両群とも4週以降疾患活動性の低下が認められたが、ΔDAS28、ΔCDAIは陰性群の方が有意に改善しており、継続率も陰性群で高く(20週で有意差あり)、32週におけるDAS28中等度以上の改善のLUNDEXスコアは陰性群60.5%に対し、陽性群35.7%と低かった。陽性群ではADA血中濃度が有意に低かった。陽性群のうち1例は、ADA単独療法→TAC1.5mg/日併用によりAAAが陰性化してADA血中濃度が上昇し、臨床的寛解が得られた。7例は他剤(TCZ3例、ABT3例、ETN1例)に変更し、TCZ或いはABTに変更した症例は改善傾向である。【考察】AAA陽性群において臨床的有効性が乏しいのは、ADA血中濃度が低いことが一つの要因と考えられた。
  • 川尻 真也, 有馬 和彦, 鈴木 貴久, 西野 文子, 寶來 吉朗, 中島 好一, 岡田 覚丈, 玉井 慎美, 山崎 聡士, 中村 英樹, ...
    セッションID: PW-50
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    【目的】関節リウマチ(RA)患者において治療前後の関節エコースコアの変化を追跡するとともに,その変化に関与する血清マーカーを検索する。 【方法】RA患者35例(生物学的製剤20例,DMARDs 15例)において治療前と治療3ヶ月後で臨床評価(DAS28、CDAI、SDAI)および関節エコーによるスコアリング(6j-PDUSスコア=両側第2指、第3指MCP関節、手関節の6関節における4段階の半定量の総和;Rheumatology(Oxford)2011;50:962-5)を行う。また、Multiplex systemを用いて複数のサイトカインや増殖因子の血清濃度を測定する。 【結果】平均年齢53歳、平均罹病期間5年。臨床的評価項目は治療後有意に改善した。関節エコーによる6j-PDUSスコア(平均±SD)は治療前6.2±4.1であった。治療前において6j-PDUSスコアと臨床的評価項目は有意な正の相関(R=0.8)を認めた。6j-PDUSスコアは治療後4.0±3.8と有意な低下を認めた(p<0.00001)。Multiplex systemによる血清マーカーの測定は現在進行中であり、解析結果は学会にて発表する。 【総括】RA治療評価において関節エコーは有用である。関節エコー所見と関連がある血清マーカーに関して考察する。
  • 河邊 明男, 齋藤 和義, 辻村 静代, 田中 良哉
    セッションID: PW-51
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    骨破壊進行性関節リウマチ (RA)に自己免疫性好中球減少と脾腫を伴うFelty症候群 (FS)は治療抵抗性を呈す. 一方、リンパ球上P糖蛋白質 (P-gp)は細胞外薬物排出を齎し, P-gp高発現は治療抵抗性を示す. 今回、治療抵抗性を呈したFSに抗TNFα抗体Adalimumab (ADA)を導入し, 臨床病態制御効果、及び、P-gp発現への効果との関連を解析した. ステロイド薬 (CS)にMethotrexate (MTX)とtacrolimus併用開始し, G-CSF投与反復するも, 好中球<100/μlが持続. mPSL pulse療法を2回追加したが, 好中球一過性上昇のみで持続的回復得られず, CS減量不能, 著明な脾腫も持続. Bリンパ球上P-gp高発現持続, in vitroでCS添加時の細胞内CS濃度低下を認め、P-gp高発現に伴い治療抵抗性に陥り、治療強化の必要性が示された. ADA導入後, 速やかにP-gp発現低下, 細胞内CS濃度回復とともに好中球数回復維持, RA寛解到達, CS減量中止でき, 更に脾腫も縮小した. ADAはMTX抵抗性FSに対して、顕著な疾患制御を齎し、RA難治性合併症へのADAの有効性が示唆された. その機序として、ADAによるリンパ球上P-gp発現制御を介した治療抵抗性解除が考えられた。P-gp追跡評価は、疾患活動性・治療抵抗性・治療効果の迅速判定の臨床的指標となり, 治療方針決定に有用である.
  • 山川 範之, 川端 大介, 湯川 尚一郎, 吉藤 元, 大村 浩一郎, 藤井 隆夫, 三森 経世
    セッションID: PW-52
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    [目的] メトトレキサート (MTX)は関節リウマチ (RA)治療におけるアンカードラッグとして現在多くのRA患者に投与されているが、その一方でMTX投与中にリンパ増殖性疾患 (MTX-LPD)を発症することがある。[対象および方法] 過去10年間に当科で入院加療したMTX-LPD16例について臨床的解析を行った。[結果] 原疾患は、RA15例、多発性筋炎1例で、RAの2例はシェーグレン症候群、1例は全身性エリテマトーデス合併例であった。診断時の年齢は、平均65.2±7.2歳と高齢であった。RA病期は、Stage IVの進行例に多かった。MTX投与量は平均6.1±1.8mg/週で投与期間は平均64.1±51.6ヶ月であった。RA15例中3例はMTX-LPD発症前にInfliximabの投与歴があった。LPD診断部位は節外9例 (56.3%)、リンパ節7例 (43.8%)と節外に多かったが節外のうち8例(88.9%)が皮膚病変であった。病理像では非ホジキンリンパ腫 (Diffuse large B-cell lymphoma; DLBCL)が半数 (8例)を占めた。生検組織のEBER陽性者9例中、MTX中止のみで寛解した例は2例であった。[結語] 高齢RA患者においては低用量MTX投与例であってもLPDを発症する場合があり、リンパ節のみならず皮膚病変などの出現にも留意すべきと考えられた。
  • 島田 裕美, 亀田 智広, 洲崎 賢太郎, 檀上 淳一, 中島 崇作, 竹内 洋平, 泉川 美晴, 高野 耕志郎, 土橋 浩章, 松永 卓也
    セッションID: PW-53
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    【症例】40歳、女性【現病歴】17歳でSLEと診断され近医で加療。平成20年1月、交通事故で近医脳神経外科入院。入院後12時間目に頭痛と意識障害を生じ、くも膜下出血(SAH)と診断され当院紹介受診となった。SAHに対して血管内塞栓術が施行されたが、同時に脳血管の不整・途絶を認めた。抗ds-DNA抗体高値、低補体などSLEの疾患活動性も高いため、SLEによる血管炎と診断し、PSL20mg/日およびタクロリムスで加療、軽快退院した。平成21年9月、突然のめまいが出現。近医で多発小脳梗塞と診断され、入院加療により症状は改善した。その後、発熱、低補体など、原疾患の再燃が疑われたため当院転院となった。【経過】転院後、PSL20mg/日に増量後、発熱は改善したが、第3病日に再度突然のめまいと嘔吐が出現。頭部MRAで再び脳血管壁の不整を認めた。ステロイド大量療法およびプログラフを開始し、症状は速やかに改善した。頭部MRAで再び脳血管壁の不整も改善した。【考察】本例ではSLEの活動性に一致した脳血管障害を認め、免疫抑制療法で改善した。脳血管障害の原因として、SLEに合併した血管炎が疑われ、タクロリムスの併用が有効であった。NPSLEにおいて血管炎の存在が画像的に証明され、タクロリムスが有効であるとする報告は稀である。血管炎におけるタクロリムスの役割等も含め、若干の文献的考察を含めて報告する。
  • 檀上 淳一, 中島 崇作, 竹内 洋平, 泉川 美晴, 高野 耕志?, 亀田 智広, 洲崎 賢太郎, 光中 弘毅, 秋山 賢次, 土橋 浩章 ...
    セッションID: PW-54
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    抗リン脂質抗体症候群(APS)はHughesらによって提唱された抗リン脂質抗体陽性かつ、血栓症や妊娠合併症を発症する疾患である.APSは全身性エリテマトーデスや混合性結合組織病(MCTD)など自己免疫性疾患にしばしば合併し、これらは二次性APSと呼ばれる.またAPSの中に微小血栓から短期間に多臓器不全をきたす劇症型抗リン脂質抗体症候群(CAPS)という概念が近年注目されている.今回我々は、MCTDに合併した間質性肺炎急性増悪に対するステロイド療法中、治療に抵抗して呼吸不全で死亡した一例を経験した.しかしながら、剖検所見から、画像上間質性肺炎を疑っていた病変は、肺静脈血栓および巣状出血性病変と判明した. また、血栓症による多臓器不全を呈したため、CAPSと診断した。APSによる血栓症が間質性肺炎類似の所見を呈することは稀である.しかし膠原病において血栓症と間質性肺炎両者とも重要な合併症であり、治療が異なるためその鑑別は大変重要である。今回、文献学的考察も含め報告する.
  • 宮崎 佑介, 名和田 雅夫, 齋藤 和義, 河邊 明男, 好川 真以子, 平田 信太郎, 辻村 静代, 山岡 邦宏, 田中 良哉
    セッションID: PW-55
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    症例は37歳男性。2000年頬部紅斑、光線過敏、抗ds-DNA抗体・抗核抗体陽性よりSLEと診断され経過観察されたが、2004年左片麻痺・痙攣出現し髄液IL-6・IgG index高値ありNPSLEと診断。ステロイドパルス・IVCY施行にて、NPSLEの疾患活動性は制御された。2010年4月発熱が出現、同月当科紹介受診したが次第に39℃を越す発熱となり、咽頭痛、関節痛も出現したため7月当科入院。サーモンピンク疹、フェリチン高値、肝腫大よりAOSDの併発と診断。GC大量・ステロイドパルス療法施行するも、発熱、関節痛、フェリチン・CRP高値は全く改善しなかった。治療抵抗性AOSDに対し、血清IL-6 175pg/mlと高値であったことから患者・家族にIC取得の上、7月14日TCZ 8_mg_/kgを2週間隔で開始した。一旦CRP/フェリチンも改善認めたが、熱型再増悪、血清IL-6 1722とさらに上昇しておりIL-6の制御が不十分であると考えられTCZ投与を 1週間隔に短縮したところ、解熱、関節症状改善、血清IL-6減少・フェリチン陰性化を認めた。以降、MTX8mg/週併用にてAOSDの再燃なくTCZ投与間隔を4週間に延長、ステロイドもNPSLEの再燃を認めることなく減量しえた。SLEに合併したAOSDにTCZが奏功した報告は現在のところ認められていない。今回、治療抵抗性のAOSDに対し血清IL-6をモニタリングしながらTCZにて加療を継続し疾患活動性の制御が得られた貴重な症例を経験したので報告する。
  • 辻村 静代, 齋藤 和義, 宮崎 祐介, 田中 良哉
    セッションID: PW-56
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    ループス腎炎の_IV_型は、強化免疫抑制療法にてもしばしば難治例を経験する.一方、 P糖蛋白質(P-gp)は薬剤の細胞外排出にて治療抵抗性を齎すことを報告してきた。今回、多剤抵抗例にIVCY-MTX併用療法を行い, 臨床効果と治療抵抗性の改善機序を解析した. 症例は44歳女性. 高度な蛋白尿と低Alb血症, 抗dsDNA抗体上昇, 低補体血症を伴い, SLEDAI score 19, 腎生検で_IV_G(A/C)+Vの糸球体病変及び間質の著明なリンパ球浸潤を認めた. CS大量療法とbiweekly IVCYにて液性免疫改善するも, 蛋白尿, 低Alb血症持続, Cre上昇を呈した. 末梢血CD4+cellにCD69陽性P-gp高発現分画high expressing subgroup(P-HES)を認め, この分画において特にIL-2, 4, 6の自律産生亢進を認めた. 病態改善効果を期待してMTXを併用開始し、末梢血CD4+cellのP-HES消失とIL-2, 4, 6の自律産生低下に伴い, SLEDAI score 4, 低Alb血症改善, Cre低下を得た. 以上、IVCY-MTX併用療法は液性免疫と細胞性免疫の双方を制御し、P-gpを介する治療抵抗性改善を介して、ループス腎炎の病態を制御したと考えられた.
  • 竹原 和彦, 尹 浩信, 佐藤 伸一
    セッションID: PW-57
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    びまん型全身性強皮症に対するIVIGの有効性と安全性を二重盲検比較試験にて確認する。
    【方法】
    多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験にて、TSS 20点以上のびまん型全身性強皮症患者に対し、IVIG(400mg/kg/day×5日間:1クール)あるいはプラセボを静脈内投与した。投与12週後のTSS変化量を主要評価項目として比較した。
    【結果】
    投与前から投与12週後までのTSSの変化量(平均値±標準偏差)は、IVIG群 -3.3±4.2(31例)、プラセボ群 -4.2±4.6(31例)で、両群間に有意差は認められなかった(p=0.3257)。皮膚線維化層の厚さの変化率(平均値±標準偏差)は、IVIG群 -2.23±34.48 %(21例)、プラセボ群 7.51±25.55 %(22例)で、IVIG群の方が変化率は大きかったが、有意差は認められなかった(p=0.0985)。副作用の発現率についてはIVIG群の方が高かったが、発熱・頭痛など、一般的に知られている症状であった。TSSが5点未満の改善であった症例に対し、引き続き実施した長期観察試験にて再度IVIGを投与した結果、1クール投与の場合と比較してTSSに有意な改善が認められた。
    【結語】
    びまん型全身性強皮症に対してIVIGを再投与することにより有意な効果がみられたことから、IVIGの複数クール投与による有用性が示唆された。
  • 神人 正寿, 江藤 光彦, 牧野 雄成, 福島 聡, 尹 浩信
    セッションID: PW-58
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    non coding RNAの一種であるmicroRNAはmRNAの3' UTRに結合しその翻訳を阻害する事で様々な蛋白の発現調節をしていると考えられている。近年、microRNAが生体内で細胞増殖や分化などにおいて重要な働きをしていることが明らかになりつつあるが、様々な自己免疫疾患疾患におけるmicroRNAの関与についても研究が進んでいる。例えば全身性強皮症ではin vitroおよびin vivoでmicroRNA-29が減少し線維化を促進していることがすでに報告されている。今回我々は限局性強皮症の病変部皮膚組織および正常皮膚からmicroRNAを抽出しPCRアレイを行い、限局性強皮症ではmicroRNA-7が減少していることを見いだした。培養皮膚線維芽細胞でmicroRNA-7を抑制したところalpha2(I)collagenの発現が誘導された。また、限局性強皮症患者では血清中microRNA-7が有意に減少していることが確認された。以上より、限局性強皮症ではmicroRNA-7の減少がコラーゲンの異常発現に関与している可能性が考えられた。
  • 中島 崇作, 檀上 淳一, 島田 裕美, 竹内 洋平, 泉川 美晴, 高野 耕志郎, 亀田 智広, 洲崎 賢太郎, 土橋 浩章, 松永 卓也
    セッションID: PW-59
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
     膠原病は多臓器に障害を及ぼす自己免疫疾患である。そのうち、呼吸器合併症(胸膜炎、間質性肺炎など)は患者のADLを損ねる。一方で、膠原病に合併する肺動脈性肺高血圧症(CTD-PAH)は、その予後に影響する重要な合併症の一つである。CTD-PAHにおける研究の進歩はめざましいものがある。しかし、CTD-PAHの予後は非常に悪く、様々な病因が関わっているため、治療にしばしば難渋する。現在、CTD-PAHは抗凝固療法やiPAHに準じた肺血管拡張薬(PV)により治療されているのが現状である。CTD-PAHに関してはこれらに加え、免疫抑制療法(IS)が試みられており、ISの有用性を示す報告がある。ISの効果はPAHの発症時期に関係すると考えられ、早期の治療介入が以後のコントロールに影響してくる可能性がある。そして、抗凝固療法やPVが長期のCTD-PAH管理の要になると考えられる。我々は、自覚症状、心臓超音波検査(UCG)などよりスクリーニングを行い、心臓カテーテル検査(RHC)を施行し、早期CTD-PAHの診断を行っている。そして、早期CTD-PAHに関してのISやPVの有効性の検討を行っている。また、多施設共同での症例の蓄積、検討も行っており、あわせて報告する。
  • 好川 真以子, 齋藤 和義, 辻村 静代, 河邊 明男, 宮川 一平, 名和田 雅夫, 平田 信太郎, 山岡 邦宏, 田中 良哉
    セッションID: PW-60
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]ヒトトリプシン阻害薬ウリナスタチンは、生体由来のために細胞毒性が少なく,抗炎症・臓器保護作用を有する. その大量間歇投与療法(UT pulse)を既存免疫抑制療法抵抗性または継続困難な活動性間質性肺炎 (IP)を伴う膠原病患者に導入,臨床的効果と安全性を解析した. [方法]症例選択基準は膠原病による活動性IPを認め,既存治療抵抗性または継続困難で, IC取得症例. 主要評価項目は、UT pulse 月1回計3回施行後1ヵ月のCTスコア. 副次項目; KL-6,ステロイド薬(CS)投与量, 有害事象. [結果]評価症例9例(MCTD 1例,MPA 2例,DM/PM 2例,SSc 4例).UT pulse導入前と3回施行後で,CTスコア1.82±0.64→1.59±0.74 (p<0.05)と改善.KL-6 2270±2890→1083±879 U/ml (p=0.07)と改善傾向,CS投与量 29.9±25.2→15.4±13.7mg (p<0.01)と減量.UT pulse関連有害事象なし. [結論]骨髄抑制や感染症等のリスクが少ないUT pulseは多様な合併症を有する難治性症例にも有効かつ安全に継続できる.
  • 山本 元久, 西本 憲弘, 田邉谷 徹也, 苗代 康可, 石上 敬介, 清水 悠以, 矢島 秀教, 小原 美琴子, 鈴木 知佐子, 山本 博 ...
    セッションID: PW-61
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】IgG4関連疾患(IgG4-RD)は、高IgG4血症と臓器中の著明なIgG4陽性形質細胞浸潤を特徴とする疾患である。しかし近年、他の疾患でもIgG4高値を呈することが判明した。従来、自己免疫性膵炎(AIP)に関して、胆膵疾患を対照にした調査はされているが、リウマチ性疾患を対照にしたデータはない。そこで今回、リウマチ性疾患や他疾患での血清IgG4値を改めて検討し、リウマチ医にとってIgG4-RDの診断のための最適なカットオフ値を求めた。 【方法】当科を受診した418名(内、IgG4-RD102名、多中心性キャッスルマン病(MCD)は、和歌山県立医科大学よりデータ提供)を対象に、血清IgG4値を測定し、各疾患の平均値および高IgG4血症を呈した症例の頻度を解析した。IgG4-RDの診断はミクリッツ病、AIP診断基準に従った。対照をリウマチ性疾患とした場合の、IgG4-RDの診断のための最適なカットオフ値をROC曲線から解析した。 【結果】IgG4高値は、IgG4-RD以外に、血管炎、MCD、好酸球性疾患、一部の関節リウマチ、強皮症で認められた。最適なカットオフ値は144mg/dLで、その際の感度は95.1%、特異度は90.8%であった。 【結論】IgG4-RD以外でも高IgG4血症が確認された。血清IgG4高値はIgG4-RDの確定診断ではなく、補助診断として使用すべきである。
  • 苗代 康可, 山本 元久, 田邉谷 徹也, 鈴木 知佐子, 山本 博幸, 高橋 裕樹, 今井 浩三, 篠村 恭久
    セッションID: PW-62
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    目的:ミクリッツ病およびIgG4関連疾患は、稀発性である(疾患に対する無知にも起因している)ため、その病態生理の解明や治療法の検討には症例の集積が必要である。また行政施策としてはさまざまな対策を行う場合、現在のミクリッツ病の診療に関する実態や将来予測はきわめて重要となる。その中でも、数の捕捉、すなわち罹患率や有病率などの把握は最も基本的な事項である。そのためミクリッツ病における疫学的検討を全国的に行った。 方法:この全国疫学調査は、患者数推計のための一次調査と、臨床疫学像を把握するための二次調査から構成し、一次調査は病床数200以上のきわめて多数の医療機関に対して行い、回収率を高めるために男女別の患者数の報告のみの容易に回答できるものとした。二次調査では個々の患者の人口学的事項、臨床的事項を調査し、患者の性別、発症および診断時の年月日など、ほとんどの疾患に共通な項目と、症状、診断、治療など疾患に固有の項目を設定した。 結果:患者は全国に分布し、40~50代に好発し、性差はないこと等が判明した。また北海道に有意に多くの患者が存在していた。 結論:疫学調査よりミクリッツ病の概念が普及不足により、ミクリッツ病の診断が確実にされていない可能性がある。今後、疾患概念の普及が必要であり、病態解明、診断および治療法を確立するための研究が必須であると考えられた。
  • 丸山 暁人, 釜田 康行, 長嶋 孝夫, 岩本 雅弘, 簑田 清次
    セッションID: PW-63
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    67歳の男性。4か月前から持続する両側顎下部腫脹のため近医を受診、口腔乾燥症状と抗SS-A抗体陽性(ELISA法)からSjogren症候群を疑われ、当院を紹介された。オクタロニー法による再検では抗SS-A抗体、抗SS-B抗体とも陰性、ガムテスト、眼科所見とも陰性で、Sjogren症候群は否定した。血清IgG4が859 mg/dl(<135 mg/dl)と高値であったため、Kuttner腫瘍が疑われた。顎下腺針生検の病理組織所見では、小葉構造が消失し、導管構造の目立つ唾液腺組織に、高度のリンパ球・形質細胞浸潤や線維化を認め、免疫染色ではIgG陽性形質細胞の半数以上がIgG4陽性であった。他の臓器にIgG4関連疾患を疑う所見は認めず、Kuttner腫瘍と診断した。一方、4年前より肝胆道系酵素の上昇を認めており、抗ミトコンドリア抗体 640倍、抗ミトコンドリアM2抗体 143 U/mlと陽性であった。肝生検の結果、原発性胆汁性肝硬変(PBC)に合致する組織所見だった。免疫染色では、IgG4関連疾患を示唆する所見は認めなかった。IgG4関連疾患には自己免疫性膵炎、硬化性胆管炎などの合併がよく知られているが、今回はIgG4関連疾患であるKuttner腫瘍に、むしろSjogren症候群に伴うことが知られているPBCが偶然合併したと考えられ、より全体像を複雑にした症例を経験したため報告した。
  • 西村 啓佑, 仲 郁子, 三崎 健太, 津田 耕作, 大西 輝, 古形 芳則, 蔭山 豪一, 三枝 淳, 杉本 健, 河野 誠司, 熊谷 俊 ...
    セッションID: PW-64
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    【症例】69歳女性。【主訴】両下腿浮腫と点状紫斑。【現病歴】入院約1年前より両手指、両足趾関節に圧痛と腫脹を自覚し、近医で関節リウマチと診断された。その後メトトレキサート、ブシラミンで治療が開始となったが、関節炎の軽快は得られなかった。入院約6か月前に両下肺野に間質性肺炎を指摘され、メトトレキサートを中止し、アダリムマブ(ADA)を開始した。入院約1か月前より両下腿に浮腫と点状紫斑が出現し、その後に乏尿と腎機能悪化を認めた。急速進行性糸球体腎炎(RPGN)を疑われ当科紹介入院となった。RPGN、間質性肺炎、MPO-ANCA陽性から顕微鏡的多発血管炎と診断した。また抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)も陽性であった。ステロイドパルス療法、血漿交換、シクロホスファミド内服で寛解導入を行い、MPO-ANCA、抗GBM抗体ともに陰転化した。その後ADA投与前の血液検査からMPO-ANCA陽性、抗GBM抗体陰性の結果が得られた。【考察】ADA投与により抗GBM抗体が陽転化した可能性が考えられる。ADA投与後に抗GBM抗体の出現を認めた報告はなく、貴重な症例と考え報告する。
  • 中里 洋子, 溝口 史高, 針谷 正祥, 上阪 等, 宮坂 信之
    セッションID: PW-65
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    我々は、側頭動脈炎及びリウマチ性多発筋痛症の臨床像を呈したが、間質性肺炎、糸球体腎炎などの重篤な臓器障害を来し、MPO-ANCA陽性などから最終的に顕微鏡的多発血管炎の診断に至った症例を複数経験したので、報告する。症例1は80歳女性。両側頭部痛を主訴に来院し、蛋白尿、血尿を伴う急速進行性糸球体腎炎とMPO-ANCA高値を認めた。側頭動脈生検では、側頭動脈の内膜肥厚と弾性板の増生・断裂、炎症細胞浸潤を認めた。症例2は81歳男性。数年前より間質性肺炎を指摘。その後、両側頭部痛が出現し、MPO-ANCA高値を認め、側頭動脈生検では、側頭動脈に伴走する小動脈にフィブリノイド壊死と炎症細胞浸潤を認めた。症例3は68歳男性。両側頭部痛と全身の筋痛を主訴に来院し、蛋白尿、血尿、MPO-ANCA高値を認めた。側頭動脈生検では、側頭動脈本枝の一部と分岐する小動脈壁に炎症細胞浸潤、肉芽腫性血管炎の所見があり、腎生検にて半月体形成性糸球体腎炎を認めた。いずれも顕微鏡的多発血管炎と診断し、プレドニゾロン1mg/kg/日にて治療を開始したところ、症状は改善し、MPO-ANCAも陰転化した。側頭動脈炎様の臨床像を呈する症例の中には、細小血管炎を呈するものもあり、臓器障害やMPO-ANCAの有無につき評価する必要がある。
  • 嶋津 秀紀, 朝戸 佳世, 志賀 俊彦, 樋野 尚一, 矢野 智洋, 岸本 和也, 野崎 祐史, 生駒 真也, 入交 重雄, 木下 浩二, ...
    セッションID: PW-66
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/20
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    症例は18歳男性、平成20年7月から持続する左鼻出血を自覚し当院耳鼻科を受診。鼻粘膜生検にてWegener肉芽腫(WG)と診断され当科紹介受診。その後、鼻出血軽快し炎症所見も軽度であったため経過観察のみとなっていたが、平成22年1月頃から鼻出血の再燃とC-ANCAの上昇、胸部CTにて両肺多発結節が出現し同年4月に当科入院。鼻出血と肺結節を認めたが、腎症状は認めず限局型WGと診断しPSL60mg/日にて治療開始。治療開始後から肺結節は縮小傾向を認め7月に退院、PSL30mg/日で加療されていた。しかし血痰と肺結節の増大を認め同年9月に再入院。PSL80mg/日へ増量後、肺結節は縮小傾向を認めたが漸減中に再度肺結節の増大を認め、11月からエンドキサンパルス療法1000mg /月を開始。しかし投与後も肺結節の増大傾向を認め、倦怠感などの副作用が出現したためエンドキサン投与を中止しタクロリムス3mg/日、メソトレキセート8mg/週を追加投与したが効果なく、平成23年2月にインフリキシマブの投与施行。投与後、肺結節の縮小傾向を認め現在も継続使用中である。今回、ステロイドや様々な免疫抑制剤に対して治療抵抗性であったWGに対してインフリキシマブを使用し、効果を認めた一例について若干の文献的考察を加えて報告する。
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