中国雲南省西部のTengchong地域は,東部ヒマラヤ地熱帯のなかで,唯一の第四紀火山地帯である.地熱活動の熱源を考えるうえで,この地域の火山活動がいつまで続いていたかは重要である.この地域の火山岩の年代測定は行われてきたものの,最も若い火山岩に関しては,年代の上限が与えられているのみであった.本研究では,感度法によるK-Ar年代測定により,若い火山岩の年代を求めることを試みた.Tengchong地域で採取した火山岩四試料の年代測定の結果,およそ0-70 Ka の年代が得られ,火山活動が少なくとも2万年前まで続いていたことがわかった.この地域の地震活動の分布や,地震反射波の観測およびヘリウム同位体比などからも,地下のマグマ活動が続いていることが示唆されており,この火山活動が地熱活動の熱源となっていると考えられる.
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