火山
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39 巻, 2 号
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  • John Makario LONDONO B, 小林 芳正
    原稿種別: 論説
    1994 年 39 巻 2 号 p. 31-47
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
    1990年8〜9月,ネバド・デル・ルイス(NRV)火山でいくつかの高周波火山性群発地震が,5カ所におかれた可搬式3成分デジタル地震計で記録された.この期間に3つの群発地震が記録されたが(8月28日,9月11日,9月17日),それぞれの群の震源は,活動している火口周辺の,互いに異なる領域内に決定された.スペクトル解析と波形の観察から,同一の群に属する多くの地震は,同一観測点ではよく似たスペクトルと波形を示すが(ほとんど相似),群が変わると非常に違った形状になることがわかった.これは,一つの群発地震中,震源時間関数がどの地震でも互いに似ているためと考えられる.また,同一群の地震でも観測点が変わるとスペクトルが異なっており,伝播経路の効果が強いと考えられる.これらの群発地震と比較するため,9月11日の群発地震の震源領域に近い領域で起こったいくつかの孤立的な地震を同様に解析した.これらの孤立的地震のスペクトルと波形は,同一の観測点でも,異なる観測点間でも互いによく似ていた.このことは,孤立的地震では経路効果はあまり強くないことを意味し,孤立的地震の経路が,経路効果の強い群発地震とは,性質の異なる領域を通っているためと考えられる.今回の解析から,NRVの高周波群発地震はある決まった領域内に起こること,それぞれは特有のスペクトルと波形を持つことがわかった.孤立的地震は均一な領域などで不均質な領域で起こり,この不均質のために観測点ごとに経路効果が異なるものと考えられる.NRV周辺各点のスペクトル間の相似性からNRV地域は3つの地帯に分けられそうである.
  • 井口 正人
    原稿種別: 論説
    1994 年 39 巻 2 号 p. 49-67
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
    代表的な安山岩質火山である桜島の高周波B型地震,低周波B型地震および爆発地震を,波動の特性,震源位置およびモーメント加速度・テンソルについてA型地震と比較検討することにより,火山性地震の発生機構を論じ,それを火山特有の構造である火道と関連させて考察した.高周波B型地震,低周波B型地震および爆発地震は,火口直下の半径約200mの円筒状の領域に分布し,上下方向のダイポール成分が卓越する体積膨張型の力源をもつことから,マグマに満たされた火道内において発生していると推定され,その原因として,火道に沿ったガス相の膨張が考えられる.A型地震は,これら3種類の地震の震源域の周囲に分布し,ダブル・カップル成分が大きいことから,火道周辺の岩石のせん断破壊によって発生すると推定される.高周波B型地震,低周波B型地震および爆発地震のスペクトルの相違は,震源過程の違いによるものと考えられる.これらの地震発生に伴う地盤変動,表面現象および地震発生の時系列から考えると,震源過程の相違は火道上部の閉塞状態やマグマの物性の違いに起因していると推定される.
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