風工学シンポジウム論文集
第24回 風工学シンポジウム論文集
選択された号の論文の62件中1~50を表示しています
  • 友清 衣利子, 前田 潤滋
    セッションID: 1
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    被害を発生させた突風の観測事例は少なく実際の突風特性は明らかではない。著者らはNeWMeKでの風記録から立ち上がり時間の短い突風を選出する手法を提案したが,NeWMeK記録だけでなく気象官署やアメダスでの風速記録を利用すれば,地域を限定することなく非定常風力を発生させる可能性のある突風を選出することができる。本論では,実物大の電車車両形状物体に風力のオーバーシュート現象を発生させる可能性のある突風に着目してNeWMeKでの観測記録から選出された立ち上がり時間の短い突風特性を整理し,それらの突風が選出された10分間での突風率を条件として10分間記録から突風発生期待観測記録を選出した。近接するNeWMeKと気象官署での突風発生期待観測記録数および立ち上がり時間の短い突風の選出数には関連があり,アメダスや気象官署での10分間での風記録から立ち上がり時間の短い突風の発生可能性を推定できると考えられる。
  • 橋本 佳貴, 安永 数明, 竹見 哲也
    セッションID: 2
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    富山県では、日射量と気温に明瞭な日周期変化が見られ熱的局地循環の発達、複雑な地形による局地循環への影響が考えられる。そこで、高解像度の数値実験を行い富山で発生する局地循環の大きさや地形の複雑さに着目することで、山谷風と海陸風に及ぼす急峻な地形の影響を明らかにすることを目的とした。高解像度化により富山県内での地表面温度や地形の分布が細かく表現されることで、地形が熱的局地循環に対して影響を与える様子が明瞭に表現されている。地形の特徴は地域ごとに異なるため、熱的局地循環の特徴も地域によって異なる性状を示す。地形の複雑な富山県東部では海陸風と山谷風の結合が高解像度の計算結果から見られ、富山県の南方に谷が位置するところでは局地循環の発達がみられた。
  • 佐々木 亮治, 赤星 明紀, 植松 康
    セッションID: 3
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    中低層建物の構造骨組および外装材の設計において,適切に風荷重を算定するためには,地表面付近の風速変動特性を正確に把握することが重要である。そのためには,多様な地表面粗度の状態を定量的に評価し,さまざまな高さにおける多くの観測データを基にした検討が必要である。全国の気象観測点を対象に,観測データを基にした風速の変動特性と,観測点周辺の地表面粗度の状況について地図情報を基に定量化した値を用いて,両者の定量的な関係を明らかにした。また観測データを補完する手法として,実市街地を対象とした風洞実験が有効であることも示した。
  • 岸田 岳士, 義江 龍一郎, 宮下 康一, 佐々木 亮治
    セッションID: 4
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    本報では,東京工芸大学厚木キャンパスを対象にドップラーライダにより都市の上空風の観測を実施した。既設の3次元超音波風速計の観測記録と比較し,平均風速だけでなく変動風速の標準偏差やパワースペクトルについても良く一致することを示しその有効性を示した。次に,都市上空の風速の鉛直分布を分類するために,3次元超音波風速計で観測された音仮温度を用いて渦相関法により大気安定度のパラメータを算出した。平均・変動風速の鉛直分布を大気安定度が中立および不安定の場合に分類して大気安定度ごとの特徴を示した。対象地域の中立時における風速の鉛直分布は,建築学会の建築物荷重指針・同解説の地表面粗度区分Ⅲ相当の分布であった。
  • 後藤 暁, 大塚 清敏, 林 秀郎
    セッションID: 5
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    簡易浮体とドップラーライダー観測装置を組み合わせた、安価で設置可能な洋上風観測システムを開発した。秋田県能代港内の水域において1年間の風観測を実施した。ドップラーライダーによる観測結果と隣接する防波堤上に設置した海面高さ50mの風況観測タワーでの観測記録とを比較した。10分間平均風速について比較した結果、浮体ライダー観測は鉄塔観測と良い相関を示した。またライダー観測に基づいて、風速の鉛直分布について検討を行った。洋上でのべき指数は建築学会指針における地表面粗度区分Ⅰと比較して、小さめの値となった。
  • 白石 悠策, 野田 博
    セッションID: 6
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    日本の竜巻発生件数は年々増加傾向にあります。これは気象庁による情報体制の強化や日本周辺の海面温度の変化と考えられる。本研究では竜巻の特性を調べるために,地表面粗度区分や気象要因別,発生季節別,時間別と4つの要因項目に分けて日本地図上に発生地点をプロットし発生状況を考慮していく。ほとんどの竜巻は地表面粗度区分Ⅰにあたる沿岸部や地表面粗度区分Ⅱにあたる平野部などで起きています。竜巻発生のプロットによる特性が顕著に見えたのは台風に伴う竜巻であり,太平洋側に集中していた。
  • タオ タオ, 田村 哲郎
    セッションID: 7
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    気象学,工学の双方において風の特性の把握は重要なテーマであるが,数十kmの気象現象をとらえるためにはメソ気象モデルが,10m以下の流体現象をとらえるためには数値流体力学(CFD)が用いられてきたことから,対象とする流れ場のスケール,流れ場,流れ場の変動は異なっている。一方で近年メソ気象モデルWRFでは, LESに基づく乱流モデル(WRF-LES)が導入され数十mのスケールの気象場の変動をとらえることが想定されている。そこで本研究では地形の起伏のない理想化された対流境界層の流れ場にWRF-LESを適用し,その流速の変動特性を明らかにする。その結果,空間解像度30mで解析されたケースでは空間解像度50mで解析したケースに比べ,より高周波な風速の変動が得られることが確認された。
  • 中尾 圭佑, 服部 康男
    セッションID: 8
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    森林などを含む地表面粗度条件における竜巻状渦の数値計算を実施した。草地を想定する粗度要素の低い条件においては、既往の研究と同様に定在竜巻の条件でVortex break-downが確認され、乱流エネルギーなどの値について整合する結果となった。また、移動する竜巻は複雑な三次元性状を取ることがわかった。地表面に森林層を模擬した定在竜巻では、Vortex break-downは発生せず、竜巻のコア半径は大きくなり、上昇流速度は小さくなった。また、乱流エネルギーについても減少し、圧力の極小値も大きくなった。竜巻が移動する条件において、圧力極小値並びに最大スカラー風速の空間分布を可視化した。それによれば、地表面が草地の場合、最大スカラー風速の分布からは、竜巻状渦がらせん状に旋回する様子が確認された。竜巻が部分的に配置された森林層を移動する際の空間分布からは、森林通過時に圧力極小値が大きくなるとともに、新たな圧力中心が形成され発達することが明らかになった。今後、樹木動揺を考慮した森林層のモデルを組み込み、竜巻が及ぼす風倒木影響と、それの気流場へのフィードバックを考慮した竜巻シミュレーションを実施する予定である。
  • 北川 徹哉
    セッションID: 9
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    企業等の事業は様々な形で気象の作用を受け,そのリスクへの対応が課題となっている。特に屋外イベントの成功には開催日の日程要素だけでなく,気象の影響も大きい。イベントの入場者数のように事業の収入に関わる量を少数の要素を用いて表すことができれば,収益変動を予測しやすくなる。そこで本研究においては,数種の気象と日程の要素を入力として,屋外イベントの入場者数を簡単な関数で表すことを目的とする。2000年に開催された淡路花博とその4年後に開催された浜名湖花博を事例とし,これらの性質が似ている二つのイベントについて比較しながら本手法の適用性を確認する。さらに,この関数を用いて収入の日変動の統計的性質を求める。
  • 榎木 康太, 大塚 清敏
    セッションID: 10
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    本研究では,1年間の日本海沿岸観測結果を対象として気象モデルWRFの物理過程選択の最適化を行い,構築した風況予測モデルにより,年間風況予測に対する各種気象データの影響を評価し,以下の結論を得た.1) 短期の感度解析結果から解析値に対する大気境界層過程と4次元同化の選択の影響が大きいことを示した.2) 大気境界層過程を変えた場合の年間風況予測を実施し日本海の冬季季節風の平均風速の再現性がよいYSUが最も高い予測精度を示した.3) 海面水温データが年間平均風速に対する影響を解析し,系統的に日本海にて低温傾向にあるJCOPEで平均風速が僅かに過小評価の傾向を示した.4) 同一の海面水温データを用い,大気や地中に限って客観解析値を変更した場合の風向の出現頻度に対する感度は物理過程や海面水温データを変化させた場合と比べると極めて低いことがわかった.
  • 佐久間 悠人, 田村 哲郎, 河合 英徳
    セッションID: 11
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    危険物質の大気拡散現象においては瞬間的な高濃度を捉えることが重要である.特に都市における風の流れは建物の力学的粗度効果と熱効果により局所的に複雑化するので,気流の流れを時々刻々解析できる LESが有効な手段として注目されている.従来,都市での大気拡散に関する研究は数多く行われてきたが,建物の粗度効果と熱効果の複合的な作用に関する知見はほとんどなく,特に建物からの排熱による流れ場の局所的変化が指摘されている.そこで本研究では,大気安定度及び局所的な温度条件による熱効果と,建物の粗度効果との両者により高濃度発生が懸念されるストリートキャニオン内での拡散問題を,鉛直温度分布と壁面温度条件を持つ単純な粗度ブロックによりモデル化しLES解析を行う.特に,キャニオン壁面の持つ温度条件が瞬間的高濃度発生に及ぼす影響に着目し,都市における拡散現象の特徴を解明する.
  • 小野 梓, フック ファムバン
    セッションID: 12
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    コヒーレント構造Smagorinskyモデル(CSM)を都市境界層の流れに適用し,再現される流れ場について標準Smagorinskyモデル(SM)の結果との比較を行った。本稿の計算対象の場合,CSMはSMよりも少ない計算負荷で都市キャノピー内外の風速の時間平均値はSMと同様の結果が得られた。CSMのモデル係数の空間分布はSGS渦粘性係数の分布にも影響を及ぼし,SMとの間に乱流拡散性状の差異をもたらすことが分かった。
  • 渡部 朱生, 阿藤 裕昭, 大風 翼, 持田 灯
    セッションID: 13
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    本研究では、乱流エネルギーの輸送方程式に付加されるCanopyモデルの付加項Fkを推定する手法を提案する。LESを用いて得た乱流統計量を用いて評価される個々の計算格子での乱流エネルギーの生産項の水平方向空間平均値と、Canopy層で空間平均されたレイノルズ応力と鉛直方向の平均速度勾配で推定される乱流エネルギーの生産項の差として、付加項Fkを算出する手法を提案する。続いて、グロス建蔽率を変化させた立方体建物モデル上に発達する境界層を対象にLES解析を実施し、提案した手法を用いて、建物Canopyモデルの付加項Fkを算出する。最後に、グロス建蔽率と乱流統計量や付加項Fkとの関係を分析する。
  • 赤星 明紀, 下瀬 健一, 岸田 岳士, 植松 康, 義江 龍一郎
    セッションID: 14
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    風環境調査等で用いられる、風工学研究所による風環境評価指標は、三杯型風速計による平均風速と街並みの関係に基づいて定められている。この評価指標が提案されてから、数十年が経った。その間に、都市化も進み、人々の風環境に対する意識も変化した。それだけでなく、高性能化、低価格化した超音波型風速計が、応答の遅れや慣性による回り過ぎを指摘されてきた三杯型風速計に替わって、利用が増加している。観測の方法もWMOに従う等、変化している。本研究では、こうした背景を考慮した新たな風環境評価指標の検討を行っており、まずは乱流中における三杯型と超音波型の風速の差と、その補正方法について検討した結果を、本論文で示す。
  • 平野 竜貴, 菅原 広史, 荒木 沙耶
    セッションID: 15
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    東京都渋谷区において乱流観測を行ない,実在市街地における力学的粗度の測定を行なった.観測地周辺の建物状況は,近傍には住宅を主とした中低層の建物が,約2 kmの地点には超高層ビル群が存在している.地上52 mに設置した乱流観測装置での観測結果をもとに,風速の対数則を用いて粗度を推定した.建物形状の違いにより粗度は異なり,観測サイトから見て東側の領域ではおおよそ1.2 m,西側の領域では0.6 mであった.観測値をKanda et al. (2013)による粗度推定モデルと比較したところ,よい一致が見られた.
  • 志藤 文武, 清野 直子, 山本 哲, 藤部 文昭, 青柳 曉典
    セッションID: 16
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    温度計が植栽や構造物に囲まれることによる地上気温観測値への影響を調べるため、東京都心の気象庁大手町露場において、植栽や構造物に囲まれた露場東端に新たに温度計を設置した.露場中央の開けた場所に設置されていた現業観測用の温度計で観測された気温と比較した結果、夏季昼過ぎに植栽等に囲まれた地点では露場中央に比べ月平均で0.5度高い気温が観測され、露場内の気温差は日射の多い晴れの日に拡大する傾向が見出された(志藤ら2015)。この要因を調べるため新たに2つの温度計の近く、地上高2.5mに超音波風速計を設置し、風向風速を観測した。その結果植栽等に囲まれた地点の気温は露場中央に比べ月平均で0.5℃高いことが確認されるとともに、気温差は日射量のほか露場の風速に依存し、強風時には日射量が大きくても気温差は小さいことが見出された。
  • ―沿岸都市と内陸都市の建物周辺環境の比較―
    胡 家龍, 楊 光, 玄 英麗, 持田 灯
    セッションID: 17
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    本研究では、沿岸都市と内陸都市における建物周辺の風環境と温熱環境の相違を明らかにするため、中国で地勢の第3段の平原に位置し、同じ夏熱冬冷気候分区に属する緯度が比較的近い2つの地域中心都市、すなわち上海(代表的な沿岸都市、121°45'E、31°40'N)と武漢(代表的な内陸都市、114°13'E、30°62'N)(図1)を対象とする解析を行った。緯度の近い沿岸都市と内陸都市の風環境と温熱環境を比較して、以下の結論を得た。1)上海と武漢の建物周辺の風速分布を比較すると、建物間隔(D)が減少するとともに、建物周辺で不均等な風速分布が発生し、相対的に高風速領域と低風速領域に分かれる傾向が認められる。2)上海や武漢など中緯度地域に位置した都市において、建物間隔(D)の変更によって日射の影響を制御することが可能であり、よりいい温熱環境を作ることができると考えられる。3)上海のような沿岸都市は武漢のような内陸都市に比べ、風速がより高い。両都市における建物間隔(D)が等しいケースを比較すると、上海のほうはよりいい温熱環境が期待できる。
  • 豊田 将也, 吉野 純, 小林 智尚
    セッションID: 18
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    本研究では,まず高解像度台風モデルを用いて台風Haiyanの再現実験を行った.その結果,再現実験では高精度に台風強度を再現することに成功した.続いて行った擬似温暖化実験では台風最大風速に対して,温暖化シナリオ毎による不確実性評価とCMIP3が提供する15個の全球気候モデルの不確実性評価を行った.その結果,フィリピン・レイテ湾地域においては温暖化シナリオ毎の不確実性よりも全球気候モデル間の不確実性の方が大きいことが明らかとなった.また高精度なアンサンブル将来予測のためには,非線形性の強い気象モデルに入力する前の気象場にアンサンブル平均を取るか,平均値から大きく外れたデータを除外して計算する必要があることが明らかとなった.
  • 湯浅 惣一郎, 佐々 浩司
    セッションID: 19
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    台風8号のアウターレインバンドが高知上空を通過した2014年7月10日、2つの竜巻が発生した。本研究は、2つの竜巻とその親雲の特性を明らかにすることを目的とし、被害調査及び気象庁レーダーと本学偏波レーダーの解析を行った。香南市から香美市の被害は総延長8kmで、過去20年間の高知における被害で最も長かった。渦上陸時の親雲にはガストフロントやメソサイクロンが認められたが、ヴォールト構造は見られずガストフロントの走向が異なっていたことから、スーパーセルとは言えないものであった。竜巻は親雲内の低気圧性シアー場に位置していた。上陸時の竜巻は下層ほど渦度が大きく、渦径が小さいことがわかった。
  • 小林 文明, 松井 正宏, 吉田 昭仁, 岡田 玲
    セッションID: 20
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    2015年2月13日15時すぎに神奈川県厚木市内で発生した突風被害は,極めて局所的に被害が集中し,推定風速は20 m/sと推定され,F0(JEF0)スケールに相当した。今回の渦は,メソスケールのシアーライン上で形成された積乱雲前面におけるガストフロントで発生し,上空の積雲(アーク)と連なり,親渦が存在するという構造を有していた。ガストフロントに伴い複数発生した渦の一つであり,渦の接線風速もそれほど大きくなく,明瞭な漏斗雲は形成されず,地上の飛散物によって渦は可視化された。ガストフロントにおける上昇流が寄与した“2次的な竜巻”すなわちガストネード(gustnado)と考えられた。
  • 野田 稔, 八谷 実, 長尾 文明
    セッションID: 21
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    被害の情報を用いずに竜巻の強さや大きさを推定する方法を確立することは非常に重要である。本研究では,水平シアによって発生する竜巻状流れを実大スケールの直方体計算領域を用いたラージエディシミュレーションによって生成した。その竜巻状流れの下で,断熱変化による水蒸気の飽和する面を漏斗雲として計算した。そして,相対湿度と最大接線風速Utmaxが漏斗雲の形に及ぼす影響について検討した。さらに,漏斗雲の大きさとUtmaxの関係もまた検討された。結果として,漏斗雲が地表面に達していない条件の下では,漏斗雲の高さはUtmaxの二乗に比例して変化しており,相対湿度によってコア半径に対する漏斗雲の幅の比とUtmaxの関係が変化することが明らかとなった。
  • 野田 稔, 末廣 聖志, 新谷 尚人, 長尾 文明
    セッションID: 22
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    マツ林は防風林として,減風効果,塩害の防止に利用されてきた.そして東日本大震災においてマツ林の存在によって,津波の遅延・低減効果の働きがあることが注目されている.そのため,マツ林を数値流体解析上で再現し,マツ林の防災上の機能を定量的に把握することが必要である.本研究ではマツ林の減風効果,津波の遅延・低減効果を数値流体解析で検討する上で,マツ林を積層する面格子でモデル化し,その際に用いる圧力損失特性を決めるための,面格子の空隙率,代表長,積層間隔,積層数が圧力損失特性に及ぼす影響を検討した.また風洞実験により減風効果ついて検討した.
  • 宮城 弘守, 佐々 浩司
    セッションID: 23
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    ノンスーパーセル竜巻発生環境のうち、上層までの一般風を再現した気流場について竜巻状渦の発生条件を調べることを目的としてマルチファン型風洞を用いた実験を行った。冷気外出流を模擬したスモークマシンからの気流を風洞気流に対抗させ、測定部天井からの上昇気流により竜巻状渦を形成した。レーザー光源により照射された水平断面を高速度カメラで撮影し、動的PIV計測を行った。実験の結果、一様流の増加とともに竜巻状渦の最大接線風速は大きくなったが渦径の変化はなかったことがわかった。風洞断面全てを一様流とした場合は風速によって冷気外出流が劇的に変化し水平シアーの向きも変化するため、竜巻状渦の回転方向も変化することがわかった。
  • 山本 学, 福本 幸成, 石原 孟, 大窪 一正
    セッションID: 24
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    本論文は,着床式洋上風力発電タワーの風荷重特性について述べている。実測対象の風力発電設備は,ハブ高さ80m,定格出力2.4MWの 3枚翼プロペラ型であり,銚子から3.1km沖合の水深11.9mに設置されている。風荷重特性は,歪データを用いて推定したタワー基部での曲げモーメントにより調査し,発電時とフェザリング時および陸側の風と海側の風で比較,検討した。その結果,発電時,フェザリング時共に,陸側の風の最大風荷重は,風力発電設備から3.1km離れた陸地の影響により,海側の風に比べて大きいことを示した。また,フェザリング時における風方向ガスト影響係数は,海側の風では1.8から2.0であったが,陸側の風では風速30m/s未満の範囲において2.1から3.5であることを示した。
  • 山口 敦, 石原 孟
    セッションID: 25
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,銚子沖洋上風力発電設備を対象として,荷重シミュレーションを行い,発電時最大荷重を推定するとともに,タワーの各部位に適用可能な発電時最大荷重を推定する経験式を提案した.以下の結論が得られた.
    風車ロータに作用するモーメントを推定する経験式を提案した.提案した経験式は,異なるべき指数,風速,乱れ強度,風車ロータサイズに適用可能であり.数値シミュレーション結果とよく一致した.
    風車ロータに作用するモーメントの経験式と,従来のスラスト力に起因するモーメントの経験式を組み合わせることにより,タワー各部位に作用する最大モーメントを推定するモデルを提案 した.提案したモデルは数値シミュレーション結果とよく一致した.
    統計的外挿のための新しい収束条件を提案した.提案した条件によって求めた50年期待値の変動係数は従来8.9%から5.6%にまで低減された.
    50年再現期待値と最大値の平均値から平均値を引くことにより,より一般的な外挿係数を提案した.提案した外挿係数は平均風速や,乱れ強度,タワー部位には依存しないことが明らかになった.
  • 石原 孟, 銭 国偉
    セッションID: 26
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,大気の乱流強度と風車ロータのスラスト係数を系統的に変化させ,LESモデルを用いた数値流体解析を行い,以下の結論を得た.本研究で構築した数値風洞および数値風車モデルが高い予測精度を有し,数値解析結果は風洞実験の結果とよく一致した.風車後流近傍から遠方までに適用可能な解析モデルを提案し,様々な大気の乱流強度と風車ロータのスラスト係数に対し,よい予測精度を示した.
  • 木綿 隆弘, 菅原 大貴, 河野 孝昭, 小松 信義
    セッションID: 27
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    垂直軸風車の一種であるオルソプタ風車を、多孔板によって作成した速度差が異なるせん断流中に設置した際の風車性能について風洞実験により調べた.本風車は.翼の回転軸と風車の主軸には歯数比2:1のスプロケットとチェーンで繋がれており,風車が一回転する間に翼は半回転する.風車直径はD=510mm,風車高さは400mmであり,平板翼の枚数は3枚である.風車出力は、翼が風上から風下に向かって進む領域に速い風速が流入した際に増加する.また,せん断流の速度勾配が大きな位置が風車主軸(y=0)からy/D=0.25付近に風車を設置した場合、風車出力が一様流中より増加する.しかし、せん断流の速度差が大きいほど風車のトルク変動が大きくなる.
  • 中村 颯一郎, 山田 均, 勝地 弘
    セッションID: 28
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,近年,適用性も広がり注目されているフリーの公開ソフトOpenFOAMを用いて,臨界辺長比を含む背高矩形断面周りの流れ特性の解析を行った.本研究では,まず矩形断面に対する静的空気力係数,表面圧力係数を既往の風洞実験結果と比較することで,OpenFOAMの適用性を検証し,そして,矩形断面周りの流れ特性を解析することで,剥離流れの特性を調べることを目的とした.解析結果から矩形断面周りの剥離流の概形を定量的に示した.本研究での解析は静的解析であるが,準定常理論の適用と相対迎角,相対風速を変えた解析を繰り返すことで,振動する断面周りの剥離せん断流構造の解明やギャロピングの発生メカニズムの解明などにつながると考えられる.
  • 塚前 伊久磨, 谷口 優佑, 下西 舞, 河田 祐太朗, 白土 博通
    セッションID: 29
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    乱流中において矩形断面周りの流れ場や表面圧力及びストリップのガスト空気力のスパン方向の空間相関は,接近流の空間相関よりも上昇することが知られている.この要因として,接近流から剥離せん断層に移る過程で流れの二次元化が促進されていることや,剥離バブルやカルマン渦が相関度の増加に寄与すると考えられている.しかし,流れ場の二次元化の具体的なメカニズムについてはいまだ未解明な部分が多い.
    本研究では流れ場の二次元化のメカニズムを議論するため,B/D = 1.0, 8.0の2種類の矩形断面模型を用いて流れの可視化実験を行い,PIV解析により流れ場の時系列データを得た.得られたデータに対して,固有直交分解(Proper Orthogonal Decomposition, 以下POD),動的モード分解(Dynamic Mode Decomposition, 以下DMD)を適用し,矩形断面の後流域及び剥離渦領域の流れ場の空間構造及び相関特性について考察した.また,基礎的な流れ場に対してDMD解析を行い,DMDの手法や特性,また,その有用性について検討した.
  • 佐々木 雄多, 八木 知己, 濱野 真彰, 松宮 央登, 西原 崇
    セッションID: 30
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    一般に,矩形断面の空力不安定性は微小振幅応答を対象とした研究がなされてきた.そこで本研究では,大振幅を許容した場合の高無次元風速域における構造物の応答特性に着目し,断面辺長比2矩形断面を対象に,各種迎角における3自由度応答特性を弾性支持自由振動実験により確認した.また,準定常空気力を想定した時刻歴応答解析により,現象の分類および発生機構の解明を試みた.時刻歴応答解析では,準定常空気力に含まれないねじれ速度同相項を加味することも検討した.その結果,実験により得られた大振幅応答は,準定常的に説明できる現象と,ねじれ方向の空力不安定性に起因した現象の二つに分類することが可能となった.
  • 楠原 栄樹, 勝地 弘, 内藤 将志, 山根 彰, 町田 陽
    セッションID: 31
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    長大橋の実現にあたり耐風安定性の確保は最も重要な課題の一つであり、日本を代表する本州四国連絡橋の建設にあたっては莫大な検討が実施され最新の知見が適用された。しかしながら、このようにして実橋に適用された耐風安定化対策は、維持管理作業において一時的または部分的に無効となることが考えられ、その場合の耐風安定性に関する議論はなされていない。そこで、瀬戸大橋に対する二次元剛体模型を実施し、断面の基本特性と空気力(三分力および非定常空気力)の計測を実施し、明石海峡大橋の耐風性検討において開発された三次元フラッター解析手法を瀬戸大橋に対して適用することにより、維持管理作業における安全性の確認を実施した。
  • Hoang Lam, 勝地 弘, 山田 均
    セッションID: 32
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    本論文はトラス橋桁を対象にガスト応答波形から非定常空気力係数を同定する手法の検討を行ったものである.非定常空気力係数の同定においては,システム同定手法を用いることとし,通常の自由振動法による結果とも比較した.また,本手法を用いて,橋桁に作用する乱流強度が非定常空気力係数に及ぼす影響についても検討を行った.
  • 中藤 誠二
    セッションID: 33
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    2次元断面柱および異なる断面を持つ柱(複合断面柱)を対象に風洞実験を行い空気力特性を明らかにするとともに,特に両側の変動揚力の違いに着目して軸方向の相関の評価手法を検討した.円柱,矩形柱については,風速の増加に伴って抗力係数がわずかに低減して一定値に近づいた.変動揚力係数は渦励振発現風速に近づくにつれて急激に増大した.ただしB/D=3では,抗力係数は風速による変化はほとんどないが,変動揚力係数が特定の風速域で増大する傾向が見られた.左右の2分力計の相関に着目した相関指標γについては,風速の増加につれて高くなり,高風速域ではほぼ1に近い値となった.また端板を外すと全体的に低下した.スペクトルのピーク値の形状に着目した相関指標βについては低風速域で1に近い値が得られる場合もあったが,0.5前後の値を取ることが多く,渦励振の影響も見られなかった.模型のスパン中央から片側の半分だけに空気力が作用するようにした場合,抗力は影響線の考えに沿った結果が得られたが,変動抗力,変動揚力については両側でほぼ等しい大きさとなった.
  • 川上 綾太, 大坪 和広, 前田 潤滋, 竹内 崇, 友清 衣利子
    セッションID: 34
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    短い立ち上がり時間の突風を受ける様々な屋根形状模型のオーバーシュート風圧力の特性に及ぼす風向角の影響を風洞実験により検討した。はじめに、圧力測定に及ぼす静圧勾配の影響を除去するための新しい手法について紹介した。突風を受ける模型の非定常風圧力のオーバーシュート特性は風向角に大きく依存し、その分布は定常時と大きく異なった。大きな負圧の範囲は風向により変化し、切妻屋根模型の棟付近の非定常風圧力は風向角45度の場合に非常に大きくなった。また、オーバーシュート状態の継続時間も風向角に影響を受けていることが確認できた。さらに風洞実験の結果は既往のCFDの結果と一致することも確認された。
  • 泉 知宏, 高橋 駿介, 友清 衣利子, 前田 潤滋
    セッションID: 35
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    竜巻による気圧の急激な下降は建物へ差圧力をもたらすが,建物の密閉度はこれに強く影響すると考えられる。差圧力を見積もる2つの数学的な方法が知られているが,無風下での強い非定常な気圧変化を作る難しさのために,それらの精度は実験的に確認されていない。本論文は無風下で建物へ作用する急激な気圧変化を作る工夫を紹介し,差圧力への建物の密閉度の影響と数値計算の精度を検討した。
  • 岸田 夏葵, 西嶋 一欽, 西村 宏昭
    セッションID: 36
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    2015年3月12日から14日にかけてサイクロンパムがバヌアツ共和国を通過し甚大な強風被害をもたらした。同国タンナ島はそのなかでも最も建築物被害の大きかった島の一つであるが、タンナ島の島民は伝統的な住宅である“ニマラタン(Nimulaten)” をサイクロンシェルターとして利用し、人命を守ったことが明らかになっている。また、ニマラタンとほぼ同素材の建材を用いる住宅の多くが全壊した状況の中で、ニマラタンは強風に耐えたということが報告されている。そこで本論文では、ニマラタン特有の形状である三角柱を横に倒した形状に着目し風洞実験を行い、その形状が有する空気力学的特性を明らかにすることで、被害発現風速の検討を行った。その結果、ニマラタンは屋根高さにおける10分間平均風速が20m/s程度の強風に耐えられることが明らかになった。
  • 髙舘 祐貴, 植松 康
    セッションID: 37
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    建築物の妻面が開放された妻面開放型骨組膜構造建築物を対象とし,建築物に作用する風荷重の組み合わせに関する検討を行った。まず,建築物に作用する荷重効果に着目し,柱脚ピンの場合の柱軸力と柱脚固定の場合の柱脚の曲げモーメントの2つの条件について設計上クリティカルとなる風向・フレームを明らかにした。次に,外圧と内圧による荷重効果の組み合わせに基づき,荷重効果の組み合わせを評価する適切な方法を明らかにした。最後に,妻面の開放状態の変化に伴う外圧による荷重効果の変化を明らかにし,開放型建築物の設計用風荷重の評価手法について考察を行った。
  • 時崎 雅史, 益山 由佳, 吉田 昭仁, 勝村 章
    セッションID: 38
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    デザイン性のみならず、空力的優位性の観点からも建築物の隅角部に隅欠きや隅切りを採用する事例が多く見られる。菊池らが指摘しているようにセットバックさせた建築物では入隅付近で局所的に絶対値の大きなピーク外圧が生じることが明らかになっている。建築物荷重指針・同解説では、隅欠きや隅切りのピーク外圧係数は記載されているが、建物壁面に水平方向や鉛直方向に段差を組み合わせた建築物には適用できない。また、これまでに建築物の壁面段差とピーク外圧係数に関して系統的に研究された段差の水平距離や鉛直距離を変化させ、段差の影響を受けやすい部位に着目しピーク外圧係数の傾向を調査する。
  • LESによる風洞実験手法の検討
    相原 知子, 植松 康
    セッションID: 39
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    筆者らは、風洞実験により得られた結果を用いて、高層建築物の屋上外周部に設置されている通気性のある目隠しパネルに作用する風荷重を既報にて検討した。しかし、風洞実験では、目隠しパネルの裏面圧を測定することが困難であったため、通気性のある目隠しパネルに作用する風力を評価する際に、パネル近傍の屋根面圧を代用した。本論文では、LESを用いた数値流体解析の結果を用いて、風洞実験で採用した仮定について検討する。解析結果は、パネルの表面と屋根面の外圧係数を風洞実験結果と比較することによって精度を検証する。
  • 中村 良平, 谷口 徹郎
    セッションID: 40
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    観客席スタンド上部に架設される片持ち屋根の設計用風荷重は,閉鎖型建物の片流れ屋根や独立上屋等の外圧係数または風力係数等を参考に評価されることが多い。一方,近年は通風による観客席の温熱環境の改善やフィールドに植えられた天然芝の育成を目的として,スタンドと屋根との間に開口を設けるケースが多く見られる。この場合,開口部の影響を考慮した風圧および風力係数が必要となるが,これに関する知見を示す検討事例はあまり見られない。
    本論文では屋根の角度や開口部の高さが屋根の風力に及ぼす影響を風洞実験により検討する。また、高層建物の風荷重評価の有用性が示されているLESを実施し、実験値との比較により大スパン屋根の風荷重評価に対する数値流体解析の可能性について検証するとともに、得られる変動風圧の時空間相関を複素POD解析結果から考察する。
  • ファム バン フック, 野津 剛, 菊池 浩利, 日比 一喜, 田村 幸雄
    セッションID: 41
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,中層市街地内に建てられた実建物を対象にして,Smagorinskyモデル(SM)と乱流構造に基づくCoherent-Structure Smagorinsky モデル(CSM)を用いたLESの計算結果を検討した.CSMでは建物角部から生じた剥離せん断層や渦の卓越領域等にモデル係数が局所的に評価されている.また,隣接建物の影響を強く受けている代表的風向では,CSMの結果はSMの結果に比べてバラツキが小さく,実験結果と良く一致している.さらに,全風向を対象としてCSMから算出されたピーク外圧係数の最大値と最小値は,実験結果との差が20%以内に納まっていることが確認できた.
  • 河合 英徳, 田村 哲郎, 近藤 宏二, 野津 剛, バレ ラフール, 大西 慶治, 坪倉 誠
    セッションID: 42
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では高空間解像度のCFD解析において高い並列計算効率を有するBCM-LES(BCM:Building Cube Method)を建物周りの圧力場・流れ場の予測に適用する。初めに乱流境界層中の三次元角柱の解析において角柱に作用する風圧力をIBM(Immersed Boundary Method)を適用したBCM-LESによって明らかにし、既往文献で示されている風洞実験結果との比較による検証を実施した。
    次にBCM-LESを25kmx12km領域の実在都市の流れ場に適用し、乱流境界層の発達過程の分析を行い都市形状による粗度効果と乱流境界層の吹走の影響を示した。さらに、実街区に建つ建物周りの圧力場を示し、BCM-LESによる解析によって十分に微細な乱れの構造が示され,実街区内の複雑な圧力場が十分な精度で予測されることを確認した。
  • 田村 哲郎, 近藤 宏二, 片岡 浩人, 河合 英徳
    セッションID: 43
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は国土交通省建築基準整備促進事業で実施されたCFDの風荷重の推定への適用性について論じる。本研究ではオフィス棟と住宅の2種類の高層建物について、その風圧力を乱流モデルにLESを適用した数値解析により推定している。また、3機関による風洞実験を実施し、風洞実験設備による風圧力のばらつきを考察したうえで、数値解析の検証のためのデータベースを整備した。さらに風洞実験結果との比較から、CFDによる数値解析結果が風洞実験結果と同等の精度を有することを確認した。
  • 野田 稔, 八谷 実, 長尾 文明
    セッションID: 44
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    現在,竜巻の強さや規模等の特性を評価でき,かつ被害の有無によらず適用できる新たな竜巻の評価方法の構築が求められている.そこで本研究では飛散物の見え方に注目し,数値流体解析により生成した現実的な竜巻状流れを用いて飛散物を飛ばし,流れのスケールや飛散物の立川数が飛散物の飛び方にどの様な影響を及ぼすのかを定量的に評価することで,飛散物の見え方から竜巻の特性を推定することの可能性について検討を行った.その結果,同じ強さの竜巻状流れでも幾何学的スケールが小さいほうが相対的により遠くへ飛散物を飛散させることが分かった.また遠くまで飛散している飛散物は,竜巻状流れの渦中心付近から飛散開始していることが分かった.
  • 丸山 敬, 志村 正幸, 長船 寿一
    セッションID: 45
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    鋼球と鉄製のナット、および、砕石を用い、同じ質量をもち、形状や材質の異なる加撃体を衝突させた際のガラスの耐衝撃性能の変化を明らかにした。300mm× 300mmの正方形普通フロートガラスを標準試験体とし、その破壊開始衝突速度で加撃体の衝撃力を比較すると、同じ質量であれば、鋼球によって加撃した場合が衝撃力の大きな衝突が最も多く、ナットが最も少ないことが判った。砕石については、大きな衝撃力を伴う衝突も見られるが、形状が一様ではなく、飛翔中の姿勢や衝突の状況のばらつきも一番大きいことがわかった。
    鋼球と砕石を加撃体として枠付きガラス製パネルに衝突させ、パネルを構成するガラスの種類と衝突位置による耐衝撃性能の変化を調べた結果、ガラスが割れ始める加撃速度は化学強化合わせガラスが最も高く、強化合わせガラス、フロートと網入りの合わせガラスの順に小さくなった。また、鋼球の方が砕石よりも衝撃力が大きかった。測定に用いた高速ビデオカメラの映像は解像度が高くないので、加撃体側の衝突位置や角度を定量的に測定することはできなかったが、衝突時の姿勢の変化は判別することができた。その結果から、砕石の衝突においては回転せず、ガラスと砕石の角が衝突し、その角と砕石の重心を結ぶベクトルが速度ベクトルと一致するような衝突をした場合に、大きな衝撃力を発生させていることが推測された。
  • 野村 卓史, 渡邉 光太郎, 酒井 純生
    セッションID: 46
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    空気中を自由落下した球が地表面に衝突し反発する過程を構造流体連成解析過程として解析した。衝突時の衝撃力を地表面からの反力として球の運動方程式に加える方法をとった。衝突後の球の速度がゼロになる条件を満たすように反力の値を決めると,衝突後に上昇した球がちょうど初期位置に到達することが分かった。また,1ステップを細分化し,反力を滑らかに変化させる過程を用いて圧力の数値振動を除去できた。本解析法では,衝撃力の値は時間積分間隔の大きさに依存するが,その代わりに衝突時の力積を評価できる方法であることが分かった。また,球と空気の質量比を変化させて,質量比が小さくなるほど衝突時の球の運動や反力に対する影響が大きくなる結果が得られた。
  • 長谷部 寛, 曽根 瞭平, 春木 陽平, 野村 卓史
    セッションID: 47
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    沿岸域に建設される構造物は,海から飛来する塩分による塩害で劣化が助長される.特に沿岸域の橋梁の維持管理において,塩害の防止は重要な課題である.そのため,橋梁の部位ごとに付着する塩分粒子量を予測する方法が求められているが,いまだ確立された予測法はない.本研究では粒子発生器で生成した塩分を含むミストを利用し,ミストを用いた可視化実験を実施するとともに,供試体に貼付したろ紙で塩分粒子を捕捉し,ろ紙に付着した塩分量をイオン測定により定量的に評価する方法を検討した.その結果,正方形角柱および二主桁橋モデルの両方において,流れ場の特色に即した面ごとの塩分付着量の違いを評価することができた.
  • 片桐 純治, 大熊 武司, 鶴見 俊雄
    セッションID: 48
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    免震層の塑性化により生じる変動中心変位の確率統計的予測方法について検討を行った。本研究で得られた結果は以下のとおりである。
    1) 変動中心変位は、レインフロー法から求まる極大極小値の平均値より求めた。
    2) 変動中心変位及び変動中心せん断力の標準偏差は、周期3(:弾性時1次固有周期)以上の振動成分より求めた免震層変位及びせん断力の標準偏差とほぼ一致する。また、変動中心変位の確率密度は正規分布とほぼ一致する。
    3) 本研究では変動中心変位の算定方法を提案した。提案した算定方法より求めた変動中心変位及び免震層変位の標準偏差は、風方向では時刻歴解析値とほぼ一致した。一方、風直交方向は、変動中心変位及び免震層変位の標準偏差の算定値のいずれも風速60m/s以上の高風速域で過小評価となった。
  • 佐藤 大樹, 笠井 和彦, 杉山 暢方, 松田 和浩
    セッションID: 49
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    粘弾性ダンパーは微小変形から振動エネルギーを吸収するため,地震時の応答だけでなく風応答の制振装置として有用である。粘弾性ダンパーは振動時に吸収した振動エネルギーを熱へと変換する際に発熱し,粘弾性体温度が上昇する。その温度上昇に伴いダンパー性能が低下する特性(温度依存性)を有している。さらに,発熱量は振動数に依存する特性(振動数依存性)も有する。そのため,継続時間が長い風応答の制振に粘弾性ダンパーを用いる場合には,長時間のランダム振動によるダンパー温度および動的特性の変化を,実大ダンパーを用いた動的加振実験により検証を行なう必要がある。本報では,実大の粘弾性ダンパーを対象とした加振実験を行い,風応答時におけるダンパーの温度上昇および動的特性を検討するとともに,正弦波置換法の実大粘弾性ダンパーに対する適用性を検証し,さらに長時間の繰返しによる特性変化を再現できる解析モデルを提案することを目的とする。
  • 安永 隼平, 植松 康
    セッションID: 50
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    円筒形貯槽の座屈・振動特性について,風洞実験とFEM解析を用いて検討した。特に,壁面の振動特性が座屈特性に及ぼす影響に着目した。座屈実験と静的なFEM解析とで座屈荷重を比較したところ,「リングあり」の試験体では,風力の変動がいくらか影響を及ぼしていることが明らかになった。大きな風力の継続時間が影響したと考えられる。一方で,「リングなし」の試験体の座屈発生メカニズムは単純であり,壁面に作用する風力が座屈荷重を超えた瞬間に座屈が発生した。風力の変動が座屈に及ぼす影響は小さいといえる。最後に,これらの風洞実験の結果を用いて,風力の変動が座屈に及ぼす影響をガスト影響係数に基づき推定した。
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