心の諸問題論叢
Online ISSN : 1349-6905
ISSN-L : 1349-6905
5 巻, 1 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
研究論文 原著 投稿 1:桐田友明 動的催眠誘導技法
  • 桐田 友明
    原稿種別: 研究論文 原著 投稿
    2023 年 5 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 2023/04/21
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    電子付録
    メスメルに始まるといわれる催眠は、当初身体的手法と、暗示による誘導が用いられていたと考えら れる。しかしエリクソン以降の誘導技法は、直接的あるいは間接的に関わらず、暗示即ち言語刺激による手 法が主流となっている。昨今、そうした言語刺激による誘導技法に、ある種の限界を感じている実験家や臨床家も少なくないと思われる。また催眠中は、被催眠者の心と身体がともにリラックスするとも考えられており、適切な暗示を与えられると、被催眠者が元来持っていた能力や活動性を、自由に発揮する一助となる。本 稿において、様々な身体的手法を駆使し、筋肉の緊張と弛緩を交互に与える事で生じる筋弛緩効果を、催眠誘導に有効的に適用する方法について述べる。従来の誘導技法に、動的に弛緩を図り、深化させる動的催眠という選択肢が加わり、それを活用する事で、基礎心理学や実験心理学そして催眠の臨床応用など多面的な催眠研究が一層発展する事を期待する。
査読論文 原著 割り当て1; {桐田友明 動的催眠誘導技法}
研究論文 原著 投稿 2:清川 雅充 「甘え」理論の再認識と新たな見解
  • 清川 雅充
    2015 年 5 巻 1 号 p. 5-
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    2010 年には、土居や「甘え」に関するシンポジウムや特集がゆかりの学会などでいくつか持たれた。そこでは身近な方々による新たな発表や論考から、「甘え」理論について再認識する機会であった。その中でも筆者は例えば、聖母像などに見られる「甘え」の上下関係や、「心の科学と宗教」の関係について、改めて関心を惹かれた。そこで本稿では、①最近の土居や「甘え」に関する論考や発表から新たに学んだ知見を踏まえて、「甘え理論」についての新たな理解を概観提示し、若干の考察をした。そして、②日本の禅僧良寛に、「上下関係を持ち、本来非言語的なものであるところの“甘え”」を見出し指摘した。そしてこれを、「甘え」を具体的に捉えるためのモデルとして提示した。さらに、③「心の科学はありうるか…」に対する「…宗教だよね」という土居の発言を素材にして、「心の科学と宗教」の在り方に関して「真実性」(Authenticity,ドイツ語で Wahrhaftigkeit と記す)の観点も踏まえて考察した。
査読論文 原著 割り当て2; {清川 雅充 「甘え」理論の再認識と新たな見解}
研究論文 原著 投稿3:井上 良子 The Ultimate Desire of Human-Beings --- To Be Accepted
  • 井上 良子
    原稿種別: 研究論文 原著 投稿
    2015 年 5 巻 1 号 p. 7-
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    電子付録
    真に受容されることが、人間にとっては不可欠である。受容が得られない時、攻撃性や不満が生まれ、それは破壊的な結果をしばしばもたらす。攻撃は、周囲のみならず、しばしば自分自身にけられてしまうからである。受容されることと、愛されることというのは、ほぼ同義である。愛情の最も重要な要素もまた受容である。受容されていることを確かめることは、重要であるのみならず、それ自体が、喜びや幸福感を与えてくれる。私たち人間にとって、自分の幸福は愛する人の幸福次第であり、それゆえ、本当に幸せになるためには、誰かを一身に愛することが必要なのである。私たちは、自分よりも、愛する人の幸福を願う気持ちを、生得的に持っている。苦しみや悲しみが、人生に彩りを与えてくれるものであっても、大切な人を、すべての害悪、悲しみ、苦しみから守ろうとするのもまた、自然なことである。自分が幸福になるために、受容されることが必要であると同時に、愛する人が完全に幸福でなければならない。最愛の人から受容されれば、それはもう、完全な幸福といってもよいくらいのものである。仕事においても、雇用者からの拒絶を避けようと努力するもので、これは、友達や恋人からの拒絶を避けたいと願うのに似ている。また、拒絶への恐怖は、創造性を抑えてしまう。
査読論文 原著 割り当て 3; {井上 良子, The Ultimate Desire of Human-Beings --- To Be Accepted}
  • 久慈 要
    原稿種別: 査読論文 原著 割り当て
    2015 年 5 巻 1 号 p. 8-
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    他者によって受容されることが、人に安心感を与え、創造性発揮などを可能にする、 といったことが書かれている。しかし、井上氏の書かれているものは、論文と呼べるのだ ろうか? 書かれていることの内容に異議を唱える人は、あまり居ないかもしれないが、 これは、筆者である井上氏の意図が分からない論文、いや、文章ではなかろうか? これで、井上氏は、何を読み手に伝えたかったのか? 論文、としての、書き手、井上氏の思考の深さも、伝わってこないので、評点は、最低にさせていただいた。
  • Ryoko INOUE, “The Ultimate Desire of Human Beings: To Be Accepted”
    加藤 知佳子
    原稿種別: 査読論文 原著 割り当て
    2015 年 5 巻 1 号 p. 9-
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    INOUEは”The Ultimate Desire of Human Beings: To Be Accepted” において、人間にとって究極の欲求は受容されることであると論じている。しかし、大変残念なことに、名詞や疑問文が羅列されるままになっていたり、1ページ近くの長さに及ぶ文が尻切れとんぼで終わっていたりと、文章そのものが内容の正否を論じられる状態ではない。また、内容についても、受容されている状態や受容された結果についての言及は数多くあるものの、そもそも受容する/されるとはどのようなことであるかということについては、十分に同定されているとはいいがたい。よって、評価は 〈−2〉とし、書き直した上での再投稿を期待する。
研究論文 原著 投稿 4:清川 雅充 精神分析的心理療法を適用したパニック障害の 1 例
  • 清川 雅充
    原稿種別: Research Original Contribution
    2015 年 5 巻 1 号 p. 10-
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    電子付録
    本稿では,精神分析的精神療法が適用であったパニック障害の治療を報告した。そして,治療経過を理論的に定式化して,精神分析的な解釈を含めたどのような介入に効果があったのかを検討した。Cl は 30 代半ばから過呼吸・発汗,湧き出るような不安,めまい,広場恐怖等の症状が出現した50 代の女性である。筆者は入院中の面接開始当初から積極的に解釈投与した。また,この治療では,筋弛緩法,認知行動療法,エクスポージャー法,や,フォーカシング等,他の精神療法の技法の要素や,現実的な会話や助言を適宜挿入した。筆者が愛情生活や甘えに関する解釈をほぼし終えた頃,発症の契機(誘因=真実)が分かってくるが,その後しだいに Cl の主症状は消失して行った。本治療においては,精神分析的な解釈に加えて,種々の精神療法の技法要素が適度に捉えられていると考えられた。さらに,現実的な介入には,実際の二者間での“看とってあげる”母親理想化自己対象機能の提供( Bacal)としての意義も持つと考えられる。その後心因が発見されてからは,状態はさらに安定して行った。
査読論文 原著 割り当て 4 : {清川 雅充 精神分析的心理療法を適用したパニック障害の 1 例}
  • 斧原 孝守
    原稿種別: 査読論文 原著 割り当て
    2015 年 5 巻 1 号 p. 11-
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文は、重度のパニック障害に対して精神分析的心理療法が有効であったことを述べる事例報告である。その内容に立ち入った評価を下すことは評者には不可能であるため評定は0とし、評者の理解の届く範囲で疑問を提出した。
  • 久慈 要
    原稿種別: 査読論文 原著 割り当て
    2015 年 5 巻 1 号 p. 12-
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    清川雅充氏は、精神分析的心理療法をパニック障害のクライアント(Cl)に適用し、効果があったと報告している。確かに、Cl の経過はよかったと考えられる。しかし、氏の報告からでは、精神分析的心理療法が体系的に Cl に適用され、確かに、併用された他の療法ではない、精神分析的心理療法が効果があったのか、読み取れないように思われる。また、氏は、ご自身の解釈を含む、療法の行為を理論的に定式化して考察したと言われている。しかし、報告のどの表現が、理論的な定式化なのかが理解できない。氏は、この報告が、精神分析的心理療法のパニック障害への有用性を報告した論文の追試になっている、と主張されている。その論拠を、氏の考えておられる精神分析的心理療法を用語としてあてはめられる場面があり、Cl の経過がよかったということに求めておられるが、それは果たして妥当か疑わしい。論文としては、もう少し、整理し、論理性を付与することが求められると思われる。
  • 清川雅充「精神分析的心理療法を適用したパニック障害の1例」に関する査読論文
    加藤 知佳子
    原稿種別: 査読論文 原著 割り当て
    2015 年 5 巻 1 号 p. 13-
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    清川は「精神分析的心理療法を適用したパニック障害の1例」において、これまでエビデンスがほとんど報告されていないパニック障害に対して精神分析的心理療法を適用したケースを報告し、その有用性を追試したと主張している。これに対して、主張の大筋は評価できるものの、1)査読者も一般読者も非専門家である場合が多い本論叢に投稿するにあたっては、非専門家でも理解できる説明が期待されること、また、2)精神分析的心理療法の有用性を示すにあたっては、投薬および他の諸技法との併用状況や、本ケースに精神分析的心理療法が奏効すると判断した根拠等についても更なる情報提供が望まれること、等の感想を抱いた。よって、評価は+1とし、加筆修正を期待する。
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