60mまでの小型沿岸船の復原能力はある種の荷重状態のもとで, あるいはまた甲板上に氷結を起こしたとき, 不十分なものとなる。多くの小型船が未知の条件のもとで遭難を起こしたため, この問題について1950年から60年にかけて多くの理論的, 実験的な研究が行なわれて来ている。Manleyの指摘するところによると, 60mまでの小型船は復原能力の立場から見ると大型船よりも危険状態にある。さらに船舶の全遭難数のうち, これら小型船の遭難が占める割合は増加の傾向を示し, 1899年から1913年の間の36%が第2次大戦後は66%に達している。一方全船舶数に対して小型の占める割合は20%から30%を保っている。また小型船の遭難の70%は冬期に起こり特に乾玄の低いこと, 甲板上に貨物を搭載していたことが共通している。これらの小型船の遭難を防止するためには, 遭難機構を解明し, 現実的な規則をもうけて復原能力の欠陥を改善しなければならず, また国際安全規則に対するトン数制限を500登録トン以下に引き下げることが望ましいものと思われる。
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