筆者はかねてからホネキノリ属 (Alectoria ACH.) の研究をしているが, たまたまエジンバラ王立植物園の腊葉室 (E) 所蔵の標本の中に, モエギイバラキノリ (A. virens TAYL.) の新変種があることを発見した。それは支那大陸の雲南省の2個所でG. FORRESTが採集したものなので, 採集者を記念してvar. forrestii HAWKSW. と命名した。
この新変種は基準型のvar. virensとよく似ているが, 地衣体が平伏状であること, 主枝に縦の割れ目があり髄が外部からすっかり見えることなどで区別される。皮層と髄層にはブルピン酸を含んでいるが, これは黄色の色素で, ホネキノリ属の地衣類にはあまり出現しない。本種以外ではA. tortuosa MWRR. の地衣体や, A. fremoniii TUCK. の手器と黄色の粉芽体に見られるくらいである。またA. virens TAYL. にはビレンス酸とよばれる独特のデプシドーンが含まれていると云われているが, 通常の顕微化学的再結晶法やクロマトグラフ法では検出できなかった。
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