日本産サンゴゴケ属地衣に対するわれわれの再検討の結果, 次のようなことが明かにされた。
1) REHM (1971) が欧州および北米産のS. fragilisの標本で見つけた4種のchemical strainのうち, 二つが日本産標本からも発見された。さらにREHMの報告にはない新しいchemical strainが一つ見つかった。これを加えると, S. fragilisは全世界では少くとも五つのchemical strainがあることになる。
2) 日本特産のS. meiophorusと日本産のS. melanocarpusには, それぞれ二つのchemical strainがある。
3) 日本産のS. diplotypus, S. formosanus, S. turfaceusの標本からはchemical strainは検出されなかった。
4) すでにKROGが述べたように, ツンドラサンゴゴケS. turfaceus ASAHINAは広義のS. globosus (HUDS.) VAIN. に含ませるのがよい。その場合に, WADE (1954) が記載したS. globosus var. recurvus WADEのシノニムにすることが適当であろうと思うが, 今回は一応保留しておく。
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