上記の観察結果を要約し所見を加えてみると, 2種は共に同亜属の異った節に所属しているが, F. takayuensisの胞子は楕円形で45 (47) 48μ×50 (52) 55μ, F. mayebaraeは球形で28(31.8)37μで前種の方が大形, 直径上のforaminaの数は前者が7―8個で後者の5(6)7個よりやや多い。Foraminaの直径は前者が6(8)10μ, 後者は6-8μで前者が大である。中間帯はF. takayuensisでは小乳頭状突起の分布は粗で不規則であるが, F. mayebaraeでは規則的に密に分布している。Foramina内部の基は両種共に同形同大の小乳頭が極めて規則正しく密生している。この特徴は第1報で報告した既知のどの種にも見られない。類似を求めるなれば両種と同亜属のF. tamarisci subsp. moniliataに両種に近い所見が認められるが, foramina部が凹入せず隆起している点は顕著な相違点である (前報参照)。この基から突出したイボ状乃至棘状の大突起は, F. takayuensisでは大形乳頭状で高さは0.1(0.12)0.15μ, やや規則的に散在, 先種は多少求心的に傾く傾向があるが, F. mayebaraeでは長さ1.37(1.75)2.25μの不規則な円柱状の長乳頭状突起が不規則に散在し, その先端はforaminaの中心部に向って顕著に求心的に斜生している。この点は, 他の既知種と著しく異る共通した微細形態的特徴を有する両種間の, 最も明瞭な区別点てある。
上記の様な所見から, spore wallの微細形態上からも, この両種がSubg. Frullania中の各異った節におかれることは必ずしも不当ではないこと裏付けるものと考えられる。
尚苔類のspore wallの微細構造の研究上, 従来の電子顕微鏡による直接法及びreplica法と, 走査電子顕微鏡による表面直接観察法との結果の比較については別項で論じたい。参考文献は第1報を参照されたく, 本報についての特別なものは脚註に示した。(続く)
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