新潟医療福祉学会誌
Online ISSN : 2435-9777
Print ISSN : 1346-8774
21 巻, 3 号
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総説・解説
原著論文
  • 徳永 由太, 高林 知也, 久保 雅義
    2022 年 21 巻 3 号 p. 100-107
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
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    ハムストリングス(HAM)は解剖学的には膝関節屈曲筋に分類されるにもかかわらず、特定の股・膝関節角度では膝関節伸展作用を発揮できる可能性があると報告されている。しかし、どういった股・膝関節角度でHAMが膝関節伸展作用を発揮するのかは明らかとなっていない。本研究の目的は、股・膝関節角度の変化とそれに伴う膝関節運動におけるHAM機能の変化の関係を数値シミュレーションによって明らかにすることである。筋骨格モデル解析用ソフトウェアOpenSimを用いて股・膝関節角度の変化に伴うHAM機能の変化を検証した。解析対象はHAMを構成する半膜様筋(SM)・半腱様筋(ST)・大腿二頭筋長頭(BFLH)・大腿二頭筋短頭(BFSH)の4筋とした。膝関節運動におけるSM・ST・BFLH・BFSHの機能を同定するために、筋が発揮した張力に由来する関節角加速度を推定することができるInduced acceleration analysisを使用した。股・膝関節角度条件を規定する各関節角度の可動範囲は股関節屈曲角度-30〜90°、膝関節屈曲角度-10〜90°とした。シミュレーションの結果、1) 膝関節運動におけるSM・ST・BFLH・BFSHの機能は股・膝関節角度に応じて動的に変化すること、2) SM・ST・BFLHは特定の股・膝関節角度では膝関節伸展作用を発揮すること、3) BFSHはいかなる股・膝関節角度条件でも膝関節伸展作用を発揮しないこと、の3点が明らかとなった。これらの知見は股・膝関節角度と膝関節運動におけるHAM機能を考える上で基盤となるデータとなり得ることが考えられる。

  • 井上 弘樹, 内山 八郎
    2022 年 21 巻 3 号 p. 108-120
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
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    目的

    既存のPC用ベイズ推測視覚化プログラム、B.T.V.T.I.をスマートフォン・タブレット用に移植した。移植後のBTVTI-Rについて動作を検証した。さらにユーザーにアンケート調査を行い、ベイズ推測の学習・理解への有用性を評価した。

    方法

    移植にはRとShinyを用いた。アンケート調査にはグーグルフォームを使用した。

    結果

    ユーザーインターフェースを改設計したBTVTI-RはほぼB.T.V.T.I.の動作を再現することができた。ただし画面サイズの制約のため、B.T.V.T.I.において入力データ種が多数である一部の推測画面を移植することはできなかった。アンケート調査において「このアプリを使うことによってベイズ統計に興味を持ちましたか」に対して、「とても興味が湧いた」「興味が湧いた」「やや興味が湧いた」の回答が計65.6%となった。

    考察

    BTVTI-Rは短時間の放置でサーバーとの再接続が生じ、操作の利便性を損ねる可能性があると考えられた。アンケート調査においてベイズ推測に見聞や知識のある者の回答から、本アプリは書籍や座学などと組み合わせて用いることがベイズ推測の学習に有用である可能性が考えられた。またBTVTI-Rのような簡便な操作のアプリをスマートフォンに提供することが、未経験で関心の少ない学習者にベイズ推測に関する興味を惹起させる効果を有する可能性が考えられた。

  • 工藤 由紀子, 木下 直彦, 本間 美知子, 皆川 璃子, 宇田 優子, 石上 和男, 鈴木 健司, 柴山 純一, 瀧口 徹
    2022 年 21 巻 3 号 p. 121-131
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
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    健康情報の吟味能力であるヘルスリテラシーは重要である。しかるに、健康食品の利用は医薬品と異なり利用者の意思決定と自己責任に委ねられ健康リスクに対する判断も求められる。そこで健康食品の利用とヘルスリテラシーの係わりの実態の検証を目的に質問票調査を行った。解析は健康食品利用の有無と利用頻度をそれぞれ目的変数とした二項ロジスティック回帰分析と重回帰分析を性、年齢、学歴、健康状態等を説明変数として行った。結果、ヘルスリテラシーと健康食品の摂取との関連は性差が顕著であった。ヘルスリテラシーは機能的・伝達的・批判的の3つの下位尺度に分類される。利用要因では男性は伝達と批判の交互作用が有意で、ヘルスリテラシー値は1標準偏差当たり約1.4倍健康食品摂取確率が増加することが示された。女性では有意性が認められなかった。利用頻度の増加要因では男性は伝達と批判の交互作用が有意となり、女性は機能と伝達の交互作用が有意となった。すなわち、男性は情報を論理的に収集し批判的に意思決定した場合健康食品を多用し、女性は美容中心の情報に関心を持つ傾向が顕著であった。よって健康食品の情報資料は、男女間の関心の共通性と思考の重心の違いを意識して作成することで個々のヘルスリテラシーの機能を高め、健康食品の安全利用に効果的であると考えられた。更に不足したヘルスリテラシーを補完すれば、より安全な健康食品の利用につながると考えられた。

[大会長印象記]
[実行委員長印象記]
[特別講演サマリー]第21回新潟医療福祉学会学術集会 特別講演
  • 出江 紳一
    2022 年 21 巻 3 号 p. 134-135
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
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    保健医療福祉における医工連携は共生社会成長の鍵である。そして、本当に役に立つ医療機器と支援機器の開発には現場当事者の視点が大切である。また、医療の質の主要構成要素として有効性、効率性、適時性、公平性、安全性、患者中心性が知られているが、この中で患者中心性を具現化する概念として、患者経験価値(patient experience)が注目されている。現場のニーズに基づく医療機器・支援機器の開発と患者経験価値に基づく医療の質改善は、根底にデザイン思考と当事者とのコミュニケーションがある点で共通している。また、これらを広く社会に浸透させるためには現場のニーズや患者中心性に立脚して活動する実践的専門家の育成が必須である。

[シンポジウム座長印象記]
[シンポジウムサマリー1]第21回新潟医療福祉学会学術集会 シンポジウム 医療・福祉・工学 分野における学際的な人材育成モデルの構築に向けて
[シンポジウムサマリー2]第21回新潟医療福祉学会学術集会 シンポジウム 医療・福祉・工学 分野における学際的な人材育成モデルの構築に向けて
[シンポジウムサマリー3]第21回新潟医療福祉学会学術集会 シンポジウム 医療・福祉・ 工学分野における学際的な人材育成モデルの構築に向けて
[学会表彰者コメント]
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