発話において舌は構音運動の中心的な役割を担う。したがって、神経筋原性の病変に起因して舌の運動機能が障害されると、構音の異常が起きる。これまで、舌の運動機能をとらえる様々な方法が提案され、その一つに等尺性収縮時の舌の圧力が筋力低下を示す指標として古くから用いられてきた。しかし、先行研究を概観すると最大舌圧と発話関連指標の関連性の有無について対照的な結果が散見される。こうした背景から、意外にも舌の筋力低下が発話にどのように影響しているかは、現在でも議論が続いている。本稿では、一連の先行研究の整理を試み、最大舌圧および発話の関連性を再考する視点を提供したい。
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