本研究は,米価下落や政策転換のもとで展開する,北海道の大規模水田作経営の実態を分析した.
現在は,米価下落や政策転換のもとで,米の収益性が低下している.そのため,北海道の大規模水田地帯では,米の作付面積が減少している.
大規模水田作経営の対応は、複数の農家による組織法人化,水稲直播栽培や小麦や大豆を作付けすることで、低コストや土地利用の高度化に向けた取り組み(経営の改善)を行っている.
しかし,大規模農業経営や農業生産法人(組織法人)は農業政策によって経済的に支えられている.これらの経済的条件が失われたとすれば,後継者の確保が困難な地域農業にとっては危機である.
2015年の農業センサスは,北海道の水田農業が,高齢農家のリタイアによって,構造変化が進んだことを表している.
地域農業は,大規模農業経営や農業生産法人(組織法人)によって支えられている.地域の農業資源を,次世代へ継承する仕組みを作ることが,今後の課題である.
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