農業問題研究
Online ISSN : 2434-2203
Print ISSN : 0915-597X
48 巻, 1 号
特集:主要水田地帯における農業構造の変動とその行方─農政転換,低米価下における担い手形成と農地利用の動き─
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
特集にあたって
論文
  • 菅原 優
    原稿種別: 論文
    2017 年 48 巻 1 号 p. 9-19
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/10/11
    ジャーナル フリー
    本研究は,米価下落や政策転換のもとで展開する,北海道の大規模水田作経営の実態を分析した.
    現在は,米価下落や政策転換のもとで,米の収益性が低下している.そのため,北海道の大規模水田地帯では,米の作付面積が減少している.
    大規模水田作経営の対応は、複数の農家による組織法人化,水稲直播栽培や小麦や大豆を作付けすることで、低コストや土地利用の高度化に向けた取り組み(経営の改善)を行っている.
    しかし,大規模農業経営や農業生産法人(組織法人)は農業政策によって経済的に支えられている.これらの経済的条件が失われたとすれば,後継者の確保が困難な地域農業にとっては危機である.
    2015年の農業センサスは,北海道の水田農業が,高齢農家のリタイアによって,構造変化が進んだことを表している.
    地域農業は,大規模農業経営や農業生産法人(組織法人)によって支えられている.地域の農業資源を,次世代へ継承する仕組みを作ることが,今後の課題である.
  • ─秋田県の集落営農法人の事例分析を通じて─
    椿 真一
    原稿種別: 論文
    2017 年 48 巻 1 号 p. 20-28
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/10/11
    ジャーナル フリー
    2007年の水田・畑作経営所得安定対策を契機に全国的に多くの集落営農組織が設立されたが,東北,秋田においては,個別による営農が継続されたままの形式的な組織化であり,効率的な営農にはつながっていなかった.本研究は東北の集落営農組織が法人化することで,共同化の内実を伴う組織へと展開し,農地の受け皿として機能していること,他方で主たる従事者を絞り込んでも他産業並の所得水準には届いていないことを明らかにした.
  • 品川 優
    原稿種別: 論文
    2017 年 48 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/10/11
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,農業構造の変動が激しかった佐賀を対象に,その変動主体である集落営農の変容を考察している.佐賀では,統合等による集落営農数の減少,離農等による構成農家数の減少といった集落営農の量的後退がみられるが,他方,農政の方針によって近年急速な法人化も進んでいる.ところが,作業面では協業化が進み経営体としての内実化を高めつつも,経理面では依然内実化が広がらない状態であるのが,佐賀の集落営農の現段階である.
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