日本の農業協同組合は正組合員と准組合員で構成されるが,農業協同組合法に基づき正組合員しか議決権を有しない。協同組合の理念では,組合員が中心となって組織運営のガバナンスを行うことが重要である。近年,准組合員数が正組合員数を上回っている農協が増えており,JAグループでは議決権のない准組合員もガバナンスに取り込むため,アクティブ・メンバーシップという方針を2015年に掲げるようになった。本研究では,積極的にアクティブ・メンバーシップの方針を取り入れて活動している総合農協を事例に,正准の種別および協同組合に対する意識や活動とガバナンスとの関係についてアンケート調査を実施した。その結果,准組合員であっても組合活動に積極的な人は,あまり積極的ではない正組合員よりも協同組合の本質を理解しており,組合の運営に関する意見を有して,意見を伝える場も認識していることが明らかになった。したがって,今後の農業協同組合では,地域の実態に合わせて,准組合員を組合活動に取り込んだガバナンスを構築していくことが有効である。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら