環境システム研究論文集
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28 巻
選択された号の論文の56件中51~56を表示しています
  • 檀 智之, 並河 良治, 安田 佳哉
    2000 年 28 巻 p. 429-434
    発行日: 2000/10/13
    公開日: 2010/03/17
    ジャーナル フリー
    本研究は、CVMを用いて、道路交通騒音を維持することの金銭的価値の評価を行った。その際に評価に影響を及ぼす要因を評価実験により分析した。その結果, 一世帯あたり支払意志額は, 44-92万円であり, 変化前の騒音レベル及び増加量は, 双方とも支払意志額の因子となっていることが判明した。
    被験者の騒音環境と支払い意志額は関連性を持っており, 交通量の多い道路から離れた場所に居住する人程, 騒音レベルの変化に対してその反応性は弱いものとなっていることが分かった。
  • 武藤 慎一, 高木 朗義, 渡辺 慎一
    2000 年 28 巻 p. 435-443
    発行日: 2000/10/13
    公開日: 2010/03/17
    ジャーナル フリー
    In the recent argument to environmental problems, it is apprehended that the activities of future generation may be threatened by consuming excess natural resources or discharging more wastes and pollutants at present. In this paper, we focus on the waste discharge problems and try to evaluate its economic loss. First of all, we built the general equilibrium model on the static framework in which the relationship between agents' economic activities and discharged wastes is described, and we cleared the incidence item of economic loss for the waste discharges. Next, we extended the static model to dynamic model on the framework of an optimal economic growth model. And we indicated the levels of the composite good and waste disposal service at each time under the condition of maximized utility, and measured the change of the economic loss.
  • 大野 栄治
    2000 年 28 巻 p. 445-452
    発行日: 2000/10/13
    公開日: 2010/03/17
    ジャーナル フリー
    タイは海面上昇に対して非常に脆弱な国の一つである.本研究は一般均衡理論に基づく社会経済モデルである擬似SCGE (多地域応用一般均衡) モデルを構築し, 本モデルを用いてタイにおける海面上昇による土地損失の経済的影響を評価した.その結果, GDP (国内総生産) は, 50cmおよび100cmの海面上昇により, それぞれ0.361%および0.685%の減少であることがわかった.地域別に見るとバンコク都市圏における生産額の減少分が最も著しく (総被害額の約61%), また産業別に見ると製造業の生産額の減少分が最も著しくなる (総被害額の約38%).
  • 中国長江流域・珠江流域を対象として
    岡寺 智大, 吉田 登, 盛岡 通
    2000 年 28 巻 p. 453-458
    発行日: 2000/10/13
    公開日: 2010/03/17
    ジャーナル フリー
    本研究は東アジアにおける急激な工業化に伴う資源・エネルギー消費による社会経済的影響を環境面に拡張された産業連関分析により評価し, 持続可能な産業構造転換への提言を行うことを主目的としている。まず中国の地域傾斜的な経済施策と地域環境問題について述べ, 次いで経済開放区を下流に抱える長江流域及び珠江流域を対象地域として, 地域間産業連関分析の手法を用いて地域産業間の財・サービスの移動に伴う環境負荷 (NOx) の誘溌構造を明確にする。最後に環境効率改善型施策導入による効果を線形計画モデルにより評価する.その結果, 長江流域では流域内での産業連携を推し進める必要性が示唆されたのに対し, 珠江流域では外部依存型の産業構造からの脱却の必要性が示された。
  • 田口 誠, 盛岡 通, 藤田 壮
    2000 年 28 巻 p. 459-466
    発行日: 2000/10/13
    公開日: 2010/03/17
    ジャーナル フリー
    本研究では, CVM (仮想評価法) およびコンジョイント分析を通して, 矢作川における流域環境整備からの経済的 便益評価を行った. 河川環境を水質, 安全性, 生態系保全, アクセス可能性の4属性に分類して各属性に対する住民の限界支払意思額 (MWTP) を推定した結果, 上流・中流・下流の各地域で各属性に付与する経済的価値の相対的なウェイトが異なることが確認された. このことから, 流域の各自治体を含んだ流域環境管理に関する合意形成には交流を通した相互理解が必要であり, 矢作川では矢作川沿岸水質保全対策協議会 (矢水協) がリーダーとして果たした役割が大きいと考えられる. また, 下流自治体によって創設された水源林保全基金については, 規模は不十分なものの受益者負担を実現する制度として注目される.
  • 増井 利彦, 松岡 譲, 森田 恒幸
    2000 年 28 巻 p. 467-475
    発行日: 2000/10/13
    公開日: 2010/03/17
    ジャーナル フリー
    本研究では、経済活動に伴って発生する環境負荷を取り込んだ応用一般均衡モデルを用いて、環境負荷を削減するという環境制約が経済活動に及ぼす影響と、そうした環境制約を緩和させる政策の効果を定量的に評価する。ここで対象とした環境制約は、京都議定書で同意した二酸化炭素排出量の削減 (2010年頃までに排出量を1990年比で6%削減する) と、1999年に日本政府が目標値として表明した廃棄物最終処分量の削減 (2010年度までに最終処分量を1996年度比で半減する) の2つである。これらの制約により、2010年のGDPは制約がない場合と比較して2.7%減少する。本研究で対象とした環境政策は、1) 古紙の需要を高める、2) 低公害車の普及を図る、3) 廃棄物処理に対する投資を高める、の3つである。これらの政策は、対象となっている環境負荷の削減を通じて環境制約を緩和させるとともに、関連する産業の生産活動を高めることから、全体的なGDPの回復に寄与する。その一方で、例えば低公害車の普及により2010年の二酸化炭素排出費用 (: 排出目標を達成するために課せられた炭素税の費用に相当) は11.9%削減するが、廃棄物最終処分費用は0.7%増大するなど、環境政策が産業連関を通じて別の環境に影響を及ぼす可能性があることを明らかにした。
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