情報教育
Online ISSN : 2434-3463
2 巻
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
研究論文
  • 加島 智子, 松本 慎平
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2 巻 p. 1-8
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル フリー
    2020年の小学校プログラミング教育必修化に向けて様々な取り組みが行われている.本研究では初学者向けとしてコンピュータを使用せずに考え方を学ぶアンプラグドのプログラミング教育に注目し,研究を進めている.様々なイベントを通して初学者にプログラミングに興味関心を持たせ,プログラミングの基礎知識を,遊びを通して学ばせることを目的としている.小学生に実施した体験イベントを通して教育効果の評価を行う.
  • 加納 寛子
    2020 年 2 巻 p. 9-16
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年AIに関する技術は飛躍的に進展してきており,社会人を対象にAIに対するイメージの調査なども行われている.本稿は,小学生のAIやロボットに対する意識に焦点を当てて分析を行った.プログラミング経験の有無とプログラミングに対する意識についての分析結果より,「プログラミングは魅力がある」「プログラミングを学びたい」「プログラミングが好き」の3項目については,プログラミング経験がある者の方が,魅力や好感を持ち学ぶ意欲も高いことが示された.ビジュアルプログラミング言語など,小学生にも取り組みやすいプログラミングソフトやアプリが多数開発されてきており,経験をする前には,ハードルが高く感じられるが,経験することにより,魅力や好感・意欲の向上につながることが推察された. AIの発展に対する意識については,プログラミング経験の有無によらず,子ども達は,AIの発展に対し,期待し,興味・関心を持ち,おもしろい,役立つと考えていることがわかった.一方で,少なからず不安も抱いている者もいることが読み取れた.そこで,不安高群と低群に分類し,AIの発展に対する意識との関連を調べたところ,不安もあるけれど期待している,不安もあるけれど興味もある,という積極的な意識としての不安感であった. さらに,AIロボットに期待することと不安に感じることに関する記述傾向として,「楽しさ」「技術発展」「他者との関わり」「(生活や家庭など身の回りのところへの)普及」「必要悪」「支配と恐怖」に,分類された.このことから,負の側面を認識した上で,発展や楽しさなど明るい希望的側面に期待を寄せていることが推察された.
  • 甲村 美帆
    2020 年 2 巻 p. 17-23
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    小学生向けプログラミング・ワークショップにおいて,女子児童を対象として実施された調査を報告する.本研究では,ワークショップに参加した女子児童の活動の観察と半構造化インタビューによって,定性的なデータを得た.その結果,本事例の女子児童では,プログラミング学習に対する興味関心はインタラクティブな反応制御よりも,イラストの描画や動画制作に向けられていたことが示唆された.また,児童がプログラミングを学習する過程において生じたつまずきとして,時間制御や細かな順次処理の困難さを指摘した.
  • 空谷 知之
    2020 年 2 巻 p. 24-30
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    情報活用能力を育成するためには自己が持っている知識に積極的に他の知識を加えることが必要であり,受動的に情報を保持しているだけでは情報活用能力は向上しない.高校生がコンピュータ操作を行う際や授業で理解が出来ない専門用語が現れた場合,インターネットを使用して専門用語の意味を検索する場合が多いが,インターネット上の解説が高校生の理解できる範囲を超えている場合や派生的に関連する用語の意味が解らない場合には用語の意味を理解しないまま放置してしまい情報を活用することが困難となる恐れがある.本研究では高校生に対する情報専門用語の知識の獲得と定着を目的とし,eラーニングを使用した授業デザインの開発を行った.授業の開発にはインストラクショナルデザインの基本的モデルであるADDIEモデルを使用し授業を設計,実践した.その結果,学習者から専門用語の理解や効果について肯定的な評価を得られた.
  • アルゴロジックの利用とその学習データの活用を通じて
    松本 慎平, 加島 智子, 山岸 秀一
    2020 年 2 巻 p. 31-40
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    プログラミング教育に関するいくつかの論文では,プログラミング学習後の理解度はプログラミング学習以前の何らかの適性によって決定付けられると述べている.そこで本論文では,プログラミングの適性をその学習以前に行われるプログラミングゲームの理解度で定義し,それとプログラミング学習後の理解度との関係を調査することを目的とする.すなわち,プログラミング学習前に動機付けの目的で利用されたプログラミングゲームの理解度の状況を個々のみならず全体の傾向も含め事前状態として把握するばかりでなく,事前状態と事後状態であるプログラミング学習後の成績とを対応付けて分析することを課題とする.本論文では,事前状態を把握するためのプログラミングゲームとしてアルゴリズム思考の体験を目的とした「アルゴロジック」を利用した.アルゴロジックは,プレイヤが予め設定した命令ブロックでロボットを自動的に動作させ間接的に問題解決を行わせるプログラミング未経験者向けのパズルゲームである.本論文では,学習者がプログラミングの学習を始める前にアルゴロジックを用いた演習を行い,演習後その理解度を確かめるためのアルゴロジックテストを実施した.学習者は,アルゴロジックテストの後,プログラミングの基本を約10か月間かけて学習し,プログラミング学習の理解度を都度テストで確認した.本論文では,これらテストの結果をアルゴロジックテストの得点と関連付けて分析した.分析の結果,アルゴロジックテストの結果とプログラミングの理解度との間には正の関係が示唆された.
  • 山梨大学全学実施を事例として
    小俣 昌樹, 吉川 雅修
    2020 年 2 巻 p. 41-50
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    山梨大学において,2015年度と2016年度の全新入生を対象として,初年次情報授業の実施の前後に,高校普通教科「情報」の知識を問う40問の多肢選択問題のテストを実施した.その結果,両年度の学年とも,授業実施後の方が授業実施前よりも全学の平均正答率が下がったことがわかった.この原因のひとつとして,山梨大学の初年次情報授業では,オフィススイートや情報の受信・発信を中心とする情報活用を扱う学科が多く,高校の普通教科「情報」の知識部分,特に「情報の科学的な理解」の観点に対応する復習が少ないことが考えられる.本稿では,このテストの結果およびその分析について詳述し,山梨大学の事例から,高等学校での情報教育についておよび大学の初年次情報教育について考察する.
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