鉱山地質
Print ISSN : 0026-5209
28 巻, 151 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • S.D. SCOTT
    1978 年 28 巻 151 号 p. 301-311
    発行日: 1978/08/25
    公開日: 2009/12/14
    ジャーナル フリー
    北鹿地域に密集する黒鉱鉱床は北北西と北東系の共役断層群に規制され,大規模鉱床は両者の交点かその近くに分布する.本州北部全般についても,顕著な南―北系を切る種々の性格の北北西系と北東系の構造がある.これらは先第三紀の基盤の性格に起因すると思われる.北鹿地域の基盤に由来する上記2方向,とくにその交差部は黒鉱鉱床の分布を規制する主要因である.恐らくその交差部がデイサイトドームマグマのダイアピール上昇と鉱液の垂直循環機構の発達をうながした,交差部に鉱床が知られていない所では新鉱床が発見される可能性がある.
  • 黒田 英夫
    1978 年 28 巻 151 号 p. 313-323
    発行日: 1978/08/25
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    松木鉱山のA鉱床は全く泥岩中に産することで特異であり,高品位の黄鉱からなる。鉱床は7つの単位鉱体からなり,また鉱床は粗粒多孔質鉱体と細粒縞状鉱体とに分けられる.両者とも母岩の泥岩の変質相,黒色粘土化帯に産出する.鉱床の中心から外側へ全体として,硫化鉱体,脈石鉱物帯,黒色粘土化帯の累帯配列が認められ,それぞれの内部にも,鉱体内における黄鉱と黒鉱,脈石鉱物帯の重晶石レンズ,炭酸塩鉱物レンズと珪質レンズ+団塊のように,平面的に外側に向けての帯状配列がある.砂質有孔虫化石は鉱体のみならずその上下盤に産出する.底棲有孔虫と鉱体の産状とは,この鉱床がM2泥岩下半分の堆積後に,海水を多く含む未固結泥岩中に生じたことを示す.先駆的火山活動が弱いために生じた比較的還元性の環境下で鉱化作用が進行したことが,一般の黒鉱鉱床と異なるA鉱床を生成した原因と考えられる.
  • 井沢 英二, 吉田 哲雄, 斉藤 了
    1978 年 28 巻 151 号 p. 325-335
    発行日: 1978/08/25
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    深沢鉱床は秋田県北鹿鉱床地区のほぼ中央部に位置する典型的な黒鉱鉱床である.深沢鉱床地域のフェルシック火山岩類は黒鉱鉱化作用に関連した熱水変質を受けている.層状鉱床下盤の火山岩はMg緑泥石,絹雲母を特徴とし,長石を欠く変質帯を形成している.新期の火山岩も含めて,鉱床周辺にはFeMg緑泥石―絹雲母―長石を特徴とする広範囲の変質帯が発達している.さらにこの外側には続成作用によって生じた沸石―モンモリロン石帯が認められる.
    鉱床下盤の火山岩の変質に伴う化学組成の変化としてはNa2OとCaOの減少とMgO,SそれにAsの増加が認められた.これらの特徴は島根県の石見鉱床地域でも同様に認められる.しかし鉱床から数km離れた所に産する弱変質の火山岩(沸石―モンモリロン石帯)のCI含有量を比較すると,石見地域では300~500ppmであるのに対し深沢地域では20~40ppmと低いことが明らかになった.この理由として,深沢地域の熱水活動が黒鉱鉱化後も長期にかつ広範囲におよんだため火山岩類中のCI溶脱が進行した可能性も考えられる.
    変質岩の化学的変化の傾向を見るためAI2O3-MgO-(CaO+Na2O+K2O)図を用いて検討した結果,深沢および石見の場合黒鉱鉱化作用に伴う変質作用の特徴としてMgOの増加が明らかであった.カナダにおける始生代の塊状硫化物鉱床の場合にも同様な傾向が認められる.これは海水の関与した熱水変質の特徴と考えられる.
  • 浦辺 徹郎
    1978 年 28 巻 151 号 p. 337-348
    発行日: 1978/08/25
    公開日: 2009/12/14
    ジャーナル フリー
    表記鉱床中の黒鉱,黄鉱,珪鉱中のシリカ鉱物は石英のみで,硫化鉱物と同時沈殿したものと考えられる.黒鉱鉱石中には両錐石英がごく普通に見られ,その大きさは鉱液の噴出中心から外側へ向かうにつれて増大する.また石英/硫化鉱物の比と重晶石/硫化鉱物の比は正の相関を示す.石英の水溶液中への溶解度は主として水溶液の温度のみの関数であるので,下記の二つの比の間の正比例関係は,冷たく,硫酸イオンに富んだ海水と上昇してきた鉱液との混合により説明可能である.
  • 丸谷 雅治, 武内 寿久禰
    1978 年 28 巻 151 号 p. 349-360
    発行日: 1978/08/25
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    秋田県小坂鉱山の上向第4鉱体および内の岱西鉱床第7下部珪鉱体の珪鉱中の流体包有物について充填温度および塩濃度の測定を行ない,黒鉱鉱床を生成した鉱化流体の物理化学的条件について検討を加えた.石英の充填温度の範囲は上向第4鉱体の層状珪鉱体は260-310℃,下部珪鉱体は280-320℃であり,層状黒鉱型珪鉱では260~290℃,層状黄鉱型珪鉱では280-310℃であった.層状珪鉱体中の閃亜鉛鉱は200-240℃,下部珪鉱体中の閃亜鉛鉱は235-280℃で,いずれも共生する石英より低い温度を示した.上向,内の岱西のいずれの下部珪鉱体でも各レベルにおける温度はあまり変化がなく,約300℃前後に集中し,温度条件はかなり一様であったものと推定されるが,試錐岩芯のデータは下部で温度が上昇する傾向があることを示している.塩濃度は2.5~5.5wt.%であり,下部において増加している.これらの流体包有物のデータから黒鉱鉱床の生成時の海の深さは1,000m以上であったものと推定される.
  • 石原 舜三, 佐々木 昭
    1978 年 28 巻 151 号 p. 361-367
    発行日: 1978/08/25
    公開日: 2009/12/14
    ジャーナル フリー
    黒鉱鉱床を含むグリーンタフ帯の鉱体の分布を北鹿地域を中心に,岩石と鉱体のイオウ同位体比と共に考察した.鉱床は中新世花崗岩類を中心とする累帯配列を示し,北鹿地域では貫入岩の近くに銅鉱脈が,周辺に黒鉱,マンガン,金の鉱床が分布する。グリーンタフ帯花崗岩類に含まれる岩石イオウはδ34S+6パーミル前後の値を示し,鉱石イオウは鉱脈,黒鉱鉱床共に,+4パーミル前後で若干低い.この岩石―鉱石イオウにみられる関係は白亜紀で成因的に関連性がよくわかっている岩石―鉱床ペアと同様なものである.
    グリーンタフ帯の鉱床に直接に関係する火成岩類は一般に鉱床近傍の火山岩類と思われているが,上記の大局的な空間的配列とイオウ同位体比にみられる対応性は,これら火山岩類が究極的には花崗岩類と共通の起源を有し,繰返すマグマ活動により生じた個々の現象であることを示している.花崗岩質マグマは深所から運ばれたから,上記は鉱床中のイオウも深所に由来することを意味する.黒鉱鉱床の金属硫化物鉱体のイオウの多くは,生の海水,母岩,その直下の基盤などの表層物質ではなく,より深所からもたらされた可能性が大きい.大規模硫化物鉱床地域は深所からの充分なイオウの供給があった地域である.
  • 1978 年 28 巻 151 号 p. 368-369
    発行日: 1978/08/25
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 28 巻 151 号 p. e1
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
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