DADC(デジタルアーキテクチャ・デザインセンター)は、さまざまなステークホルダーが参加して構築する複雑な社会システムの信頼性を高め、自律的なイノベーション創出を牽引するべく、行政の縦割りを廃して、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)傘下の組織として2020年5月に設立された。本講演では、「ガバナンス」の「イノベーション」はどうあるべきか、マルチステークホルダーアプローチとアジャイルガバナンスの二重サイクル、アジャイルガバナンスにおける企業と政府の役割についての方向性、デジタル庁から依頼を受けて取り組んでいる、自律移動ロボット(ドローン、自動運転車等)のアーキテクチャ設計の検討状況、これらを踏まえたシステム監査におけるアジャイルガバナンスについての今後の検討の方向性についてご紹介いただいた。
監査では、組織の構成員による行為の記録に基づいて行為が適切であったことを、第三者が客観的に保証する必要がある。このため,活動プロセスのリスクを識別するとともに、リスクが解消されていることを活動記録によって客観的に保証する方法が重要になる。本講演では、証跡に基づいて行為の適切性を保証する監査プロセスについて、これを構造化するアシュアランスケースやディペンダビリティケース等、監査に役立つエンジニアリング技術を明らかにする。また、活動プロセスのリスクを識別する機能共鳴分析法と不正のトライアングルとの関係についても紹介する。
今日デジタル技術の革新によってSociety5.0では、自社の取組に関する説明責任が重視されている。ステークホルダー(利害関係者)への説明責任を担保するために重要な役割を担うのが保証型システム監査であり、言明書を対象とした監査を行う。本講演では、保証型システム監査の本質について考察し、言明書の具体的構造と、言明書で記述された統制目標から監査意見形成にいたるプロセスについて紹介いただいた。
経済産業省の「新たなガバナンスモデル検討会」では、サイバー・フィジカル融合時代における新たなガバナンスモデルを提示することを目的として、2020年に「GOVERNANCE INNOVATION Society5.0の実現に向けた法とアーキテクチャのリ・デザイン」を、2021年に「GOVERNANC EINNOVATION Ver.2:アジャイル・ガバナンスのデザインと実装に向けて」を公表している。2022年8月に公表された「アジャイル・ガバナンスの概要と現状」報告書は、この2編のガバナンス・イノベーション報告書の「アジャイル・ガバナンス」の全体像とアジャイル・ガバナンスの実践プロセスを整理して示し、アジャイル・ガバナンスを実装するために必要な環境整備とインセンティブ設計について国内外の具体例も踏まえつつ示したものである。その内容につき、経済産業省商務情報政策局情報経済課ガバナンス戦略国際調整官 飯野 悠介氏より解説いただいた。
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