第10 回チャレンジ・ザ・オリンピックにおける1 kmタイムトライアルと250 mタイムトライアルのスタート動作を側方から撮影し(n = 60),スタート局面のパフォーマンスが異なる群間でスタート動作を比較した.1 kmタイムトライアルにおけるスタートから 10 m までの通過時間は,1 m 通過時間,195 m 通過時間との間に有意な正の相関がみられ,1 m通過時間は発走機のストッパーが開放された時点の大転子の水平速度と高い負の相関(r = - 0.897,P <0.001)がみられた.スタート動作の比較では,パフォーマンスの高い上位群のストッパー開放時の肘関節角度,肩関節角度は小さく,上肢の強い引きによってクランク中心上でペダルを踏み込む傾向がみられた.以上のことから,自転車競技のスタート動作においては,スタート前の準備局面で身体の水平速度を高めるとともに,クランク中心上でペダルを踏み込むことで踏力を高める技術が重要であることが明らかになった.
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