要旨:膝関節外反は,膝関節前十字靭帯損傷のリスクを高める肢位として知られている。また,着地動作 においては,下肢による衝撃緩衝能力が重要である.そこで本研究では,片脚着地動作時に生じる膝関節 外反運動と下肢の衝撃吸収能力の関連について明らかにすることを目的とした。対象は健常男子大学生 16 名とし,課題動作は 45cm 台からの片脚着地とした.着地時の床反力データより衝撃緩衝係数を算出し,下 肢の角度変化量との関連性について検討した。結果,衝撃緩衝係数と膝関節外反(rs = 0.54,p<0.01,95 % CI:0.30 〜 0.71),膝関節屈曲(rs = -0.62,p<0.01,95% CI:-0.77 〜 -0.41),骨盤前傾(rs = 0.32, p<0.05,95% CI:0.04 〜 0.55)との間にそれぞれ相関がみられた.さらに,膝関節外反と骨盤前傾(rs = 0.32,p<0.05,95% CI:0.04 〜 0.55),膝関節屈曲(rs = -0.30,p<0.05,95% CI:-0.55 〜 -0.04)との 間にそれぞれ相関がみられた。このことから,着地直前における大腿直筋の過剰な筋活動が下肢のスティフ ネスを高め,膝関節外反運動を引き起こしていた可能性が考えられた.そのため,衝撃吸収を意識した着地 動作を習得することで膝関節外反運動を予防できる可能性が示唆された
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