動荷重を考慮せる齒車の彊度計算法は従來種々の研究者に依て多数の方法が提唱されているが.筆者等の検討する處に依れば何れも理論的, 實験的根據に乏く, その結果にも相當の開きがあり, 何れに寄るべきが判断に苦しむ次第であったっ依て筆者等は理論的な根據より動荷重に對する式を導き, その中の定数を實験的に定め比較的簡單なる半實験式を作製した。本式に依り所内にて製作せる齒車の安全率を計算するに大體に於て著しき矛盾なき結果を得た。本號に於ては先づ之等各種強度計算法に關して詳細なる検討を加えると共に, 動荷重算定の際の重大なる因子の一であるピッチ誤差及び齒の剛さに就て詳述した。即ちピッチ誤差の意義を明確にし, 計測實例を基礎としピッチ誤差として如何なる数値を取るべきかを述べ, 次に齒の剛さに對しては従来の諸式にも二三の短所の存在すすることを記し, 種々の觀點より最も妥當にして簡便なる式を提唱する。而して之等を基礎とする動荷重の算定法に就ては以下順次號を追て詳論する豫定である。尚本計算法は當所の研究委員會で實用を旨として制定せるものであることを附記する。
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