ソフトウェア開発
エンジニア
たちは,
エンジニア
職の自律性が尊重された職場において, 燃え尽きにまでいたるほど自発的に労働に没入している. このような自発的・没入的労働は, 従来,
企業が設計した文化的規範をエンジニア
たちが内面化してそれに随順した, 規範的統制の結果として考えられてきた. 本稿は, 大手ソフトウェア開発
企業
X社を事例として取り上げ,
エンジニア
たちへのインタビュー調査をもとに, 現場の文化的規範である<コード>を抽出した.
エンジニア
たちの自発的・没入的労働の語りは, 一見, 内面化した<コード>に随順し続けた物語のように解釈可能であった.
しかしながら, 本稿は,
エンジニア
たちの語りを「人々の社会学」の視角から分析することで, 規範への随順に回収することのできない語りの意味を明らかにした.
エンジニア
たちは職場の文化的規範を一様に内面化し, 厳しい労働に没入しているのではない.
エンジニア
たちは, <コード>に象徴されるX社の現場に特有の常識的知識を解釈枠組みとして, 他者の語りの意味を不断に読み替え, またその裏で, <コード>を語ることで自己の関心をしたたかに追求し続けるという相互行為によって協働を達成し, 結果として, 燃え尽きにまでいたる厳しい労働に巻き込まれていくのである.
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