国内最大規模の産業廃棄物が岩手・青森県境に不法投棄された。その処理方法として, セメントの原料化や溶融処理が検討され, セメント原料化としての利用は, 既に実施されている。一方, 溶融処理に関しては, 一般廃棄物の実績はあるものの, 不法投棄物を対象とした例はほとんどない。
本研究では, 主として溶融処理を念頭に, 不法投棄物の性状を調べ, さらに実機を用いた焼却・溶融試験も行って, 不法投棄物を溶融処理するにあたっての留意点を整理した。
不法投棄廃棄物の性状は, 場所によって大きく異なっていたが, 総体的に, 主成分は珪素, アルミ, 鉄およびカルシウムで, 灰分が多く, 発熱量は比較した一般廃棄物の1/6程度に過ぎない。塩基度の低いものが多く, 溶融助剤を添加して溶流温度を低くする必要がある。
実機試験では, 焼却および溶融に伴う有害ガスの発生は認められなかった。また, 溶融スラグからの重金属等の溶出はなく, 安全性の観点からは, 骨材としての利用が可能と思われる。
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