私達は, 口腔連鎖球菌の中で
StrePtoceccus sanguis ATCC9811とATCC10557の菌体表面に, 赤血球凝集素 (レクチン様物質) が存在することを強く示唆する新知見を見いだし, 既に報告した。本実験では, O-型赤血球に対する凝集活性を指標として
S. sanguis ATCC 10557株より赤血球凝集素の単離, 精製を行なった。本菌株をTTY培地で, 37℃, 15時問, 好気的条件下で培養し, 遠心集菌後, 0.15M食塩を含むリン酸塩緩衝液 (PBS) で十分に洗滌を行ない, 少量のPBSに溶かした。そして, 凍結・融解法にて菌体を処理し, その遠心上清を, 20-80%の飽和硫安で分画した。さらに, 遠心により生じた沈渣を十分に透析し, 凍結乾燥した標品を, D-ガラクトースを結合させたBio-Gel P-2
アフィニティークロマトグラフィー
により精製を行なった。その結果, 凍結・融解法により分離した粗抽出標品に比べて, 赤血球凝集比活性で11倍に精製された。以上の結果より, (1) 本菌体表面には, 赤血球凝集素が存在し, (2) 凍結・融解法により分離され, (3) その精製には, D-ガラクトースを結合させたBio-Gel P-2
アフィニティークロマトグラフィー
が非常に有効であることが判明した。
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