音楽学習における問題解決活動について,先に筆者は「学習者があらかじめ決められた到達点に向かっていく問題解決」と「学習者が自ら到達点を定めていく問題解決」があり,特に後者が音楽科として注目すべき問題解決であることを明らかにした。本研究はその継続研究であり,特に後者のタイプの問題解決にみられる諸特徴,諸問題を検討したものである。まず,先行研究を参考にこの問題解決について検討し,「自ら到達点を定めていく」とは質を創造し構成することであり,すなわちそれは質の問題解決であることを明らかにした。また,その質を評価するために教師は表現目標という目標観を持つことが必要であった。次にこうした問題解決活動による授業実践を行い,そこにみられる児童の学習展開を分析した。さらに,先行研究での検討結果とあわせて,この児童の学習展開についての考察を行った。
抄録全体を表示