マントルに貯蔵されているCO2は,主に活動的火山を通じて大気へ放出される.このとき,マグマ中でのCO2輸送は,CO2フラクシング,すなわち,既存のマグマに外部(深部)からCO2に富む流体が供給され,系全体をCO2に富む組成に変化させる現象がによって行われていると考えられるが,その詳細なメカニズムは知られていない.そこで著者らはCO2フラクシングの基本概念を反応輸送過程としてモデル化し,その特徴を明らかにするとともに,このモデルをCO2フラクシングを記録していると考えられる天然のメルト包有物のデータ(
エトナ火山
)に適用することで,輸送メカニズムを定量的に明らかにした.その結果,CO2フラクシングの起こり方のひとつとして,圧力440MPaの深度からXCO2=99mol%の流体が∼32g/m2sの流量で注入され,揮発性成分を交換しながら速度>∼10-4m/sで上昇するという解を得た.
抄録全体を表示