二十鼠の周期黄体, 妊娠黄体, 産褥期の黄体が, 1. 類脂質を染めるビクトリア青とイリゾール紫BBN, 2. 類脂質と中性脂肪を染めるズダン黒B, 3. 中性脂肪を染めるズダンIIIで染められた.
1. 黄体細胞の胞形質はビクトリア青では発情後期から発情前期に至るまで次第に濃く染まるが, 発情期には染まり方が悪くなる. イリゾール
エヒト
紫BBNとズダン黒Bでの染りは発情後期に最もよく, 発情間期に最もわるいが, 発情前期には再びやゝよくなり, 次に発情期にはイリゾール
エヒト
紫BBNでの染まりはわるいけれども, ズダン黒Bではよいことが違う. ズダンIIIでは発情後期に最も染まりが悪くその後漸次よく染まる. これらの染料で染められる胞形質中の粒子は発情間期から発情期まで漸次大きくなり, その数は減少する.
2. 妊娠初期の黄体細胞のこれらの染料での染色性は性周期中の黄体の最も染まらない時期のものと殆んど同じである.
妊娠末期には黄体細胞のズダンIIIでの染まりが増すが, 他の染料での染まりは悪くなる. 産褥期にはどの染料での染まりもよくなる.
3. 黄体細胞中のビクトリア青, イリゾール
エヒト
紫BBN, ズダン黒Bで染まる粒子は妊娠の前期よりも後期に粗大であるが, 産褥期には小さく, 少なくなる. ズダンIIIで染まる粒子は妊娠中大きくなり, 産褥には尚大きくなるが, その数は減少する.
4. 性周期中の黄体細胞の胞体と核は発情間期に最も大きい. 妊娠中は妊娠末期に最も大きく, 産褥期には再び小さくなる.
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