都市内の良好な
オープンスペース
は生活の質を高める.高い生活の質は, 経済基盤・競争力の源泉としての知識労働者を誘引する (Pezzini, 2003, p.1) .したがって,
オープンスペース
は, 都市内の土地の浪費ではなく, 都市の競争力維持・向上に不可欠の要素である.これまで, 東京都特別区部をはじめとする日本の諸都市開発は, 良好な
オープンスペース
の形成に高い優先順位を与えてこなかった.それは,
オープンスペース
概念の理解と価値の分析的説明が十分でなく, 法制度がその重要性を明確に認識しない経緯でもある.一方で, 東京都特別区部では, 2000-05年に明確な人口の社会増が観察される.今後, 当該地が居住地としてふさわしい場所であるためには, 良好な
オープンスペース
の追加的形成が必要である.そこで, 本稿は, (1)
オープンスペース
を概念的に理解する枠組みを提示し, (2)
オープンスペース
の価値を整理し, (3)
オープンスペース
をめぐる日本の都市法制原則を踏まえた上で, 特に都市内大規模緑地に注目して, 東京都特別区部における緑地保全・創出の課題と可能性を考察する.
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