アパレル分野において色彩調和は非常に重要であり, 多くの調和理論がある. これらの理論の多くは色相の調和範囲を同一の調和, 類似の調和, 対比の調和として展開している.
本実験では, ムーン・スペンサーの調和論, オストワルトの調和論, PCCSの調和論を取り上げ, L*, a*, b*色空間にて調和範囲の比較検討を行った. その結果, 表色系の色相間隔の均等性は認められず, 調和範囲が不明確であることが確認された.
そこで本研究では, 色相角を均等に20分割した色票試料を作成し, 2色配色として色相の調和について視覚評価を行った. 試料は高彩度領域20色, 高明度領域20色の計40色を作成し, それらを上下に2色配色し, 計800試料をN6のグレーを背景で提示した. 実験参加者は女子大生200名であり調和の程度を6段階で回答させた. その結果, 高彩度も高明度も同一色相が最も調和し, 2色の色相角が大きくなるほど評価は下がり, いわゆる対比の調和領域は存在しなかった. また, 上下の配色の位置は暖色が上に, 寒色が下に配置した方が評価は高かった.
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