以上を總括すると,自生する森林樹木は針葉樹1科10種。濶葉樹11科29種となる。この内特に興味ある分布區域を明示するものは次の樹種である。即ち
(1). ホクシカラマツ…•恒山山脈から山西省西半牛に南下する管〓山脈より呂梁山脈の關常山で終る一方,他は恒山山脈より五臺山系に南下しこゝで終つて居る。(亞寒帶)
(2). ホクシトウヒ…•恒山山脈,管〓山脈,五臺山系の海抜2,000~2,700mに亘り群状に存在する。(亞寒帶)
(3).
シロマツ
…•連枝山脈北緯37°,大行山脈北緯37°40'大行山脈の一支脈綿山山脈北緯37°の各點を結ぶ線を北部分布限界とし,南部は連枝山脈を除き,大行山脈北緯35°60'を限界をしたる範圍内に群圏状又は點在する。この上下兩線は昭和17年春期C號作伐に發見したるを以て,ての線を白皮松のC號ラインと稱したい。(東亞温帶)
(4). コノテガシバ…•殆んど白皮松と一致するが,呂梁山脈の南端末まで上ることと南部が河南省まで連續するのが異なる。(東亞温帶)
(5). マンシウラカンバ…•恒山,管〓各山脈より呂梁山脈の零端まで延び,他は大行山脈の一支脈霍山山脈北緯36°80'に終て居る(亞寒帶より海抜1,800m以上の東亞温帶)。
(6). カシハ…•大行山脈の霍山山脈にその上部が表はれ,それに續いて中條山脈に亘る。連枝山脈には只1個所ありて,それはその山脈の中央東部羅雲山にあるのみである。(東亞温帶)
(7), クヌギ…•カシハの分布に類似するが,北部は前者より幾分下て居る。連杖山脈には見られず。
尚ての分布の生態墨的問題に就いては後日發表したいと思ふ。
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