詳細検索結果
以下の条件での結果を表示する: 検索条件を変更
クエリ検索: "ジェンダーチェック"
12件中 1-12の結果を表示しています
  • ―大学生と中学生のジェンダー意識の分析―
    *青木 幸子
    日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
    2010年 53 巻 A2-5
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/13
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
     男女平等は世界共通の課題である。今年度は、1979年の「女子差別撤廃条約」の採択から31年、85年の批准から25年とちょうど節目の年に当たり、しかも国連女子差別撤廃委員会への第6回報告書に対する最終見解の受理等と併せて、我が国の今後の取り組み課題について見直しを図っていく時期でもある。
     政府においても第3次男女共同参画基本計画の策定準備が進められており、「男女共同参画社会基本法」に謳われた21世紀社会の喫緊の課題としての男女共同参画の新たな方針を検討中である。
      固定化された男女の役割分担への意識や行動は、以前に比べると薄らいできたが、経済状況の悪化による環境整備は難しい局面を迎えており、男女平等への道のりは険しい状況にある。
     一方、平成生まれの子どもが大学生となり、彼らは小学校から高等学校まで男女共学で家庭科を学んできた。家庭科に男女別学の時代があったことを知り驚いている状況があり、それほどまでに男女平等は彼らにとっては「当たり前」のことである。
     1998年の教育職員免許法の改正により「総合演習」が大学の教職科目として新設された。爾来、「ジェンダーと教育」講座を開講してきたが、そのうち2年間をかけて『男女平等を考える教育カルタ』を製作した。
      昨年度の大会において、このカルタを家庭科の授業で活用し、女子中学生のジェンダー観の涵養に果たすカルタ教材の効果を分析した。その結果、カルタ教材を使用した授業は、生徒の性差意識に揺さぶりをかけ、自らのジェンダー観をリセットする契機としての効果が確認された。
     今回は、この「教育カルタ」を活用し、男女平等を当たり前と認識している教員を目指す大学生のジェンダー意識を分析し、「教育カルタ」の教材としての汎用性について検討することを目的とする。
    【方法】
    1.対象者;T大学「家庭科教育法_I_」履修者(大学2年)81名
    2.調査時期;平成21年12月~平成22年1月
    3.研究方法
    * 「家庭科教育法_I_」の授業中にカルタ大会を実施し、学生はワークシー トを作成する。
    * 授業後に
    ジェンダーチェック
    を行なう。
    * ワークシートの記述内容と
    ジェンダーチェック
    シートの得点から大学生の  ジェンダー意識の涵養に果たすカルタの効果を分析する。さらに、中学生  の結果との比較分析を行ないカルタ教材の汎用性について検討する。
    【結果と考察】
    1.気になったカルタは、44枚中33枚とカルタ全体の75%に及んだ。選ばれ たカルタは、中学生の結果に比べると分散傾向にあることが確認され た。
    2.授業のワークシートの分析から、大学生は、考える>意思表示>分かる  >気づく、の順で学びとっていることが確認された。これは、意思表示 > 気づく>分かる>考える、の順で学びとった中学生の学びとは明らか に異なり、学び手の発達段階や経験から多様な学びとりができることを  期待させる結果となった。
    3.
    ジェンダーチェック
    シートの分析から、固定的な性別役割分担の考え方   には反対する傾向が強いが、身体的・生理的特性に関する項目について   は、固定的な性差観にとらわれる傾向が強い。
    4.本カルタ教材について汎用性が期待できるが、より多くの学びを提供で  きる多角的な視点を持ったカルタの必要性が確認された。
  • ―高校生におけるジェンダー観の実態―
    佐々木 多津子, 日景 弥生
    日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
    2004年 47 巻
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/01
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】家庭科で高校生にジェンダーに気づく授業を実践するときに、高校生のジェンダー観を数値としてつかむことが必要であると考える。高校生のジェンダー観に関する調査はいくつかあるが、それらは高校生の意識を中心とした調査(例えば、「~だと思いますか。」)であり、行動を含む実態調査の報告はあまりない。そこで、ジェンダーに気づく授業を実践するにあたり、高校生のジェンダー観を把握することを目的とした。
    【方法 】(1)調査対象者及び方法
    2002年5月下旬~6月上旬に、青森県内の高等学校3校(合計384名;内訳は男子158名、女子226名)で実施した。質問紙法により各学校の家庭科の授業時間に実施したため回収率は100%だったが、データ分析の関係から回答中に「無回答」があった生徒は調査対象から外し、有効回答率は94.1%であった。(2)調査項目
    アンケート項目は(財)東京女性財団が作成した「
    ジェンダーチェック
    学校生活編」「
    ジェンダーチェック
    家族・家庭生活編」を参考にし「意識」・「行動」・「感情」に分けて各12項目作成した。(3)集計方法
    各項目においてジェンダーフリーまたはジェンダーセンシティブと回答した者の割合をジェンダーフリー度(以下フリー度とする)とし、それらの選択肢に対して1点の得点を与え、それ以外は0点とした。このようにして得られた合計点は高い方がジェンダーフリーを示すようにした。
    【結果および考察】(1)高校生のジェンダーフリー度
    検定の結果、学校間の有意差はみられなかった。男女別にみると、3校とも女子の方が男子よりも点数が高くフリーとなり、この結果は他の調査とも一致した。各カテゴリー(「意識」「行動」「感情」)におけるフリー度の平均から、「意識」(71.0%)>「行動」(38.0%)>「感情」(31.9%)の順となった。このことから、高校生は「意識」は全般に高いが、「行動」や「感情」ではあまり高くないことが明らかとなった。(2)高校生の実態調査
    各項目ごとの男女の有意差を検定により調べた結果、36項目のうち16項目で有意差がみられ、男女の有意差についても「意識」より「行動」「感情」で多くみられた。これらの結果より、女子は「男は仕事、女は家庭」という性別役割を多くの面で否定しつつも「仕事を持つ」という意識が低く、結婚したら仕事を辞め、養ってもらいたいと思っている実態も明らかとなった。(3)実態調査から考えるジェンダー学習
    以上のことから、ジェンダー学習に必要な授業について、次の2つのことが得られた。1つ目は高校生は「意識」ではフリーであることから自分に置き換え、フィードバックして気づくことのできる授業が必要である。2つ目は、内容として「働くことは両性に必要である」「生活的自立も両性に必要である」ことを実感できることが必要である。
  • —測定項目の作成を中心に—
    日景 弥生, 山田 桂子
    日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
    2002年 44 巻
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/04/02
    会議録・要旨集 フリー
    ‹目的›近年、学校教育でもジェンダーフリーあるいはジェンダーセンシティブな教育を行うことが重要である言われるようになった。そこで、中学生とその保護者を対象にジェンダーに対する意識(以下、ジェンダー観とする)を把握するために、その測定項目を作成することを目的とした。
    ‹方法›1. 測定項目;東京女性財団の
    ジェンダーチェック
    を参考に5つのカテゴリーごとに5項目を設定し、計25項目を作成した。調査項目はなるべく身近な内容の方が意識を把握できると考え、中学生向けと保護者向けのアンケート項目は若干異なる項目になった。2. 調査時期と対象;2000年5∼6月に中学生426名、保護者808名を対象に調査を行い、中学生353名、保護者483名の有効回答が得られた。
    ‹結果および考察›1. ジェンダー観測定項目;第2報との関連から、25項目全てに回答したアンケートを有効回答として集計した結果、中学生は32∼59点に、保護者は26∼58点の間に分布した。これらのうち、点数の低い者(フリー群)と高い者(バイアス群)をそれぞれ20%抽出し、リッカートの簡略法により測定項目を決定した。その結果、中学生23項目、保護者24項目がえられ、これらをジェンダー観測定項目とした。2. 中学生とその保護者のジェンダー観;アンケートの結果から、保護者の方が中学生より、また、両者とも女性の方がジェンダーフリー傾向にあることがわかった。
  • *青木 幸子, 崇田 友江
    日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
    2009年 52 巻 A1-7
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/19
    会議録・要旨集 フリー
    <目的>
    男女平等は世界共通の課題である。我が国では「女子差別撤廃条約」の批准後、その内容の実現を図るべく教育改革を始め「育児・介護休業法」や「男女共同参画社会基本法」の制定など、社会の各分野で平等促進のための積極的な施策が展開されている。
    各種調査・統計によれば、固定化された男女の役割分担が見直され、性別役割分業意識は以前に比べ薄らいでいる。しかし、条約や基本法に謳われた社会への道のりは決して平坦ではない。
    一方、教員養成においては、1998年の教育職員免許法の改正により教職科目に「総合演習」が新設された。爾来、「ジェンダーと教育」講座を開講し、教員を目指す学生のジェンダー観の形成に資する取り組みを進めている。学校における男女平等教育の取り組みは、人権教育の一環として行われることが多く、家庭科の学習はもちろん広く学校教育における男女平等教育の一層の拡充を目指し、『男女平等を考える教育カルタ』を「総合演習」の受講者と共に製作した。
    本報では、この教育カルタを家庭科授業に活用し、中学生のジェンダー観の涵養に果たす可能性について分析することを目的とした。
    <方法>
    中学校家庭科の授業内容の理解を図るための教材としてカルタを活用するとともに、その授業前後に生徒の
    ジェンダーチェック
    を行う。また、授業中にーワークシートを作成する。授業前後のチェックシートの数値と授業中のワークシートの内容を分析・比較することにより、ジェンダー観の涵養に及ぼすカルタの影響を分析する。
    対象者はT附属女子中学校3年生3クラス83名、調査時期は2009年2月6日~27日である。
    <結果>
    研究対象の授業題材は「わたしたちと家族・地域」であり、「家庭生活にみるさまざまな問題」をテーマに「家族・家庭とは」「家族の始まり、結婚」「家庭生活を取り巻く法」「家事労働と役割分担意識」「労働について」「高齢社会について」「ライフサイクルのまとめ」から構成されている。その最後の授業にカルタを活用した。
    その結果、次のような特徴が明らかになった。
    1.授業前後の
    ジェンダーチェック
    シート(41項目)による分析から、ジェンダー意識の高揚はクラスにより差がみられ、しかもこの変動はクラスの特徴と符号する。
    2.3クラスに共通の特徴として、チェックシートが1点台の高い項目は、知的能力、創造性、育児能力、おしゃれへの配慮にみられる。また、ジェンダー意識が高揚した項目は、論理的思考力、持久走、職業選択、子育てである。一方、ジェンダー意識が低下した項目は、創造性、臆病さ、たくましさの魅力、生理的特徴による精神的不安定である。数値が3点台をマークした項目からは特性論に基づく根強いジェンダー意識が伺える。
    3.カルタを教材として展開した授業のワークシートからは、男女平等について驚きをもって新たな気づきを実感したり、理不尽な現実に憤り、平等を実現していくための課題や疑問を挙げたり、自分の考えを再確認したり、平等に向けた取り組みの必要性や願望を記したりとさまざまな視点からの学びを確認することができた。
    4.カルタは親しみやすく、学習内容を身近なものにするとともに、既習内容の確認と課題の把握に役立つと同時に、仲間との学び合いを再評価することができた。
    5.チェックシートの数値の変化とワークシートの内容から、ジェンダー意識の高揚に果たすカルタの可能性を確認することができた。
  • 吉野 真弓, 深谷 和子
    日本家庭科教育学会誌
    2001年 44 巻 3 号 242-252
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル オープンアクセス
    The purpose of this study is to clarify the role of male teachers of home economics in the formation of students'gender consciousness. We distributed a questionnaire to a sample survey of 1216 high school students. The results were as follows : 1) Male students who were taught by male teachers liked the subject of home economics. 2) Students who had had experience of male home economics teachers had a lower gender bias in home economics education. 3) Students who were taught by male teachers had greater expectations of becoming a home economics teacher as a future career option.
  • - 測定項目の作成と父親・母親と中学生の意識の関連 -
    *日景 弥生
    一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
    2004年 56 巻 2-3-19
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/04/02
    会議録・要旨集 フリー
    <目的>中学生とその保護者を対象にジェンダーに対する意識(以下、ジェンダー観とする)を把握するために、その測定項目を作成し、中学生とその保護者のジェンダー観を比較し、両者の意識の関連を検討した。<方法>1.測定項目;東京女性財団の
    ジェンダーチェック
    を参考に5つのカテゴリーごとに4_から_5項目を設定し、計24項目を作成した。2.調査時期と対象;2000年5_から_6月に中学生426名、保護者808名を対象に調査を行い、中学生353名、保護者483名の有効回答が得られた。3.ジェンダー観の比較;中学生とその保護者間のそれぞれのアンケート項目で近似した項目を比較した。さらに、中学生と保護者を男女に分け、それぞれ得点の高い者(以下バイアス群)と低い者(以下フリー群)から順に約20%を抽出し、各群を分析した。<結果および考察>1.ジェンダー観測定項目;中学生は32_から_59点に、保護者は26_から_58点の間に分布した。これらのうち、点数の低い者(フリー群)と高い者(バイアス群)をそれぞれ20%抽出し、リッカートの簡略法により測定項目を決定した。その結果、中学生22項目、保護者23項目が得られ、これらをジェンダー観測定項目とした。2.中学生とその保護者のジェンダー観;アンケートの結果から、保護者の方が中学生より、また、両者とも女性の方がジェンダーフリー傾向にあることがわかった。3.両者のジェンダー観の関連;両親がフリー群の場合は中学生もフリー群が、両親がバイアス群の場合は中学生もバイアス群が多くなった。これより、父親と母親のジェンダー観が似ている場合、その子どもである中学生も両親と同じ傾向となることが示唆された。
  • 青木 幸子, 崇田 友江
    日本家庭科教育学会誌
    2012年 54 巻 4 号 258-266
    発行日: 2012/02/01
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル オープンアクセス
    学校教育においてジェンダー観を涵養する一助となる教材の開発を目的に,「総合演習」受講者により『男女平等を考える教育カルタ』は制作された。その『教育カルタ』の教材としての可能性について検討するために,女子中学校でカルタを活用した授業を行なった。その結果,次のような一定の効果が確認された。(1)性差意識を問う
    ジェンダーチェック
    については,授業前・後で比較すると,41項目中18項目で性差意識の向上が見られた。その内容は,身体的・生理的特性よりも個人としての能力や職業選択の平等性,家事や子育ての共同化,男女の行動特性の見直しを求める項目など多岐にわたる。一方,ジェンダー意識が低下した23項目には,身体的・生理的特性を重視し,そこを基点として能力や性格特性,役割分担を固定的に受容しようとする項目が目立つ。総じて,「男は仕事,女は家庭」の考え方には反対する傾向が強いが,身体的・生理的特性に関する項目には固定的なジェンダー意識の継承が見られた。(2)このような意識変化をもたらした一つの契機として,『教育カルタ』の果たした役割をコラムや授業後の感想から分析した。その結果,カルタは,授業内容の復習を兼ね,クラスメートと意見を交換し合うことで生徒のジェンダー意識に揺さぶりをかけた。それは,個々人の意識の振り返りや気づきを促し,疑問を誘発するなど,自らのジェンダー観をリセットする契機となったことが確認された。(3)具体的にカルタ教材からは,意思表示>気づく>分かる>考える,の順に,授業全体を通しては,気づく>意思表示>考える>分かる,の順に,生徒の学習効果が大きかったことが明らかになった。意思表示の割合が高いことは,すでに授業で一定の知識を習得していることが関係していると思われる。しかし,今後の学習への取り組みや差別のない社会への期待感,自らの行動指針などを記した生徒も多く,『教育カルタ』はジェンダー観の涵養に一定の効果を果たしていると考えることができる。生徒は,既得のジェンダー観との相克を経て授業後のジェンダー観を獲得したのであり,それは上述のような学習活動を経て獲得されたものである。このように題材を自分に引き寄せ,主体的な学びを創る中で気づきや思考・判断,意思表示を伴う学習活動を重視した授業構成を工夫するとともに,カルタの教育効果を高めることができるよう改善を重ねていきたい。
  • 山田 桂子, 日景 弥生
    日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
    2004年 47 巻
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/01
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】高等学校家庭科は1989年改訂の学習指導要領で男女必修が実現し、現行指導要領でも「男女共同参画社会の推進」が明記され、すでに男女平等教育は達成されたという見方もある。しかし、実際の学校生活の中ではまだ性にしばられた言動がみられる。本研究では、事前調査としてジェンダー学習前後の小・中・高校生の意識変化を調査した。その結果から、最も変化がみられなかった高校生を対象に複数回のジェンダー学習を行い、事前調査で1回のジェンダー学習を実施した高校生の結果とを比較し、複数回の授業効果を明らかにすることを目的とした。
    【方法】1.対象;事前調査のA高校生33名(男子16名、女子17名)発表者が勤務していたB高校生8名(男子5名、女子3名)。2.調査時期;ジェンダー学習はA高校では2001年11月、B高校では2002年7月に行い、意識調査は学習の直前と学習1詞繧sった。3.調査項目;A高校生は(財)東京女性財団作成のジェンダー・チェックをもとに作成した20項目の意識調査と学習後の感想文を分析した。B高校生はA高校生と同じ意識調査と、学習中に生徒が記入した学習プリントと学習後のインタビューを分析した。4.ジェンダー学習の内容;結婚などの学習を通してジェンダーに気づかせることを目的とした。
    【結果および考察】1.ジェンダーへの気づき;授業を1回実施したA高校では、「気づき」があった生徒は17人(52.7%)、「気づき」がみられなかった生徒は13人(39.3%)、「その他」(不明)3人(9%)だった。また、「気づき」のあった生徒はフリー化した割合が高い(58.8%)が、「気づき」がみられなかった生徒はバイアス化した割合が高く(69.2%)なった。一方、B高校では、「気づき」があった生徒は6人(75%)、「気づき」がみられなかった生徒は1人(12.5%)、「その他」(不明)1人(12.5%)だった。B高校でもA高校と同様となったことから、「ジェンダーに気づく」ことはジェンダー観がフリーになることに関連することが示唆された。2.複数回のジェンダー学習と1回のジェンダー学習との比較;学習中や学習後の手応えからジェンダーに気づくためにはいくつかのステップ、つまり「知識の獲得」「気づきの有無」「意識の変化」「行動への意欲」であり、それらを経て「ジェンダー観」が形成されると考えた。また、「気づき」は「自分」の生活への振り返りが見られる気づきと「一般」的な事象に対する気づきの2つに分類した。その仮説に基づいて2つの高校生が記述した感想文等を分類した。A高校では、授業後に「知識の獲得」が観察されたのは33人中22人であった。「気づき」が観察された生徒は17人で、そのすべてが「一般的」事象に気づいていたが、「自分」の生活を振り返る「気づき」があったのは3人であった。また、「意識の変化」が観察されたのは8人で、全員に「気づき」が観察された。しかし、「行動への意欲」は1人しか確認できなかった。これより、1回の学習ではジェンダー観をフリーにすることは難しいことが伺えた。一方、B高校では授業後に「知識の獲得」が見られた者は6人で、全員に「一般的」な事象への「気づき」があり、このうち3人は「自分」の生活を振り返る「気づき」が観察された。「意識の変化」がみられた2人は、この「自分」への気づきが観察された生徒であった。しかし「行動への意欲」についての記述は見られなかった。
    ジェンダーチェック
    からジェンダー観がフリー方向に動いた者は3人、変わらなかった者は1人、バイアス方向に動いた者は4人であったが、いずれの変化も小さくジェンダー観の変化を判断するのは難しかった。そこで、B高校生一人一人にインタビューを行い意識の変化を詳細に分析した。その結果、<意識の変化>や<行動への意欲>を詳細に把握することができ、7人(87.5%)の生徒がフリー化したことがわかった。これより、ジェンダーに気づくためには複数回の授業実施が効果的であることがわかった。
  • *日景 弥生
    日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
    2005年 48 巻 p-9
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/01/13
    会議録・要旨集 フリー
    1 はじめに
     男女共同参画社会実現のためには、教育現場における隠れたカリキュラムを見直していく必要があることが指摘されている。そこで、隠れたカリキュラムの代表的なものと考えられている名簿に注目し、男女混合名簿実施校と未実施校における児童と保護者のジェンダー観を調査した。
    2 研究方法
    (1)調査対象および調査時期
     対象者は、青森県内の小学校児童727名、その保護者380名とした。このうち、混合名簿実施校(以下、実施校)では児童358名、保護者81名、混合名簿未実施校(以下、未実施校)では児童369名、保護者299名であった。調査は、各学校にアンケート用紙を配布し、2004年6月から10月に実施した。
    (2)調査項目
     調査項目は、東京女性財団の
    ジェンダーチェック
    を参考に当研究室が作成し、児童用21項目、保護者用20項目を使用した。
    (3)回答方法
     児童に対する回答方法は「はい」「?」「いいえ」、保護者は「あてはまる」「どちらともいえない」「あてはまらない」の三段階でみることにした。さらに、各項目についてジェンダーフリーの意識や実態を示す回答に3点、「どちらともいえない」回答に2点、ジェンダーバイアスの回答に1点の点数を与え、合計点を算出した。
    3 結果および考察
    (1)実施校および未実施校における児童のジェンダー観
    1)合計点からみた児童のジェンダー観
     実施校では、45.3点を平均とし、30点から61点の間に分布した。未実施校では、44.5点を平均とし、29点から59点の間に分布した。これより、両者には有意差(p<0.001)がみられ実施校の児童の方がフリーであった。
    2)アンケート項目ごとにみた児童のジェンダー観
     アンケートの各項目を両校で比較したところ、21項目中6項目で有意差がみられた。そのうち、2項目は実施校の方が、4項目は未実施校の方がフリーとなった。
     実施校がフリーであった項目「女の子が野球部に入ることはよい」では、実施校の児童は、性別にかかわらず好きなことをしてよいという機会が与えられるために、そのように考えている児童が多いのに対して、未実施校は性役割にとらわれて行動を制限する傾向にある児童が多いことが推測された。一方、未実施校がフリーであった項目「女の子よりも男の子のほうがえらい」では、未実施校では学校生活において男女の優劣や上下関係を重視することが多く、それにより、性別で優劣をつけられることに違和感を覚え、フリーの考えをもつ児童が増えたのではないかと推測された。
    (2)実施校および未実施校における保護者のジェンダー観
    1)合計点からみた保護者のジェンダー観
     実施校では、41.9点を平均とし、33点から53点の間に分布した。未実施校では、46.0点を平均とし、29点から58点の間に分布した。これより、両者の間には有意差(p<0.001)がみられ未実施校の保護者の方がフリーであった。
    2)アンケート項目ごとにみた保護者のジェンダー観
     アンケートの各項目を両校で比較したところ、20項目中5項目で有意差がみられた。そのうち、4項目は実施校の方が、1項目は未実施校の方がフリーとなった。
     有意差のみられた項目のうち、実施校の方がフリーであった項目「学年主任や進路指導部などは、男性の先生が担当した方がよい」では、実施校の保護者の約6割は男女の優劣や上下関係を否定しているが、未実施校の保護者は肯定しない者が約46%と多くみられた。一方、未実施校がフリーであった項目「児童のやりたいことに対し教師が『女子(男子)ではなく男子(女子)のほうがいい』と言っても仕方ない」では、未実施校の保護者の方が性別によって指導を変えるのはおかしいと考える割合が高いことがわかった。合計点による全アンケート項目の比較では、未実施校の保護者は実施校の保護者よりフリーであったことから、学校生活の中にあるジェンダーバイアスを直接的、または間接的に感じる機会が多いことにより、それらに対して疑問を感じ反発した結果であると推測された。
  • 田結庄 順子
    日本ジェンダー研究
    1999年 1999 巻 2 号 73-85
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/03/17
    ジャーナル フリー
    The purpose of this paper is to discuss the current state of the gender problem from the viewpoint of pedagogy of teaching subject and to think over a possible concrete stepfor a solution to the problem. The significance of taking up the gender problem in the school education is to bring upmental faculties among pupils to allow critical assessment of the gender phenomena reproduced in schools, in other words the potency rightfully facing tha actuality surrounding the pupils' selves. The number of reports on the examples of educational embodiments in this context are increasing, but still we can point out several problems as follows.
    1. In this country, the participation in the gender problem seen in the school educationis limited to the institutes and the teaching staff in the advanced regions. The genderproblem has not been yet an issue to the whole country. In the improved new curriculumsto be enforced in 2002, too, the introduction effort of the gender perspectivein terms of the principle for curriculum frame works does not rest on a firm base.
    2. In school, the gender problem tends to be conducted under a cosy motto or a neatslogan, resulting in moralistic and mere goodness oriented approaches. Consenquently, the drift of general situation is to ward the production of pupils liable to overlook thegender harassment on the part teachers displayed as “like a man” or “like a woman”content which are presented routinely under the pretext of a “hidden curriculum.”ecured.
    3. It was made clear that the pupils' “learning” of the gender-bias has not been secured satisfactorily. The situation is attributable to the fact that teachers are not fullyconscious of the “customer satisfaction” or “accountability” of the present age in theirconduct to ward pupils and parents.
    4. In Ontario, Canada, the educational guidelines based the gender prespective satisfyingthe equality between men and women, together with the provisions for theassociated environment for teachers, have been existent since 1970's. In Norway, gender-equal textbooks based on the “Equality of the Sexes Law”have been adapted toimplement systematic gender-free education.
    From the backgrounds mentioned above, the following can be pointed out as the problems which now confront us.
    In the first place, “Guideline for the textbooks seeking after the equality between menand women in school education” must made. This will enable teachers to fulfill gender-freeeducation as a matter of course with steadfast self-awarenss.
    At the same time, this will initiate the children of the next generation in the concreteimage of the equality between both sexes. Furthermore, it will advance harmonious relationsbetween school knowledge and commonsense in daily life.
  • 江原 由美子
    年報社会学論集
    2007年 2007 巻 20 号 13-24
    発行日: 2007/07/31
    公開日: 2010/04/21
    ジャーナル フリー
    The subject of this paper is to consider the influence of Gender Free Bashing (GFB) on present-day Japanese society. GFB means that there are certain political groups which oppose a gender-equal policy in Japan. Those who advocate GFB think that people who use words such as ‘gender’ or ‘gender-free’ are extremists who deny the existence of natural sex difference and family. Past researches has shown that GFB had influenced many young men who had supported nationalistic view. In this paper, I try to show the influence of GFB from the viewpoint of various people in connection with GFB. And I also try to show that the main aim of GFB is to achieve a invisible change in gender-equal policy through a supply of voluntary alignment of a member of administrative occupation.
  • 神田 直子, 河合 麻紀
    心理科学
    2008年 29 巻 1 号 32-44
    発行日: 2008/09/20
    公開日: 2017/09/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to investigate the expressed consciousness and the hidden curriculum regarding gender bias through the teacher-allocation of individual symbol pictures to preschool boys and girls. We analyzed questionnaires about allocation of individual symbol pictures of preschool female teachers (N=98). The conclusions are as follows: 1) There was gender bias among allocation. Boys' individual symbol pictures were masculine, the most popular three were elephant, car and bear. Girls' individual symbol pictures were feminine, those were rabbit, strawberry and tulip. 2) Teachers expressed considerably genderfree consciousness, but there were also individual differences. 3) There were no differences between genderfree teachers and gender biased teachers regarding allocation of individual symbol pictures.
feedback
Top