メディア環境の変化が、人々のニュースや情報の利用方法にどのような影響を与えているかを探る国際比較調査『ロイター・デジタルニュースリポート』の2024年の調査結果から、ソーシャルメディアの動向を中心に紹介する。
まずメディア環境を概観すると、日本は、既存メディア、デジタルメディアにかかわらず、ニュースを得るためにどの媒体も利用しないと答えた人が16%にのぼり、前年同様に調査対象国で最も高い水準となった。その理由を問うと、ニュースは「自然に目に入る」と考える人が41%と、世界平均を大きく上回り、みずから能動的に情報を探しに行こうと考える人が他国よりも少ないことがうかがえた。ニュースを活用する人を見ても、ソーシャルメディアを通じて情報を共有したり、意見を交わしたりする人は、世界に比べて低い水準になっている。
世界では、ソーシャルメディアの新しいサービスが次々と誕生し、勢力図に変化がうかがえるが、日本では、平均値としてはYouTube、X、LINEが存在感を保っている。ただ18~24歳の若年層の間では、TikTokなど新興サービスの広がりがうかがえる。また、日本ではソーシャルメディアで注目する情報源として、インフルエンサーや芸能人などの「有名人」と「一般人」と答える人が多く、「主要な報道機関など」と答える人は世界と比べて少ない傾向にある。世界ではインフルエンサーなどが注目を集めるにつれ動画でニュースを見る人が増えているが、日本では広がりは限定的で、例えばショート動画を毎週見る人はイギリスと並び世界で最も低い。
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