はじめに
重症心身障害児(者)病棟の患者は、一日の大半を病棟内で過ごすことが多い。看護師は散歩や緊張緩和のマッサージ、絵本の読み聞かせなどを実施している。しかし、感情表現の可能な患者は泣いたり叫んだりときには痛みを問うと腰痛や頸部の痛みを訴えることがある。この状態はストレス発散やリラックスができない状態なのではないかと思われた。そこで肌に優しく触れる
タクティー
ル・ケアを行うことにより、リラクゼーション効果が期待できるのではないかと考えた。実施した結果、呼吸数や脈拍数の減少、一時的な筋緊張の緩和が見られたため、報告する。
目的
タクティー
ル・ケアを患者の手に行い、主観的・客観的指標によりリラクゼーション効果をもたらすか検証する。
方法
1.研究期間 2015年10月〜2016年3月
2.対象 同意が得られた患者40名
3.方法 1)1人の患者に対し14日間、手の
タクティー
ル・ケアを片手10分ずつ実施。2)実施前後の脈拍数・呼吸数・血圧・フェイススケールを測定し、平均を比較する。また、MASスケール(10/40名)・評定尺度法(5/40名)も用いる。
結果
実施前後の値を比較し、呼吸数60%、脈拍58%、血圧(収縮期)60%、血圧(拡張期)70%低下した。フェイススケールは50%の人に快の表情がみられた。MASスケールは10名中4名の患者は筋緊張が1段階低下した。また、評定尺度法では「また明日もやってほしい」との返答があった。
考察
ケア実施中は呼吸数、脈拍数、血圧は減少し表情の変化が見られたことから、リラクゼーション効果があったと考えられる。感情を言葉や文字で表すことが困難な患者でも筋緊張の評価と評定尺度法を合わせて用いることで
タクティー
ル・ケアは重症心身障害児(者)にも有効であったと確認できた。
結論
重症心身障害児(者)にも
タクティー
ル・ケアはリラクゼーション効果があった。
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