チタン
の骨に対する高い親和性の理由の一つとして, 疑似体液中に浸漬した場合に, 選択的にリン酸カルシウムの薄膜を生成する能力があることがあげられる.この能力は
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板表面の化学構造により影響される.本研究の目的は, 表面にTiO
2, TiO
2Ti
2Oと傾斜機能的に変化する厚い酸化
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層を有する, ワイヤ放電加工処理
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板のリン酸カルシウム薄膜の析出能を検討することである.ワイヤ放電加工処理
チタン
板と, コントロールとしての研磨
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板を, 37℃の電解液 (無機成分のみのハンクス溶液) に30日間浸漬し,
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板表面に析出するリン酸カルシウム薄膜の分析を行った.XPS分析およびFTIR分析からいずれの
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板表面においても, アパタイト様のリン酸カルシウム薄膜の存在が認められた.表面観察から両方の
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板表面には, 半透明の薄膜が形成され, ワイヤ放電加工処理
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板では, より厚い粒塊構造物が観察された断面の観察から, ワイヤ放電加工処理
チタン
板表面には, 研磨
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板よりも厚いμmオーダの薄膜が形成されたことが確認された. 以上より, ワイヤ放電加工処理
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板では, 電解液中でのリン酸カルシウム薄膜の生成能が向上し, 骨に対する高い親和性を有していることが判明した.
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