国語科教諭は,単元「情報と表現」においてメディア・リテラシーを育成するための新しい教材や授業方法を探していた.また同時に,学校図書館司書教諭はPOPが情報リテラシーの育成のための教材として効果的なメディアだと感じていた.そこで両者は協働でPOPを教材とし批判的な見方やメディア作成のための発想法の授業を計画した.本研究の目的は,POP作成の協働授業を提示し,どのような効果が生じたかを検証することにある.その結果,POPを教材にした協働授業は,メディアが発信する情報を批判的に読み取るメディア・リテラシー教育や,情報リテラシーの一部である発想法の育成だけではなく,生徒の読書やPISA型読解力の育成,POP作品の有効活用,協働授業の有効性の提示など,多くの効果をもたらしたことが明らかになった.これらの効果は,授業内容が単に図書館で調べさせるだけの授業ではなく,学校図書館をメディアセンターとして有効活用した授業であることに起因していた.
抄録全体を表示