1.鹿児島県下に自生する未利用のマメ類4種,ハマナタマメ,
ハマエンドウ
,ヤハズエソドウ,フジの各種子から,希薄な重亜硫酸ナトリウム溶液および水酸化ナトリウム溶液を用いて澱粉を単離精製した.収率はそれぞれの乾燥状態のマメ種子に対して,約21%,20%,300,12%であった. 2.これらの澱粉につき,水分,蛋白質およびリンの分析,顕微鏡観察,粒径分布,X線回折,ヨウ素呈色,生澱粉のグルコアミラーゼによる消化,膨潤力,溶解度,アミログラフィー等の諸項目につき測定し,それぞれの澱粉の特性を考察した. 3.マメ類澱粉に特有な粒の形状や,アミロース含量が比較的高く糊化温度も高いなどの共通点がみられた.またハマナタマメ澱粉は大形で,アミログラムの立ち上がりが鋭いことなどから,澱粉粒がかなり均質なものであることが示唆された.
ハマエンドウ
とヤハズエソドウの澱粉は文献上のリョクトウ澱粉にやや似た性質であると思われるが,ヤハズエンドウ澱粉はアミログラム上ではほとんど粘度を示さなかった.またフジ澱粉は,マメ類澱粉としてはきわめて小粒(平均4.9μm)で,ヨウ素呈色スペクトルや溶解度その他の点で他の3種とはかなり性質が違うことがわかった.
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