日本, ドイツおよびフランス産高級ワイン (白・赤) の有機酸と各種成分および品質との関係を調べた。
1. ワインの成分含量は, 各タイプ間に明らかな差異が認められた。各種成分のタイプ別平均値は, 総酸が多い程, 灰分, 還元糖, タンニンおよび総窒素が多くなり, アルコールは少なくなる傾向であった。
2. ドイツワインのKabinett, Spatlese, Auslese, Beeremaus1ese, Tmckenbeeremauslese, Eisweimの総酸は, 灰分, 還元糖およびタンニンとの間に正の相関関係が認められたが, 総窒素およびアルコールとの問には, 相関関係は認められなかった。残糖分の多いドイツワインの場合, RSITA比と利酒評価との間に高い相関関係がみられた。
3. シャブリワインの還元糖はきわめて少ないが, 総酸が多く, RS/TA比は, 日本およびドイツワインより低かった。シャブリワインは, 酵母の自己消化香が強く認められ, MLFが示唆される。
4. 日本ワインは, ドイツワインとくらべて, 総酸の・ほか, 還元糖, 灰分, 総窒素が少なく, アルコールおよびタンニンは多かった。日本ワインとドイツワインのKabinettの酸・甘味は, 嘱酒上ほぼ同様な呈味であったが, 両者のRS/TA比もきわめて類似していることが認められた。
5. フランス赤ワインは, 総酸と還元糖が少ない反面, 多量のタンニン物質によって風味の調和がなされているものと考えられる。
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