鐘紡株式会社薬品研究所で創製され, 同社と鳥居薬品株式会社で開発された経口用Ampicillin (ABPC) の
プロドラッグ
であるLenampicillin (KBT-1585, LAPC) を呼吸器感染症13例に投与し, その臨床効果と副作用などについて検討した。
対象症例は男性5例, 女性8例, 年齢分布は18歳より72歳 (平均年齢58歳) に及び, 疾患の内訳は急性気管支炎9例, 肺炎2例, 急性咽頭炎1例, 気管支拡張症に感染を伴った1例の計13症例である。本剤の投与方法は1日1,000 mg分4経口投与9例, 1日750mg分3経口投与4例で, 投与日数は4日より12日 (平均投与日数6.8日), 総投与量は3.0gより11g (平均投与量6.3g) であった。
臨床効果は有効11例, やや有効1例, 無効1例で有効率は84.6%である。疾患別では急性気管支炎9例中, 有効8例, やや有効1例, 肺炎2例, 急性咽頭炎1例はすべて有効, 気管支拡張症に感染を合併した1例は無効であった。細菌学的効果は13例中8例に喀痰培養を試みたが, 7例が正常細菌叢のみで, 1例に
H. influenzaeが分離された。
副作用については本剤投与による発疹, 発熱, 嘔気, 嘔吐, 下痢などの臨床症状はなく, また調べえた臨床検査値でも本剤によるとおもわれる異常値は認められなかった。
このような臨床成績から, 本剤は呼吸器感染症に有用な抗生剤と考えられた。
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