読書はリテラシーにつながるものとして重要な活動と言われている.本研究では,絵本から文字のみの本の読書へと移行していく時期にデジタル絵本が有効であると考え,「絵本の持つ効果」と「文字送り」に着目した小学校低学年向けのデジタル絵本を開発した.小学2年生を対象に,文字だけの本,紙にイラストと文字の書いた本,開発したデジタル絵本を読むグループに分けて比較実験を行った.その結果,理解度テストについては,デジタル絵本の読者の正答率が高かった.特に服の種類に関する問題に関する正答率に差があった.アンケートでは,デジタル絵本が面白かったとほぼ全員が回答しており,もう一度読みたいとの回答が他のグループに比べて高かった.以上から,適切な動きを伴ったイラストが提示され,文字送りをしながら読みすすめるデジタル絵本が,長文でも負担を感じず理解し,面白く読めることにつながるものと考える.
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