茎切片 (約4mm) の体内生長調節物質の関与をできうる限り少なくし, 体外的に与えられたIAA, カイネチンおよびそれらの組み合せが茎切片の不定根, 不定芽およびカルスの形成にいかなる影響を及ぼすかを形態的に調べた.
1. IAAおよびカイネチン単用の場合.
マツバギク
については, IAA単用の場合明条件で不定根の形成と不定芽の形成は促進され, 暗条件で不定根の形成は抑制され不定芽の形成は促進された. カイネチン単用の場合明条件で不定根の形成と不定芽の形成は抑制され, 暗条件で不定根の形成は抑制され不定芽の形成は促進された. マツバボタンについては, IAA単用の場合不定根の形成と不定芽の形成に対する影響は認められなかつた.
2. IAAとカイネチンを組み合せた場合.
マツバギク
については, IAA単用およびカイネチン単用の場合よりも不定根の形成, 不定芽の形成およびカルスの形成は促進された. 特に不定根の形成は明条件でIAA 10ppmとカイネチン0.01-0.1ppmの組み合せの場合に促進され, 不定芽の形成は明条件でIAA 10ppmとカイネチン1ppmの組み合せの場合に促進された. マツバボタンについては, 不定根の形成は暗条件でIAA 10ppmとカイネチン1ppmの組み合せの場合に促進された.
3.
マツバギク
の髄における不定根の形成は, 明条件でIAA 10ppmとカイネチン0.1ppmの組み合せの場合に促進された.
マツバギク
の皮層部における不定芽の形成は, 明条件でIAA 1ppmとカイネチン1-5ppmの組み合せの場合に促進された.
4. 培地に添加されたカゼイン加水分解物や酵母抽出物は, 本実験の範囲では, 不定根および不定芽の形成に影響を与えなかつた.
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