ツマグロヨコバイ5系統 (小田原, 甲賀, 南国, 香我美, 芸西) のマラチオンに対するLC
50値は, それぞれ21.1, 311, 1,760, 2,740, 2,140ppmであった. 寒天ゲル電気泳動法によりツマグロヨコバイのエステラーゼを分離したところ, 8本の泳動帯が検出され, 感受性系統に比べマラチオンに対して抵抗性の系統ではE
1, E
2, E
3, E
4泳動帯のエステラーゼ活性が高かった. ツマグロヨコバイまさい液による
in vitro での
14C-メチル マラチオンの分解は小田原系に比べ, 甲賀, 南国, 香我美系統ではそれぞれ5.6, 16.0, 21.2倍であった. 寒天ゲル電気泳動法により分離された酵素による
in vitro での
14C-メチル マラチオンの分解作用をしらべたところ, E
2泳動帯を中心にE
1, E
2, E
3泳動帯で分解作用が認められた. 甲賀, 南国系ツマグロヨコバイ頭部コリンエステラーゼの
マラオクソン
に対する感受性は小田原系統のそれぞれ1/1.9, 1/9.2であった. ツマグロヨコバイにおけるマラチオン抵抗性について,
in vitro での
14C-メチルマラチオンの分解および
マラオクソン
に対するコリンエステラーゼの感受性の二つの抵抗性要因を考慮すると, 甲賀および南国系統の抵抗性比はそれぞれ5.6×1.9=10.6, 16.0×9.2=147.2となった.
抄録全体を表示