英国の政府建設調達においては, 官民パートナーシッブデザインビルド, プライム契約, パートナリングなどの方法が採用され, 成功を収めている。これらの方法は発注者, 設計者, 元請負者, 下請負者, 供給者が協働することを基本とする方法であり, 英国会計検査院も支持する方法である。しかしながら, これらの方法は我が国の伝統的な公共工事の実施システムとは異なるものである。
本稿は, 英国の新しい政府建設調達システムとは何かを明らかにすることを目的とする。このため, 最初に, 最大規模のPFI事業である海峡トンネル鉄道連絡線での事例を含め, 英国の新しい調達システムを概観する。次に, 英国の新しい調達システムの核心とも言えるパートナリングと価格合意の方法について, その概念, 内容などに関して考察を交えて明らかにするとともに我が国への教訓や導入可能性について考察する。
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