高次脳機能障害の
リハビリテーション
のポイントは, 急性期から回復期, 慢性期にかけて, 「できないこと」を責めるのではなく「できること」を伸ばすポジティブな行動支援を一貫して行うことである。そして, 患者を支える周囲の理解を得るために, 聞き手にとってわかりやすい言葉を用い, できるだけ書面に残して情報提供を行う。また, 本人にとってわかりやすい環境を整える「環境の構造化」が有効なことが多く, 在宅環境を見据えた支援が必要である。高次脳機能障害者に対する集団治療プログラムは, 当事者の社会性向上, 社会参加支援に一定の効果が期待でき, 適切な治療環境を与えることで, 患者と支援者は, 問題の本質に気づき, 適切な代償法を習得する。この分野の支援を充実させるためには, 言葉や文章だけではなく, 医療, 福祉, 教育, 各分野の人々の顔がお互いに見えるような, 真の連携およびネットワークの構築が必要であろう。
抄録全体を表示