抄録
目的:高齢者の入院比率の高い回復期リハビリテーション(以下リハと略す)病棟の現状を分析し,回復期リハの問題点と課題について検討した.方法:対象は当院回復期リハ病棟へ入院した232例(男性74例,女性158例;平均年齢78.6±12.9歳)である.これらの症例を脳血管障害(A群)83例と廃用症候群(B群)149例に分類し,両群で年齢,日常生活動作(以下ADLと略す)能力,在院日数,基礎疾患の内訳や入院中の合併疾患の発生頻度,入退院の動向などにつき後ろ向きに解析を試みた.結果:A, B群の平均年齢は,それぞれ,75.9±14.0歳,80.0±12.0歳であり,B群で有意に高かった(p<0.05).両群間で入院時Barthel Indexに差はなかったが在院日数には有意差がみられた(A群:140.9±9.4, B群:107.3±11.3;p<0.05).基礎疾患の内訳では,A群では脳梗塞例が55例と多く,B群では多彩な病因の中でも肺炎の占める頻度が33例と最も高かった.リハ期間中,A群中25例(30.1%),B群中40例(26.8%)では急性疾患への治療や専門的医療の必要性が認められ,両群ともその約半数は急性期病床への転出が行われた.入退院の動向では,紹介元はいずれも急性期病院が最も高い頻度を呈していた.回復期リハ病棟退院後に在宅または施設での生活が可能となっていた症例はA群中53例(63.9%),B群中109例(73.2%)であり,両群とも在宅復帰例のBarthel Indexの平均は80前後でほとんど全ての症例が介助歩行レベル以上の運動能力を有していた.一方,施設への退院例ではそのADLは低く,車椅子レベルを呈するものが両群とも約6割を占めていた.結論:高齢者では,リハ期間中も包括的で経時的な医療行為の介入が必要であり,在宅復帰には歩行可能レベルまでのADL改善が望まれると思われた.