目的:日本では、医療、リハビリテーション現場において、様々な
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活動が導入されているが、医学中央雑誌、インターネット上での調査結果によると、個々の
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活動の治療的効果に関する情報はそれほど広まってはいないことが分かった。アメリカでは、セラピューティック
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学が確立され、公認セラピューティック
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スペシャリストが医療、リハビリテーションの現場で活躍している。しかし、その状況は日本においてはあまり知られていない。本発表においては、アメリカにおけるセラピューティック
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の現状と理論を紹介することを目的とした。方法:インターネット、メドライン等の文献検索によりセラピューティック
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の情報が集められた。結果:全米医学協会によるセラピューティック
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の定義は、疾病、障害、その他の問題を有する人々の健康、機能、能力、自立性、生活の質を向上させる個人のレジャー活動を活用するための手助けとなる治療方法、教育、
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活動を使用することである。公認セラピューティック
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スペシャリストは全国公認試験に合格することによって認可される。主な勤務先は病院、高齢者介護施設、精神障害者施設、地域センター、ディケアプログラム、薬物中毒治療施設等である。アドベンチャー療法、スポーツ活動、個人、集団ゲーム、ペット療法、音楽療法、ストレス調節訓練、芸術活動、社会交流の促進等、多彩な活動が行われている。余暇活用モデルにおいてセラピューティック
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は、三段階に分類される。第一段階は機能向上、第二段階は余暇教育、第三段階は
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参加となっている。段階が発展するにつれて援助者の管理、責任が減少し、利用者の行動、選択の自由度が増加していく。全米セラピューティック
レクリエーション協会によるセラピューティックレクリエーション
の効果として、疾病障害を有する個人に対する身体、認知、情緒、社会機能の向上が主張されている。又、疾病、障害の予防による医療費節約等の経済的効果も主張されている。身体機能に関しては、心肺機能の向上、筋持久力の増加、関節可動域の拡大、痛みの軽減、二次的障害の予防等が治療効果として挙げられる。認知機能に関しては、集中力、記憶力の向上、計画的思考能力の発達等の効果が期待される。情緒機能に関しては、抑鬱の改善、不安感の減少、障害の受容、ストレス解消等の効果が考えられる。社会機能に関しては、孤独感の減少、人間関係の形成、生活満足感の向上等の効果が考えられている。考察:障害者における生活の質の向上が注目される中、身体機能のみでなく、認知、情緒、社会機能に対する総合的なアプローチを行うセラピューティック
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理論は、日本における理学療法サービスの向上にヒントを与える点で重要であると思われる。
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